2011年12月22日のシリア情勢

アサド政権の動き

シリア政府は国連総会、国連安保理、国連人権理事会に対して書簡を送り、3月以降の抗議行動で軍兵士および治安部隊要員が2,000人以上殺害されたことを報告するとともに、国連の調査委員会が発表した被害報告は政治化されており、シリアを破壊しようとする国の意図に沿った内容と指摘し、政府によるデモ弾圧に関する一連の報道や非難を否定した。

SANA, December 22, 2011

SANA, December 22, 2011

SANA, December 22, 2011

SANA, December 22, 2011

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SANA(12月22日付)によると、政党問題委員会が複数の新政党発足申請書の内容を検討、団結党の申請を受理した。

またアラブ民主団結党の申請書、アラブ民主党が再提出した申請書の内容を審議した。

同委員会によると、近日中に、民主前衛党、アンサール党の申請が受理されるという。

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SANA(12月22日付)は、アサド大統領がダイル・ザウル県、ラッカ県、ハサカ県の部族長使節団と会談し、「治安と安定の維持」のため努力を行うよう求めたと報じた。

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SANA(12月22日付)は、選挙最高委員会のハルフ・アッザーウィー議長が統一地方選挙(12月12日投票)に関して、「シリアが直面する困難で異常な状況にもかかわらず、清潔・公正、自由、民主のなかで実施された」と述べ、その完了を宣言した、と報じた。

反体制運動の動き

シリア革命支援国民委員会は声明を出し、イドリブ県ザーウィヤ山で「集団虐殺」が行われていると非難した。

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『ハヤート』(12月23日付)、AFP(12月22日付)は、地元調整諸委員会の報道官で国外(レバノン)から反体制運動を扇動しているウマル・イドリビー氏が、アラブ監視団の受け入れが「アラブ連盟のイニシアチブを回避し、その内容を無実化しようとする政府側の新たな試み」と非難したと報じた。

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反体制活動家のハーリド・マハーミード氏はフェイスブックで、ヒムス県で誘拐されたイラン人技術者がイラン・イスラーム革命防衛隊とヒズブッラーのメンバーだと綴った(真偽は定かでない)。

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『クッルナー・シュラカー』(12月22日付)は、クルド民族主義運動筋の話として、イラクを訪問したシリア・クルド国民評議会のメンバーが一人あたり10,000米ドルを支給されたと報じた。

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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、アラブ連盟監視団派遣に関する議定書への署名後もアサド政権が弾圧を続けていると非難、アラブ連盟のイニシアチブを有名無実化しようとしていると糾弾した。

反体制(武装)運動掃討

シリア革命総合委員会によると、イドリブ県で16人、ヒムス県で10人(うち6人がヒムス市で殺害)、ダマスカス郊外県で1人、ダルアー県(タファス市)で1人が弾圧により殺害された。

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複数の活動家によると、イドリブ県のハーン・シャイフーン市に軍・治安部隊車輌が離反兵の潜伏先を制圧するために進入した。

またイドリブ県のマアッラト・ヌウマーン市、ダイル・ザウル県のスバイハーン市などでは、軍・治安部隊が「砲撃」を行っている、という。しかし、軍・治安部隊が使用している車輌、火器の詳細は明らかではない。

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複数の活動家によると、アレッポ県アレッポ市にあるアレッポ大学構内(理学部、電気工学部など)で学生が反体制デモを行った。

Kull-na Shuraka’, December 22, 2011

Kull-na Shuraka’, December 22, 2011

このデモで女学生1人が負傷し、死亡した。この女学生は21日のデモで負傷していたという。

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『クッルナー・シュラカー』(12月22日付)は、ダマスカス県中心に位置するアルヌース広場で爆弾が爆発したと報じた。被害者はでなかったという。

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SANA(12月22日付)によると、武装テロ集団がヒムス県にあるヒムス石油精製所の技術者を暗殺した。

またダイル・ザウル県のクーリーヤ市で武装テロ集団多数を逮捕した。

諸外国の動き

アラブ連盟の監視団の第1次先遣隊(サミール・サイフ・ヤザル連盟事務次長が団長、11人より構成)がダマスカスに到着した。

ナビール・アラビー連盟事務局長によると、監視団は日報を発表し、シリア政府はそれを閲覧する権限を持つが、修正を求めることはできないとという。また先遣隊がアラブ連盟の行程を順守しているかどうかを判断するのに1週間はかかるとのこと。

なお監視団の本隊(ムハンマド・ムスタファー・ダービー団長)約150人は今月末のシリア入りを予定している。

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国連総会のナースィル・アブドゥルアズィーズ・ナスル議長は、「アラブ連盟がシリア政府の殺戮行為と暴力停止の努力に失敗した場合、連盟は国連に問題を付託するだろう」と述べた。

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ロシア外務省は、セルゲイ・ラヴロフ外務大臣がアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長と電話会談を行い、アラブ監視団の活動がシリア政府との調整のもと客観的になされるよう求めたと発表した。

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「アフバール・シャルク」(12月22日付)は、ロシア高官がシリア政府に対して、アラブ連盟のイニシアチブが国連に付託された場合、ロシアは拒否権を発動しない旨伝えたと報じた。

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ドイツのアンゲラ・メルケル首相はアラブ連盟のイニシアチブを評価するとともに、シリア国内での弾圧に改めて懸念を表明した。

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『日本経済新聞』(12月22日付)によると、日本政府はシリアのアサド政権関係者の資産凍結対象を拡大する追加制裁措置を決め、即日実施した。対象は9月の制裁措置と合わせて18人、12団体となった。

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国際人権団体Avaazは、3月以降、6,237人以上が治安部隊によって殺害されたと発表した。同団体にようと、うち617人は拷問で殺害され、400人以上が子供だという。

AFP, December 22, 2011、Akhbār al-Sharq, December 22, 2011, December 23, 2011、Facebook、al-Ḥayāt, December 23, 2011、Kull-nā Shurakā’, December 22, 2011、Reuters, December
22, 2011、SANA, December 22, 2011、『日本経済新聞』2011年12月22日などをもとに作成。

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