バッサーム・サッバーク国連シリア上級代表(大使)は、米ニューヨークの国連本部で4週間にわたって開かれていたNPT(核拡散防止条約)の再検討会議の最終日に発言を行い、最終文書草案の内容に異議を唱えた。
サッバーグ大使は以下の通り述べた:
シリアは、本会議の成功によって、(格不拡散)条約再検討の過程における新たな1ページが開かれることを望んでいた。だが、西側諸国の政治的利己主義、そしてこれらの国が条約締約国の利益よりも地政学的利益を優先させたことで、こうした遺憾な結果に終わった。
本会議の議事において、我々はこれらの国が、この演壇を悪用して、締約国に不当な攻撃を仕掛け、条約の三つの柱に関連する諸問題に恣意的に対処しようとするあからさまな動きを目の当たりにしてきた。これは本会議の議事を明らかに政治化したもので、不拡散体制を強化するための努力を大きく損なった。
シリアの代表団は、本会議の議事のすべての段階で、全締約国の代表団と協力する用意があると表明し、最終文書草案に関するコンセンサスに参加するために必要な柔軟性と準備を示そうとしてきた。しかし、大多数の締約国が表明した重大な懸念に対応できなかったことを遺憾に思っている。
シリアの代表団は、最終文書草案に含まれる中東に関する文言が脆弱で、地域諸国の最大の懸念に応えていないと考えている。とりわけ、核不拡散条約へのイスラエルの参加を義務づけ、同国のすべての核施設を国際原子力機関の包括的保障措置協定の対象とするとの文言が含まれていなかった。この点において、シリアは、1995年の中東にかかる決議が、その目標と目的が完全に達成・実施されるまで効力を持ち続けることを確認したい。文書に、この決議を実施するための具体的且つ実務的な手順が盛り込まれることを望んできたからだ。
シリアの代表団は、本会議の交渉プロセスがより透明なかたちで行われ、すべての関係国が対等な立場で参加することを望んでいた。それは、今後の再検討会議の交渉プロセスにおいて悪しき前例を作らないのようにするためである。
シリアは、すべての締約国の権利、とりわけ核エネルギーの平和利用に対する譲ることのできない権利を均等に尊重する必要があると強調したい。この点において、一部の西側諸国が我が国を含む一部の国々に対して科している法的根拠を欠いた一方的な制裁に反対する明確な姿勢を打ち出すことを望んでいた。この制裁は、条約第4条の規程に違反し、これらの国々が核の平和的利用、とりわけ医療、人道分野での利用にかかる権利を行使することを損なている。
締約国が今日直面することになったこの挫折は、欲求不満の理由であってはならず、多国間での取り組みを増進させ、我々が今後直面することになる問題解決に向けた道を切り開くべく協力するための原動力となるものである。我々は、今回の経験を活かして、透明性と包括性を確保し、政治化と排除を退け、条約の三つの柱をバランスよく、恣意的な選択や差別のないかたちで実施することに専念していきたい。
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SANA(8月27日付)が伝えた。
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なお、再検討会議は、前回7年前に続いて、最終文書について合意に至らなかった。
ロシア軍が掌握し、周辺地域への砲撃が相次いでいるウクライナ南東部のザポリージャ原子力発電所の処遇をめぐるロシアと欧米諸国の対立が主因。
グスタヴォ・スラウビネン議長は、「残念ながらただ1つの国が異議を唱えている」と述べ、ロシアを暗に批判した。
AFP, August 27, 2022、ANHA, August 27, 2022、al-Durar al-Shamiya, August 27, 2022、Reuters, August 27, 2022、SANA, August 27, 2022、SOHR, August 27, 2022などをもとに作成。
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