「難民帰還に向けたシリア・ロシア閣僚調整委員会合同会合」で情報戦にかかる対話セッションが開かれ、ミクダード外務在外居住者大臣、ロシアのシリア問題担当大統領特使らが講演(2021年11月17日)

11月16日に開幕した「難民帰還に向けたシリア・ロシア閣僚調整委員会合同会合」の2日目の議事が首都ダマスカスのコンベンション・センター(ウマウィーイーン宮殿)などで行われた。

メイン会場であるウマウィーイーン宮殿の大ホールでは、情報戦にかかる対話セッションが開催された。

「情報戦下のシリア…我々はいかにして戦争に勝利し、平和と安定と開発を強化したのか」と題されたセッションでは、ファイサル・ミクダード外務在外居住者大臣、ロシアのラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使、フサイン・マフルーフ地方行政環境大臣、ブトルス・ハッラーク情報大臣、ブサイナ・シャアバーン大統領府特別顧問らが講演を行った。

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ミクダード外務在外居住者大臣は、シリアに対する戦争を通じて、西側諸国は、中東の政治的・地理的な現状を変更しようとしていたと指摘、西側諸国の虚偽情報には数十億ドルが費やされ、それによってシリア国民が殺され、その成果が破壊されてきたと述べた。

また、シリアに対する戦争は多くのウソから始められ、シリアだけでなく多くのアラブ諸国の政治・社会構造が破壊したとしたうえで、西側諸国が数千というテロリストと殺人者だちを募集し、シリアを破壊しようとしたが、それを実現することはできなかったと強調した。

また、西側諸国が続ける一方的な制裁については、シリアが主権と国民を守るため抵抗を続けるなか、西側メディアはシリアに圧力をかけるとして制裁を正当化していると非難した。

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ラヴレンティフ特使は、シリア、とりわけイドリブ県でテロ組織との戦いを続けることが重要だと述べた。

また、18日未明にイスラエル軍がシリア領内をミサイル攻撃したことについては、次のように非難した。

シリア人に対して繰り返され、物的・人的被害をもたらしている違法な攻撃に関して、我々は、イスラエルがシリアの国家の主権を尊重し、シリア領内への攻撃を繰り返すのを許さない必要がある。

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マフルーフ地方行政環境大臣は、シリアのメディアが各地の戦線で軍の予備部隊のような役割を果たてきたとし、その功績を強調した。

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ハッラーク情報大臣は、難民問題が極めて重要な人道問題であるなか、この問題が政治交渉のカードに変貌し、メディアにおいて利用されてきたと指摘する一方、シリアが一方的経済制裁に対しても勝利を収めることになると述べた。

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シャアバーン大統領府特別顧問は、シリアとロシアの協力関係に関して、政治、経済だけでなく、文化、人道などあらゆる分野での協力が重要だと述べた。

AFP, November 17, 2021、ANHA, November 17, 2021、al-Durar al-Shamiya, November 17, 2021、Reuters, November 17, 2021、SANA, November 17, 2021、SOHR, November 17, 2021などをもとに作成。

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