OPCWシリア常駐代表は昨年4月の東グータ地方での化学兵器使用疑惑事件に関する最終報告書を「事実からの深刻な逸脱、多くの矛盾、一貫性の欠如が見られる」と批判(2019年3月11日)

化学兵器禁止機関(OPCW)シリア常駐代表のバッサーム・サッバーグ氏は、オランダのハーグでロシア常駐代表部が開催した記者会見に出席し、3月1日にOPCWの事実調査団(FFM)が提出したダマスカス郊外県東グータ地方での2018年4月7日の化学兵器使用疑惑事件に関する最終報告書について、「事実からの深刻な逸脱、多くの矛盾、一貫性の欠如」が見られると非難した。

ロシアの専門家による報告書の検証結果を発表するために開催された記者会見で、サッバーグ氏は、米英仏によるシリアへのミサイル攻撃を正当化する口実を作り出すためにホワイト・ヘルメットが果たした役割が無視されていると指摘した。

サッバーグ氏はまた、中立性と客観性を欠いており、テロ組織が塩素ガスなどの有毒化学物質を保有していたことを完全に無視していると付言した。

さらに、FFMによる目撃者の証言の採用がダブル・スタンダードに依拠していると非難、事件現場を撮影したとされるビデオに映っていた目撃者15人のなかで、シリア国内でインタビューを受けたのは7人だけで、事件とは関係ない可能性のある目撃者とされる26人がシリア国外でインタビューを受けて、その証言が採用されたと指摘した。

そのうえで、シリアはOPCWのFFMによる調査に全面協力し、論理的且つ中立的な結論が導出されることを期待したにもかかわらず、「周知の一部諸外国」の圧力に屈したと締めくくった。

SANA(3月11日付)が伝えた。

AFP, March 11, 2019、ANHA, March 11, 2019、AP, March 11, 2019、al-Durar al-Shamiya, March 11, 2019、al-Hayat, March 12, 2019、Reuters, March 11, 2019、SANA, March 11, 2019、UPI, March 11, 2019などをもとに作成。

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