イスラエル軍が首都ダマスカス近郊を爆撃、住民3人が死亡、3人が負傷(2020年4月27日)

SANA(4月27日付)は、シリア軍防空部隊が午前4時55分、レバノン領空を侵犯し、シリア領内に発射した複数のミサイルを迎撃し、そのほとんどを撃破したと伝えた。

イスラエル軍がシリア領内への爆撃を実施するのは4月に入って3回目。

 

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SANAによると、イスラエル軍による爆撃の被害を受けたのはダマスカス郊外県のフジャイラ村とアーディリーヤ村で、住民3人が死亡、子供1人を含む3人が負傷、住宅が損壊した。

クナイトラ県のハマーム・ディブヤーン知事は報道向けの声明を出し、フジャイラ村の住宅複数棟がイスラエル軍の攻撃を受け、男性1人とその妻が死亡、子供1人を含む3人が負傷したと発表した。

ディブヤーン知事によると、爆撃はイスラエルが占領するゴラン高原からの避難民を狙ったものだという。

ダマスカス郊外県のアラー・イブラーヒーム知事も、フジャイラ村への爆撃で、クナイトラ市からの避難民の一家が被害を受け、夫婦が死亡、息子1人を含む2人、妻の母が負傷し、妻の母が搬送先のムジュタヒド病院で死亡したと発表した。


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一方、シリア人権監視団は、撃破されたミサイルの残骸によってフジャイラ村とアーディリーヤ村で民間人3人が死亡したとしつつ、イスラエル軍が狙ったのは、キスワ市からサフナーヤー市に至る地域に展開する「イランの民兵」やレバノンのヒズブッラーの拠点で、少なくともこれらの民兵4人が死亡したが、身元は不明と発表した。

スプートニク・ニュース(4月26日付)によると、イスラエル軍が発射したミサイルは8発で、うち5発はシリア軍防空部隊が着弾前に撃破した。

サウト・アースィマ(4月28日付)によると、イスラエル軍が狙ったのはナジュハー村とアーディリーヤ村の間に位置するサフヤー山地に展開する第1師団第58旅団の拠点。

イスラエル軍がこの地域を攻撃するのは今回が初めて。

攻撃によって、倉庫複数棟が被弾、イラン・イスラーム革命防衛隊のメンバー少なくとも3人が死亡したという。

AFP, April 27, 2020、ANHA, April 27, 2020、AP, April 27, 2020、al-Durar al-Shamiya, April 27, 2020、Reuters, April 27, 2020、Sawt al-‘Asima, April 28, 2020、SANA, April 27, 2020、SOHR, April 27, 2020、Sputnik News, April 27, 2020、UPI, April 27, 2020などをもとに作成。

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