アサド大統領のいとこでビジネスマンのラーミー・マフルーフ氏は、フェイスブックのアカウント(https://www.facebook.com/RamiMakhloufSY/)を通じてビデオ・メッセージを配信した。
https://www.facebook.com/RamiMakhloufSY/videos/2385706211722607/
マフルーフ氏がビデオ・メッセージを配信するのは4月30日に続いて2度目。
「信者への支援は、我々の責務だった」と題された10分にわたるメッセージのなかで、マフルーフ氏は、自身が取締役会長を務めるシリアテルと、経営に大きく関わっているMTNの携帯電話会社2社への追徴課税納付要請が不当であることを次のように訴えるとともに、治安機関がシリアテルの社員が逮捕されたことを批判した。
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「非常に困難な状況下でSNS上に私が登場するのはこれが2回目だ。多くの人がなぜSNSに登場するのかと尋ねてきた。この問題は非常にセンシティブだ。冗談でもなければ、人気とりでもない。それ以上だ。長年にわたる仕事に関わる問題だ。これらの仕事、そしてこれらの企業が、多くを捧げてきた人道的な活動、つまりラーマーク(開発)人道(プロジェクト民間持株会)社の名のもとで行われてきたものが屈服させられた。私は以前にこのことについて話したが、そのことを再び話すのは、あなたが何を持っているかを知っているからだ。私にはもう制御できないことが諸々あって、それを失えば、私の意思を超えてしまう。私は今、受け入れられないかたちで、そして残念ながら非人道的なかたちでの圧力に晒されている。諜報機関は我が社の社員を逮捕し始めた。これらの諜報機関がラーミー・マクルーフの会社にやって来るなどと誰が考えていただろう。私がこれらの機関の最大の支持者で、戦争中にもっとも奉仕してきたにもかかわらずだ。残念ながら、状況は変わった。
私が以前に投稿したビデオは冗談やゲームだと思っているのだろうか? 私は遊んでいない。私は自らの存在と仕事を危険に晒している。なぜなら、私は求められた命令を果たせないからだ。私は今日、会社から退いて、異議を唱えずに命令に従うように求められた。そのうえで、彼らは、社員や経営者を逮捕すると言って、私に圧力をかけ始めた。私は彼らに言いたい。「こんなことがあってはいけない。これは不公平だ。権力乱用だ。あなた方の権限は、人々が服従するまで圧力をかけるために与えられたのではない。あなた方の権威は、乱用して、利益を得るために与えられたのではない。人々を奉仕させるのではなく、人々に奉仕するために与えられたのだ」。
私は、大統領に介入し、何の権利もないままに資金供出を求められてきた我々の会社に対して正義を行うよう頼んできた。このようにお願いしたのは、支払いを回避するためではなく、困っている人々にお金が行き、それ以外の人のポケットに入らないという条件で、支払うのが目的だったからだ。つまり、意思決定者の取り巻きの介入を止めるように訴えることが目的だった。なぜなら、彼らの介入は、耐えられないものとなり、議論されるべき危険なレベルに達していたからだ。このように続けることはできない。これは不公平だ。これは、私的財産への侵害だ。私は今持っているものを手放すことはできない。なぜなら、それを任されているからだ。だから、これを聴いているすべての人に許して欲しい。なぜ私が持っているものを手放し、この問題を終わらせないのか疑問に思うかもしれない。でも、私は自分のものではないものを手放すことができない。私はそれを任されているだけなのだ。アッラーが私を試しているのだと思わないか? 「人々ではなく、我を恐れよ」。アッラーはそう言わなかったのだろうか? 自分に委託された仕事を守ることが我々の任務ではないのか? 自分の身と地位が無くなることを恐れているだけで、それをあきらめるべきか? だから、これはアッラーからの大きな試練であり、私は主からの試練を受け入れた。苦難が起こることは分かっているし、それはすでに始まっている。
大統領閣下にもう一度お願いします。大統領閣下、諜報機関が人々の自由を侵害し始めています。あなたの国民です。あなたの支持者です。今もあなたとともにあります。誰かに彼らを侵害させるべきではありません。連中を喜ばせることをさせるべきではありません。事態は悪く、危険です。このままでは、国の状況は非常に困難になり、アッラーからの厳しい罰が下るでしょう。なぜなら、我々に今、非常に恐ろしい出来事が近づいているからです。だから、大統領閣下、彼らを信じないでください。
逮捕された人々は、国軍、情報機関、そして全国民にサービスを提供するモバイル・ネットワークの構築に取り組んできました。どうすれば、あなたは彼らをこのように扱えるのですか? どうすれば、あの連中にこう言わせられるのですか? 「ラーミー、お前が退くか、我々がお前の社員全員を逮捕するかだ」。あなたは憲法を守ってきました。我々市民は、国に多くを与えたうえで、あの連中にこんなふうに扱われるべきなのですか? 大統領閣下、どうか、あの連中に法と憲法を違反させないでください。あなたの命令を下してください。
とにかく、私はあの連中から退くよう圧力をかけられています。でも、私は辞めません。私はここにとどまります。誰が私を侵害しようと、こういうだけです。「私は無力だが、崇高にして偉大なるアッラーの他に全能なる力はない」。
大統領閣下、私はあなたに正義を行うようお願いしています。もし私に耳を傾けてくれなければ、私はアッラーにこの国を守り、我々を危険から救うようお願いすることしかできません。それは大問題です。この問題を解決しなければ、私はアッラーに助けを求めます。なぜなら、そうする必要があるからです。あなた方にアッラーの平和、慈悲、祝福がありますように」。
AFP, May 3, 2020、ANHA, May 3, 2020、AP, May 3, 2020、al-Durar al-Shamiya, May 3, 2020、Reuters, May 3, 2020、SANA, May 3, 2020、SOHR, May 3, 2020、UPI, May 3, 2020などをもとに作成。
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