北・東シリア自治局とシリアのクルド民族主義組織31団体が「一部クルド人グループが米国の権威のもとにある」とするアサド大統領の発言を非難(2020年3月6日)

北・東シリア自治局は声明を出し、5日のロシア24でのアサド大統領のインタビューに、トルコの政策と調和しており、その論理はクルド問題解決に資さないと批判した。

北・東シリア自治局は声明で、シリアのクルド問題についての「アサド大統領の発言はシリアの主権を侵害したトルコの政策と調和している」としたうえで、「政権の論理は過去数年にわたり何らの解決策ももたらさなかった。こうした対応に固執することは、問題解決の機会を与えることには資さない。テロ組織やトルコ国家が居座っている占領地で起きていることへの完全なる無知だ」と批判した。

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シリアのクルド民族主義組織31団体は共同声明を出し、アサド大統領のインタビューに異議を唱えた。

31団体は声明で「9年にわたる殺戮、強制移住、破壊を経ても、バッシャール・アサド大統領はシリア国民を大惨事へと陥れたのと同じ考え方と言葉で話している」と批判したうえで、「シリア北・東部のシリア国民は、アラブ人であれ、クルド人であれ、シリア正教であれ、そのすべてがもともとこの地で暮らしており、現在のシリアという国家の国境が画定される前から共生してきた」と主張した。

また「(シリア国民を構成する)諸集団は、政権によってテロの餌食とされた時も、その愛国心とオーセンティシティゆえに自らの存在と尊厳の防衛にあたり、民主的自治を発展させ、民族的・宗派的に多様なモザイクであるシリアの手本となることができた…。我々はシリア政府が言っているような分割に与することはないと明言する」と強調した。

共同声明を発表したのは以下の組織:

シリア・ムスタクバル党
国民調整委員会・民主変革運動
民主統一党(PYD)
シリア正教連合党
クルディスタン民主平和党
クルディスタン・リベラル連合
クルディスタン共産党
シリア・クルディスタン民主パールティー
クルド・シリア民主党
シリア・クルド左派党
シリアクルド民主左派党
クルディスタン愛国連合党
クルディスタン民主変革党
クルディスタン刷新党
クルディスタン労働連合
アラブ国民委員会
シリア近代民主主義党
クルディスタン緑の党
クルド・シリア民主合意党
シリア・クルド民主統一党(イェキーティー)
シリア改革運動
シリア・クルド民主党(アル・パールティー)
アッシリア民主党
クルディスタン友愛党
シリア・クルド民主ロジャ党
国民自由連合ロジャヴァ
民主連合運動
スィタール会議
民主保守者党
民主闘争党
クルディスタン共和党

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アサド大統領はインタビューのなかで次のように述べていた。

我々はシリア北部のすべてのクルド人政治グループと連絡をとっている。だが、問題なのは、これらのグループの一部が米国の権威のもとに活動していることだ。我々はクルド人とは言わない。なぜなら、クルド人の大部分は愛国的なグループ・部族で、国家とともにあるからだ。だが、これらのグループは声を出せない。この地域を支配しているのは、米国と共に行動する小さなグループに過ぎない。

シリアにはいわゆるクルド問題はない。理由は簡単だ。クルド人は歴史的にシリアのなかに生きづいているからだ。トルコの弾圧を受けて20世紀にやってきた人々…我々は彼らをシリアに迎え入れた。クルド人やアルメニア教徒らがシリアにやって来たが、問題はなかった…。問題は数十年前から分離主義的なアジェンダを提起するグループにある…。だが、トルコの国家がクルド人に対して弾圧、殺戮を行えば、我々は彼らを支持する。

彼らはシリアで国籍を取得した。もともとシリア人ではなかったのだ。クルド人をめぐってはいつも良いことが生じていた。つまり、いわゆるクルド問題というのは不正確な表現なのだ。

AFP, March 6, 2020、ANHA, March 6, 2020、AP, March 6, 2020、al-Durar al-Shamiya, March 6, 2020、Reuters, March 6, 2020、SANA, March 6, 2020、SOHR, March 6, 2020、UPI, March 6, 2020などをもとに作成。

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