2014年3月21日のシリア情勢:国内の暴力

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、対トルコ国境のカサブ町周辺で、軍、国防隊が、シャームの民のヌスラ戦線、イスラーム戦線などからなるジハード主義武装集団が交戦した。

この戦闘で、ヌスラ戦線などは、同地域一帯を迫撃砲、ロケット弾などで攻撃し、国境地帯にある監視ポスト数カ所を制圧した。

ただし同監視団によると、カサブ国境通行所は依然としてシリア政府の支配下にあるという。

しかし、クッルナー・シュラカー(3月21日付)は、ヌスラ戦線などからなる武装集団が軍との戦闘の末に、カサブ国境通行所、税関ビルなどを含むビル4棟、サフラ監視ポスト、カサブ監視ポスト、アクラア山監視ポストを制圧したと報じた。

これに関して、SANA(3月21日付)は、ヌスラ戦線などの攻撃が、トルコ領内から行われたと指摘、軍がトルコ領から潜入しようとしたテロ集団を撃退したと報じた。

この戦闘で、軍はヌスラ戦線の北部地域司令官を含む17人の戦闘員を殲滅したという。

また、バッシャール・ジャアファリー国連代表大使は、ラタキア県カサブ国境通行所一帯に対する反体制武装集団の攻撃に対してトルコ政府が、兵站支援や戦闘員の越境支援などを行っていると非難する抗議文を国連事務総長と安保理議長に提出した。

このほか、SANA(3月21日付)によると、ラタキア市ティシュリーン大学内の電気機械工学部、工業研究所近くに反体制武装集団が撃った迫撃砲弾1発が着弾した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ムーリク市周辺で、軍、国防隊がジハード主義武装集団と交戦した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、カフルナブル市を軍が空爆した。

一方、SANA(3月21日付)によると、カフルルーマー村、サラーキブ市、クマイナース村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ドゥーマー市郊外のワーフィディーン・ゴラン高原難民キャンプ、ムライハ市近郊の防空局周辺などで軍と反体制武装集団が交戦した。

一方、SANA(3月21日付)によると、ハーマ町国民和解委員会のフサーム・スカーフ氏が市庁舎近くで反体制武装集団の襲撃を受け、射殺された。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区でPFLP-GC民兵と反体制武装集団が交戦した。

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ダルアー県では、クッルナー・シュラカー(3月21日付)によると、ヤルムーク師団(自由シリア軍)のバッシャール・ズウビー司令官がダルアー市郊外の穀物サイロ地区を制圧したと発表した。

またユーチューブには穀物サイロ地区を制圧した武装集団の映像(http://www.youtube.com/watch?v=JXrWkusgnVM&feature=player_embedded)が公開された。

一方、SANA(3月21日付)によると、サフム・ジャウラーン村・タスィール町街道、ハッジャ村周辺、サムリーン村、ジャドル村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(3月21日付)によると、サアン村、バイト・スワイス村、マシュラファ村、南マシュジャル村、タルビーサ市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(3月21日付)によると、アレッポ中央刑務所周辺、シャイフ・ナッジャール市工業団地地区、ハンダラート・キャンプ、ブライジュ村、タッル・ジュバイン村、アブティーン村、アッザーン村、カフルハムラ村、シャイフ・サイード村、アナダーン市、アンジャーラ村、シャルバア村、バービース村、クワイリス村、アルバイド村、アレッポ市ジュダイダ地区、ジャンドゥール交差点、マサーキン・ハナーヌー地区、ブアイディーン地区、旧市街、ハイダリーヤ地区、ライラムーン地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また、アレッポ市タラル地区、ニール通りに反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発が着弾し、市民6人が死亡、20人が負傷した。

AFP, March 21, 2014、AP, March 21, 2014、ARA News, March 21, 2014、Champress, March 21, 2014、al-Hayat, March 22, 2014、Iraqinews.com, March 21, 2014、Kull-na Shuraka’, March 21, 2014、Naharnet, March 21, 2014、NNA, March 21, 2014、Reuters, March 21, 2014、SANA, March 21, 2014、UPI, March 21, 2014などをもとに作成。

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