シリア人権監視団は、世界人権の日(12月10日)に合わせて、シリアに「アラブの春」が波及し、最初の抗議デモが発生したとされる2011年3月15日から2020年12月9日までに確認された死者数が387,118人に達していると発表した。
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同監視団によると内訳は以下の通り:
- 民間人:116,911人(うち男性80,958人、女性13,804人、18歳未満の子供22,149人)
- シリア人戦闘員(武装勢力、イスラーム主義勢力など):54,668人
- シリア民主軍戦闘員:12,811人
- 離反将兵:2,630人
- シリア軍将兵:68,049人
- 国防隊、親政権民兵:52,391人
- レバノンのヒズブッラー戦闘員:1,703人
- シリア人以外の親政権・シーア派民民兵:8,462人(うちロシア人民兵264人)
- トルコ軍将兵:202人
- ジハード主義戦闘員(シャーム解放機構など):27,772人
- ダーイシュ(イスラーム国)メンバー:40,161人
- シリア民主軍の外国人戦闘員:930人
- 米主導の有志連合:不明
- 身元不明者:428人
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なお、上記の統計には、シリア政府管理下の拘置所や刑務所での拷問で死亡したとされる約88,000人、クルディスタン労働者党(PKK)戦闘員3,200人以上、イスラーム国に拘束され行方不明となっている3,200人以上、捕虜となったシリア軍将兵および親政権民兵4,100人以上、武装勢力、イスラーム主義組織、イスラーム国、シャーム解放機構がシリア政府に内通しているとして拘束し、消息不明となっている1,800人以上は含まれていないという。
死亡確認がとれていないこれらの人々の数は合計で105,000人以上にのぼる。
また、負傷者の数は2,100,000人以上、難民、国内避難民(IDPs)となった人の数は約13,000,000人(うち子供が数十万人、女性も数十万人)にのぼるとされている。
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一方、民間人犠牲者の加害者別内訳を見ると以下の通り:
- シリア軍と親政権民兵(地上部隊)によって殺害された民間人:45,845人(うち男性28,313人、女性6,574人、18歳未満の子供10,958人)
- シリア軍戦闘機、ヘリコプターの爆撃によって殺害された民間人:26,407人(うち男性16,653人、女性3,789人、18歳未満の子供5,965人)
- シリア政府管理下の拘置所、刑務所で殺害された民間人:16,229人(うち男性16,040人、女性64人、18歳未満の子供125人)
- ロシア軍の爆撃・砲撃で殺害された民間人:8,640人(うち男性5,233人、女性1,321人、18歳未満の子供2,086人)
- 米主導の有志連合の爆撃で殺害された民間人:3,846人(うち男性2,161人、女性712人、18未満の子供973人)
- トルコ軍の爆撃・砲撃で殺害された民間人:1,009人(うち男性686人、女性128人、18歳未満の子供195人)
- トルコ軍国境警備隊によって殺害された民間人:453人(うち男性330人、女性42人、18歳未満の子供81人)
- シリアの反体制派(武装勢力、イスラーム主義勢力、シリア民主軍)によって殺害された民間人:8,096人(うち男性6,106人、女性760人、18歳未満の子供1,230人)
- イスラーム国によって殺害された民間人:6,374人(うち男性5,430人、女性411人、18歳未満の子供533人)
- イスラエル軍の爆撃・攻撃で殺害された民間人:12人(うち男性6人、女性3人、子供3人)
AFP, December 9, 2020、ANHA, December 9, 2020、al-Durar al-Shamiya, December 9, 2020、Reuters, December 9, 2020、SANA, December 9, 2020、SOHR, December 9, 2020などをもとに作成。
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