米国はシーザー・シリア市民保護法の一環として「ハマー・マアッラト・ヌウマーン制裁」と銘打って、アサド大統領の長男ら14の個人・団体を新たに制裁対象に(2020年7月29日)

マイク・ポンペオ米国務長官は記者会見を開き、シーザー・シリア市民保護法にかかるシリア制裁の一環として、「ハマー・マアッラト・ヌウマーン制裁」と銘打って14の個人・団体を新たに制裁対象としたと発表した(https://home.treasury.gov/news/press-releases/sm1072)。

新たな制裁にハマー市とマアッラト・ヌウマーン市(イドリブ県)というシリアの都市名をつけたのは、「2011年と2019年に発生した、アサド体制によるもっとも悪名高い2件の残虐行為を記憶に留める」ためだという。

ポンペオ国務長官は「9年前、バッシャール・アサドの軍隊は、ハマー市に対する野蛮な包囲を実行し、その後に起きることをおぞましくも予兆するかのように、平和的に抗議を行っていた数十人もの人々を殺害した。1年前、アサド体制とその同盟者はマアッラト・ヌウマーン市のにぎやかな市場を爆撃し、無垢のシリア人42人を殺害した」と述べ、シリア軍を「蛮行、抑圧、腐敗のシンボル」と非難、以下の個人・団体を制裁対象とすると表明した。

大統領令第13894号2(a)(i)(A)に基づく制裁

ズハイル・タウフィーク・アサド(シリア軍第1師団司令官)
シリア軍第1師団

大統領令第13984号2(a)(ii)に基づく制裁

カラーム・アサド(ズハイル・タウフィーク・アサドの息子)
ハーフィズ・アサド(アサド大統領の長男)

なお、ポンペオ国務長官は、アサド大統領も引き続き制裁対象となったことを強調した。

 

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米財務省(https://home.treasury.gov/news/press-releases/sm1072)によると、新たに制裁対象となった14の個人・団体は以下の通り。

個人

1. ハーフィズ・アサド(アサド大統領の長男)
2. ズハイル・タウフィーク・アサド(第1師団司令官)
3. カラーム・アサド(ズハイル・タウフィーク・アサドの息子)
4. ワスィーム・アンワール・カッターン(ビジネスマン)

団体

5. シリア軍第1師団
6. アーダム通商投資LLC(カッターンが経営に関与)
7. ジャラー・ホテル(カッターンが経営に関与)
8. インターセクションLLC(カッターンが経営に関与)
9. ラールーサー家具(カッターンが経営に関与)
10. マーサ・プラザ・モールl(カッターンが経営に関与)
11. ムルージュ・シャーム投資観光グループ(カッターンが経営に関与)
12. カシオン・モール(カッターンが経営に関与)
13. ワスィーム・カッターンLLC(カッターンが経営に関与)
14. ヤルバガー・コンプレクス(カッターンが経営に関与)

なお、サミーヤ・サービル・ハムシューは制裁リストから削除された。

AFP, July 29, 2020、ANHA, July 29, 2020、AP, July 29, 2020、al-Durar al-Shamiya, July 29, 2020、Reuters, July 29, 2020、SANA, July 29, 2020、SOHR, July 29, 2020、UPI, July 29, 2020などをもとに作成。

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