国連のシリアに関する独立国際調査委員会はイドリブ県ですべての当事者が戦争犯罪、人道に対する罪を犯した可能性があると指摘(2020年7月7日)

国連のシリアに関する独立国際調査委員会(Independent International Commission of Inquiry:COI、パウロ・ピネイロ委員長)は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構が軍事・治安権限を握るイドリブ県などシリア北西部での戦闘にかかる最新の報告書を提出、すべての当事者が、病院・医療施設、市場、学校、民家など公共インフラに対して攻撃を行っており、戦争犯罪や人道に対する罪が犯された可能性があると指摘した。

COIは、政府軍側の部隊が昨年末、反体制派最後の拠点に対して開始した攻勢の最中、人々は「計り知れない苦しみ」に耐えたと指摘。パウロ・ピネイロ(Paulo Pinheiro)委員長は「子どもは学校で砲撃を受け、親は市場で砲撃を受け、患者は病院で砲撃を受け、逃げている最中にも家族全員が爆撃を受けた」と述べた。

29ページにわたる報告書は昨年11月1日から今年6月1日までの期間を調査対象としており、民間人500人以上が死亡、100万人が避難を余儀なくされ、公共インフラに被害をもたらしたりした事例が52件あったとしている。

COIはまた、すべての当事者に民間人への攻撃をやめるよう要求、また各国に対して、報告された犯罪行為の責任を追及するよう求めた。

AFP, July 8, 2020、ANHA, July 8, 2020、AP, July 8, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 8, 2020、Reuters, July 8, 2020、SANA, July 8, 2020、SOHR, July 8, 2020、UPI, July 8, 2020などをもとに作成。

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