デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表は国連安保理で制憲委員会設置に向けた自身の試みが頓挫したことを認める(2018年10月26日)

国連安保理でシリア情勢への対応を協議する会合が開かれた。

会合は米国の要請によるもので、テレビ会議システムで会合に参加したスタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表は、制憲委員会設置に向けた動きについての報告を行い、そのなかで、シリアのワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣兼副首相が、国連の役割を認めなかったと非難し、設置の試みが頓挫したことを認めた。

また、アスタナ会議保障国であるロシア、トルコ、イランが制憲委員会の構成に関する新たな提案を用意し、国連に提示することでシリア・ロシア両政府が合意しているとしたうえで、この提案がバランスのとれたものであれば、自身が提示した3度目となる名簿案を撤回する用意があると述べた。

制憲委員会は150人から構成され、うち50人をシリア政府が、50人を反体制派が、そして50人をデミストゥラ・シリア問題担当国連特別代表が選ぶことになっている。

またこのなかから15人(シリア政府選出5人、反体制派選出5人、シリア問題担当国連特別代表選出5人)に新憲法草案の起草を付託することが基本方針となっている。

ANHA, October 26, 2018

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一方、バッシャール・ジャアファリー国連シリア代表は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構やトルコの庇護を受ける国民解放戦線などの支配下にあるイドリブ県およびその周辺地域に関して、主権を回復する決意を改めて表明するとともに、米主導の有志連合の攻撃を違法と非難した。

ジャアファリー代表は、「イドリブはシリアのかけがえのない一部を構成している。国家には、同地の主権を回復する決意がある…。これは国連憲章や国際法が保障している権利である…。シリアはイドリブがテロの新たな温床となることを許さないだろう」と述べた。

また「米国が主導する有志連合は、テロ組織だけを標的とせずに爆撃しており、違法だ」などと述べた。

SANA, October 26, 2018

RT(10月26日付)、SANA(10月26日付)が伝えた。

AFP, October 26, 2018、ANHA, October 26, 2018、AP, October 26, 2018、al-Durar al-Shamiya, October 26, 2018、al-Hayat, October 27, 2018、Reuters, October 26, 2018、RT, October 26, 2018、SANA, October 26, 2018、UPI, October 26, 2018などをもとに作成。

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