国連安保理は、安保理決議第2642号を採択し、越境(クロスボーダー)人道支援の実施期間を2023年1月10日までの6ヵ月間延長することを決定した。
決議案は、延長期間を12ヵ月とする決議案を8日の採決で否決されたアイルランドとノルウェーが改めて共同提案したもの。
再延長については、2023年7月10日までの6ヵ月の延長について新たな決議の採択を必要とすると規程した。
採決では、ロシア、中国を含む12ヵ国が賛成、米国、英国、フランスは、6ヵ月という延長期間せは人道支援を充分に行うことができないとして棄権した。
なお、採択に先立って、延長期間を9ヵ月とする案も検討されたが、ロシアはこれについても拒否していた。
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国連安保理決議第2642号は、イドリブ県とトルコのハタイ県を結ぶバーブ・ハワー国境通行所1ヵ所のみを経由した越境人道支援の継続を認めるとともに、境界(クロスライン)での人道支援も保証した。
また、衛生や教育と並んで重要性が高い電力を早期復旧プロジェクトの対象として初めて文言に盛り込んだ。
2021年1月10日までの延長を定めた第2585号と異なり、越境人道支援の期間終了後の自動延長は定めなかった。
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採決後に、ニコラス・デ・リヴィエール国連フランス大使は、人道支援に対するニーズがもっとも高まる冬に期間終了となる決議に満足していないとしたうえで、安保理が自らの責任を全うしていないがゆえに、投票を棄権したと述べた。
また、フランスは、人道的責任を全うし続けるが、国連安保理決議第2254号に基づく政治プロセスの進展がない限りは復興支援も制裁解除も行わないと付言した。
バーバラ・ウッドワード国連英国常駐代表は、国連関係機関や人道支援団体が12ヵ月の期間延長を繰り返し求めてきたにもかかわらず、ロシアがこれを阻止したと改めて非難したうえで、信頼に足りる実質的な政治プロセスが進展しない限り、シリアへの復興支援を行いと述べた。
戴兵(ダイビン)中国国連常駐副代表は、「人道問題に対するシリアの姿勢は一環している」としたうえで、シリアへの支援はその主権を尊重しなければならず、境界人道支援が主要なチャンネルとし、越境人道支援は一時的なものであるべきである、と述べた。
ドミトリー・ポリャンスキー国連ロシア常駐副代表は、「ワシントンDC、ロンドン、パリは他国の利益を尊重するのに慣れるべき時が来た」としたうえで、シリア全土への境界経由での支援を増大させるよう呼び掛けた。
リチャード・M・ミルズ・Jr.国連米副大使は、「一つの国が安保理全体を人質にとり、均衡を見出した」と述べてロシアの「心無い遊び」を非難した。
最後にバッサーム・サッバーグ国連シリア代表は、シリア政府が、差別なくすべてのシリア人に人道支援が行きわたるようにする意欲を表明し、国連、赤十字国際委員会(ICRC)の車列の移動を支援してきたとしたうえで、一時的且つ例外的であるはずの越境人道支援のメカニズムの延長を正当化しようとする一部の国のプロパガンダに反論すると述べた。
また、「今日成し遂げられたことは、数日前に成し遂げられ得たものだった」、「西側の常任理事国3ヵ国の政治的利己主義が安保理の乱用をまたしてももたらした」と非難した。
https://www.facebook.com/Mofaexsy/posts/pfbid02D4gpX9Did4E9VhwskqLGFUfycjD9qjXxShijnGT29vwm4g4hzpxyNNWXgbGmPxwQl
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駐シリア欧州連合(EU)代表部のダン・ストエネスク代表はツイッターのアカウント(https://twitter.com/DanStoenescuEU/)を通じて、決議採択について「国連関連機関と人道支援活動家には、シリア北西部で困窮する400万人以上の人々に至るための選択肢がほとんどなかった」、「シリア人、そのほとんどが女性と子供たちへの人道支援は政治利用されるべきでない」と綴った。
https://twitter.com/DanStoenescuEU/status/1546857823136387080
https://twitter.com/DanStoenescuEU/status/1546857823136387080
AFP, July 12, 2022、ANHA, July 12, 2022、al-Durar al-Shamiya, July 12, 2022、Reuters, July 12, 2022、SANA, July 12, 2022、SOHR, July 12, 2022などをもとに作成。
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