シャーム解放機構、国民解放戦線、イッザ軍はハマー県北部で反転攻勢を開始、最近の戦闘でシリア軍が制圧していたタッル・ミルフ村などを奪還(2019年6月6日)

シリアのアル=カーイダと目されるシャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ県、ハマー県北部、ラタキア県北部、アレッポ県西部の緊張緩和地帯では、シリア・ロシア軍が攻撃を激化させてから37日目となる6月6日も、シリア・ロシア軍が爆撃を実施、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦した。

シリア人権監視団によると、4月30日以降の戦闘による犠牲者数は前日より36人(民間人10人、シリア軍兵士21人、反体制武装集団戦闘員12人)増えて1,157人となった。

うち、352人が民間人(女性76人、子供84人を含む)、345人がシリア軍兵士、460人が反体制武装集団戦闘員。

シリア軍ヘリコプターが投下した「樽爆弾」の数は55発以上を記録、ロシア軍戦闘機も50回の爆撃を実施した(シリア軍戦闘機による爆撃は記録されなかった)。

また、シリア軍地上部隊による砲撃は500発におよぶ一方、反体制武装集団も400発以上の砲撃を行った。

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ハマー県では、シャーム解放機構に近いイバー・ネット(6月6日付)によると、反体制諸派が「市民シャイフ・ムウタスィム・ビッラー進攻」作戦と銘打ち、最近の戦闘でシリア軍によって制圧されたハマー県北部地域の奪還に向けた攻撃を開始した。

トルコの支援を受ける国民解放戦線も「敵を掃討せよ」作戦を、イッザ軍も「骨を砕け」作戦を開始したと発表した。

シリア人権監視団によると、反体制武装集団は、この反転攻勢で、シリア軍および親政権民兵との戦闘の末、ジャビーン村、タッル・ミルフ村、カフル・フード村を制圧、シリア政府支配下のムハルダ市とスカイラビーヤ市を結ぶ街道を寸断することに成功した。

同監視団によると、反体制武装集団はまた、シリア政府の支配下にあるカフルヌブーダ町、カッサービーヤ村、タッル・フワーシュ村、ハマーミーヤート村、ジャビーン村、タッル・ミルフ村、ムガイル村、ムハルダ市を砲撃した。

これに対して、シリア軍がヘリコプターでアルバイーン村に「樽爆弾」を投下、地上部隊がラトミーン村、サイヤード村、カフルズィーター市、ラターミナ町、ザカート村を砲撃した。

またロシア軍がハスラーヤー村、ザカート村、ラターミナ町、カフルズィーター市を爆撃した。

一方、SANA(6月6日付)によると、反体制武装集団がシリア政府支配下のムハルダ市、ジャビーン村、タッル・ミルフ村を砲撃し、住宅などに被害が出た。

これに対して、シリア軍はラターミナ町にあるシャーム解放機構の拠点に砲撃を行った。

他方、ドゥラル・シャーミーヤ(6月6日付)によると、イドリブ県のカフルルースィーン村の通行所からシリア領内に進入したトルコ軍の車列がムーリク市にある監視所に向かった。

車列は装甲車輌、救急車輌、四輪駆動車からなるという。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がヘリコプターでハーン・シャイフーン市、カフルサジュナ村一帯、カフル・アイン村、タッルアース村、フバイト村、シャイフ・ムスタファー村に「樽爆弾」を投下、地上部隊がシャイフ・ムスタファー村、カフスサジュナ村、フバイト村、ハーン・シャイフーン市、アービディーン村、ウンム・スィール村、トゥラムラー村を砲撃した。

またロシア軍戦闘機がハーン・シャイフーン市を爆撃した。

一方、SANA(6月6日付)によると、シリア軍がマアッラト・ハルマ村にあるシャーム解放機構の拠点を重点的に砲撃した。

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ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がヘリコプターでカッバーナ村一帯に「樽爆弾」を投下した。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を9件(ラタキア県)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を12件(アレッポ県1件、ハマー県3件、ラタキア県3件、イドリブ県5件)確認した。

AFP, June 6, 2019、ANHA, June 6, 2019、AP, June 6, 2019、al-Durar al-Shamiya, June 6, 2019、al-Hayat, June 7, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, June 6, 2019、Reuters, June 6, 2019、SANA, June 6, 2019、Shabaka Iba’ al-Ikhbariya, June 6, 2019、SOHR, June 6, 2019、UPI, June 6, 2019などをもとに作成。

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