アサド大統領は第2次アルヌース内閣の初会合で議長を務める:行政改革プロジェクトの策定・実施、汚職撲滅を指示、農業を優先事項に(2020年9月2日)

アサド大統領は、8月30日に2020年政令第221号をもって発足させた第2次フサイン・アルヌース内閣の閣僚任命式を行い、その後、新内閣の第1回閣議を開催し、その議長を務め、閣僚を前に基調演説を行った。

演説における大統領の主な発言は以下の通り:

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新内閣とは、新たなアイデアを持った新たなメンバーと刷新されたアイデアを持った古くからのメンバーからなるということを意味する。それ以前との乖離、脱却を意味しない…。それはより発展し、より効率的なかたちへの再構成を意味する。

あらゆる任務、仕事の始まりにおいては、何らかの立場への責任が伴う…。とくに自分たちの国に対して大志を抱いているのであれば、任期中にすべての問題を解決できるだろうかと自問することもあるだろう…。現実には当然のことながら、それは難しい。だから、国家は常に優先事項を定めるのだ。もちろん、我々が置かれている戦時下というような状況においては、選択肢は限られ、優先事項は常時よりも必要性が高い。こうした状況において、我々は優先事項を明示しなければならない…。国家の優先事項は、市民にとっての緊急のニーズと合致しないこともある。なぜなら、長期的な優先事項だからだ。だが、それは不可欠なものなのだ。これに対して、市民の優先事項は日々の苦しみやニーズに対処することだ。つまり、いずれの優先事項も同じ目的に向かっており、並行しているのだ。

優先事項の第1点は行政改革だ…。健全な内閣、そして健全な政府機関こそが健全な行政であり、粗悪な行政と健全な内閣が同時に存在することはない…。一連の政策を打ち、法律を施行する優れた行政がなければ、そうした政策や法律には何の価値もない。それは人的資源についても言えることだ。人的資源や能力について言及する際には…、プロジェクトがなければ意味がない。

行政改革プロジェクトにおいて重要な点は、国家機関と法律の断絶を抑止することだ。我々は常に調和について言及するが…、調和とは組織内部における明確な仕組みのことだ…。行政改革プロジェクトとは、こうしたことを評価し、より良い結果に至ることをめざすものだ。もちろんこうしたプロジェクトを市民は緊急課題だと感じないかもしれない。なぜなら結果が現れるのには時間がかかるからだ。だが、それは極めて不可欠なのだ。

シリアの各国家期間はこれまで実際に汚職に取り組む政策を行ってきた…。だが、そのことは、それだけ充分だったという意味ではない…。我々の前には長い道のりが続いている。なぜなら汚職は拡がり続けているからだ…。それは国家だけでなく…社会にも蔓延している。社会の大部分が腐敗しているなどというつもりはない。それは非論理的だ…。だが、腐敗した少数が社会を覆い被さり、力と影響力を持っている。汚職とは…賢く、用意周到に練り上げられている…。法律にはいくつもの抜け道がある…。しかし、汚職の大部分は、法律に沿って続いている。

法律に関してもっとも重要な点として例外をめぐる問題がある…。一部例外は必要だという者は常にいるし、実際に公務においては例外状況がある…。だが、いつこうした例外が認められるのかについて規定を作らねばならない…。そうすることで、我々は無秩序と汚職に同時に取り組むことになる。

汚職における別の点として司法をめぐる問題がある。人々は司法の問題について常に言及する。それは、司法だけに汚職撲滅の責任があるからだけでなく、国家機関の活動のすべては最終的には司法によって判断されるからだ…。司法が汚職撲滅の基礎をなし…、その終わりに位置するのなら、始まりはどこにあるのか? 始まりはあなた方、国家機関にある…。関係機関で汚職が追及されなければ…、これは深刻な麻痺だ…。汚職撲滅とは、各機関の責任者が立派なだけでは意味がない。立派で、なおかつ汚職を追及するものでなければならない。

汚職撲滅は包括的でなければならず、もちろんメディアを通じて行われねばならない。メディアはとくに調査に際して重要な役割を担う…。我々は、風評や噂に陥らないようにするため、伝統的なメディアや(明確な基礎に裏打ちされた)インターネット・メディアを奨励する必要がある。

プログラムとは、各省庁の…機関を一堂に会して…、前に向かって大きく躍進するためのものだ…。その一例が「祖国の負傷者」計画だ…。第1段階においては国防省が基本的に責任を担い…、第2段階において医療機関や関係機関に権限は拡大する…。我々には、緊急の目標を実現するための多くの柔軟な計画が必要であり、それは同時に進歩的なものでなければならない…。プロジェクトは政府が早急に結果を実現するための仕組みの一つなのだ。

封鎖に立ち向かううえで最も重要な方法は、農業全般を支援することだと言ってきた。だが、農業がシリアにおいて第1であることは自明だ。1番だ。なぜなら、シリア社会は数千年来農業社会だからだ…。我々は非常に短期間で多くの労働機会を実現できる。同時に、食料安全保障を実現できる。だが、私はここでは優先順位についてだけ言及したい…。この分野において必要なのは、農業を優先事項とし、関係する各省が協力し合うことで、このセクターを早急に押し上げることだ。その一環として必要なのは、農業を支援するためのすべての工業への支援を充実させることだ。

もう一つ重要なセクターが情報セクターだ。この分野は原材料を輸入する必要はない。基本となる原材料は知性、若者の創造的な知性だからだ…。これは封鎖の影響を受けない…。生産に際して、封鎖は我々が多くを体得し、大いに発展する機会だ。

我々が、透明性、脱税、汚職、ポンドの力などについて考える時、これらすべてはオンライン決済の問題に関わることになる…。この問題については多くの立法が制定された。我々は大いに前進した。残されているのは技術的な設備であり、それも数ヶ月で完成する。

シリアのメディアは困難な状況でも良い動きをしてきた。躊躇せずに欠陥がどこに隠されているかを追及し続けることが、メディアにとっての義務だ。対応することが責任者の義務だ…。メディアと関わり、情報を伝える様々な方法がある。メディアを通じて対話の輪を拡げる必要がある…。問題提起は責任者を攻撃することではなく、責任者を支え、助けることになる。

我々が情報を発信しなければ、市民は風評に晒される。国営メディアを駆使することも必要だ。国営メディアを駆使して、正しく信用できる情報を発信すれば、メディアを信頼できる情報源に変えることができる。こうすることで、インターネットの無秩序を断ち切ることができる…。重要なことは、我々が率先してこの方向に向かうことだ。

責任者が仕事において成功するうえでの基本は献身だ。間違いを恐れるな。間違いは人間の本性の一部だ。仕事をする人間は間違えるが、しない人間はしないことを皆が知っている。我々は間違いを恐れてはならない。我々は日々間違える。私はこの国のどの責任者と同じく間違える。市民は責任者が献身だと分かれば、間違いに寛容になる。間違いを正そうとしていると分かれば、それこそが進歩であり、知恵なのだ…。謙虚であることが、いかなる責任者だれ、人々から愛され、その支援を受けるうえでもっとも重要なのだ。謙虚さとは人々に近い暮らしをすることだけを意味しない…。意見を尊重することも謙虚さだ…。私は正しいと思う意見は尊重するし、私の視点から間違っていると思うことも尊重する。なぜなら、意見が正しいか、間違っているかではなく、それを提示し、議論することの方が重要だ。なぜなら、知性とはトレーニングなしに成長しない筋肉のようなものだからだ。知性にとってのトレーニングは議論と対話、そして人々と交わることだ。

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SANA(9月2日付)が伝えた。

AFP, September 2, 2020、ANHA, September 2, 2020、al-Durar al-Shamiya, September 2, 2020、Reuters, September 2, 2020、SANA, September 2, 2020、SOHR, September 2, 2020などをもとに作成。

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