トルコ日刊紙の『ヒュッリイイェト』(11月26日付)は、トルコ・ドイツ大学(TAU、イスタンブール)の移民統合研究センターのムラト・エルドアン所長が2019年に実施したシリア難民について調査結果を明らかにした。
それによると、トルコ国内にいるシリア難民のうち、帰国を希望しないと回答した人の割合は51.8%に達した。
2017年に同様の調査を実施した際に、帰国を希望しないと回答していた人の割合は51.8%だった。
一方、シリアでの戦争が終わり、自分たちにとって望ましい政府が発足すれば帰国したいと答えていた人の割は、2017年には60%だったが、今回の調査では30%に下がった。
このうち、実際に帰国を考えている人の割合は6.8%に過ぎなかったという。
帰国希望者の減少に関して、エルドアン所長は、難民たちが自分の国への希望を失い、トルコでのより良い未来を確信し、幸福を感じているためだろうと解釈している。
エルドアン所長はまた、トルコ国内で差別を感じていないとする回答も、2017年の25%から21%に減少し、大多数がトルコ国籍の取得を望んでおり、トルコ人と文化的に近いと認識しつつも、シリア難民がトルコ社会から隔絶したかたちでコミュニティを形成していることが、将来問題を引き起こすかもしれないとしている。
AFP, November 28, 2020、ANHA, November 28, 2020、al-Durar al-Shamiya, November 28, 2020、Hurriyet, November 28, 2020、Reuters, November 28, 2020、SANA, November 28, 2020、SOHR, November 28, 2020などをもとに作成。
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