2014年4月10日のシリア情勢:反体制勢力の動き

シリア人権監視団は、ダルアー県ハーッラ市近郊で軍とシャームの民のヌスラ戦線などからなるジハード主義武装集団が行った「捕虜交換」で、軍が釈放した8人のなかに、ウワーン・カッダーフさんが含まれていたと発表した。

カッダーフさんは16歳で、2013年9月にシリア・アラブ・テレビに出演し、父親に「結婚ジハード」を求められ、反体制武装集団との性的関係を強要されたと証言していた(http://syriaarabspring.info/wp/?p=1052)。

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シャームの民のヌスラ戦線はツイッターを通じて声明を出し、ヒムス市カラム・ルーズ地区で9日に発生した同時自爆テロに関して「ヌサイリー派体制のシャッビーハの拠点の一つ」に対して攻撃を行ったと発表し、犯行を認めた。

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イラク・シャーム・イスラーム国(ダーイシュ)ラッカ州は、3月19日にタッル・アブヤド市から追放したクルド人が「クルド民族主義を放棄し、イスラーム国に忠誠を誓った」として恩赦し、帰宅を認めたと発表した。

ARA News(4月10日付)が伝えた。

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ARA News, April 10, 2014

ARA News, April 10, 2014

シリア・クルディスタン民主党のサウード・ムッラー党首(中央委員会議長)はイラク・クルディスタン地域のアルビル市にあるダーライン・ホテルで記者会見を開き、シリア・クルディスタン民主党の結党を正式に発表した。

 

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西クルディスタン人民議会のシールザード・ヤズィーディー報道官は、イラク・クルディスタン地域政府が対シリア国境地帯に掘を建設することを決定したことに関して、『ハヤート』(4月11日付)に、「(イラク・クルディスタン)地域の人民、愛国的諸勢力、議会、政府の立場を代表しておらず、我々の革命に敵対しようとする(マスウード・)バールザーニーの党に限られた政策だ。それは革命を地域政治の取引につかうような行為だ。なぜなら、同地域のすべての政党は、西クルディスタンとそこでの自治政府の民主的試みへの支持を表明しているからだ」と非難した。

またアルビル市で結成されたシリア・クルディスタン民主党に関して、「堀建設とともに新党が結成されたことは偶然ではない。この党はバールザーニーの党の支部のようだ。我々は彼らと敵対はしないが、彼らは当初から誤った隊列に与してしまっている…。彼らは自分たちの政策を再考しなければならない」と述べた。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、アフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長がイスタンブールで自由シリア軍参謀委員会と会談、「可能な限り早く、自由シリア軍に対空兵器が増強されることを望んでいる」と述べたと発表した。

会合では、連立の総合委員会での審議内容などが報告されたという。

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シリア革命反体制勢力国民連立のバドル・ジャームース事務局長は、7月に予定されている大統領選挙に関して、連立はいかなる状況であっても立候補を擁立しないと述べる一方、アサド政権による大統領選挙の実施を「挑発的措置」と批判した。

『クドス・アラビー』(4月10日付)が伝えた。

AFP, April 10, 2014、AP, April 10, 2014、ARA News, April 10, 2014、Champress, April 10, 2014、al-Hayat, April 11, 2014、Iraqinews.com, April 10, 2014、Kull-na Shuraka’, April 10, 2014、Naharnet, April 10, 2014、NNA, April 10, 2014、al-Quds al-‘Arabi, April 10, 2014、Reuters, April 10, 2014、SANA, April 10, 2014、UPI, April 10, 2014などをもとに作成。

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