米主導の有志連合がイドリブ市をミサイル攻撃し、フッラース・ディーン機構の外国人司令官2人を殺害(2020年6月14日)

英国を拠点に活動する反体制系NGOのシリア人権監視団によると、ロシア・トルコ首脳会談で合意された停戦が発効(3月5日深夜)してから101日目となる6月14日、シリア・ロシア軍、トルコ軍の爆撃は確認されなかったが、米主導の有志連合所属と思われる無人航空機(ドローン)がイドリブ市に対してミサイル攻撃を行った。

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イドリブ県では、ザマーン・ワスル(6月14日付)やドゥラル・シャーミーヤ(6月14日付)によると、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ市内で乗用車がミサイル攻撃を受けて、乗っていた2人が死亡、1人が重傷を負った。

攻撃は、午後6時、イドリブ市南西部郊外にあるアブドゥルカリーム・ラーズカーニー学校近くから市内のシュアイブ・モスクに向かって移動中の乗用車を狙って行われた。

死亡したのは、新興のアル=カーイダ系組織のフッラース・ディーン機構の司令官2人。

1人はカッサーム・ウルドゥンニーを名乗るヨルダン人司令官。

もう1人は、フッラース・ディーン機構に所属する砂漠(バーディヤ)軍の幹部を務めるビラール・サナアーニーを名乗るイエメン人。

重傷を負ったのは、車に同乗していたムハマド・アフマドなる人物。

ミサイル攻撃を行ったのは、米主導の有志連合所属の無人航空機(ドローン)MQ-9リーパーで、6枚の刃で標的を切り裂く空対地ミサイルR9X(通称ニンジャ)が使用された。

一方、シリア人権監視団によると、シャーム解放機構がアレッポ市とラタキア市を結ぶM4高速道路沿線に設置していたすべての検問所を撤去した。

理由は不明。

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ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を4件(イドリブ県2件、ラタキア県1件、アレッポ県1件、ハマー県0件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を確認しなかった。

AFP, June 14, 2020、ANHA, June 14, 2020、AP, June 14, 2020、al-Durar al-Shamiya, June 14, 2020、Ministry of Defence of the Russian Federation, June 14, 2020、Reuters, June 14, 2020、SANA, June 14, 2020、SOHR, June 14, 2020、UPI, June 14, 2020、Zaman al-Wasl, June 14, 2020などをもとに作成。

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