イスラエル軍機によるミサイル攻撃でUNECSOの世界文化遺産に指定されているダマスカス旧市街のダマスカス城、カフルスーサ区にあるアラブ文化センターなどが被害を受ける(2023年2月19日)

この爆撃ではまた、UNECSOの世界文化遺産に指定されているダマスカス旧市街のダマスカス城、カフルスーサ区にあるアラブ文化センターなどが被害を受け、ダマスカス城では、勤務中の守衛1人が負傷した。

文化省古物博物館総局のナズィール・アワド総局長によると、ミサイル攻撃はダマスカス城の運営事務所にも及び、城内に設置されている応用芸術技術研究所と遺跡博物館中等研究所が大きな被害を受けた。

アワド総局長は、応用芸術技術研究所と遺跡中東研究所が文化省の監督のもとで、考古学や博物館学のさまざまな分野についての教育を行う、軍事的な性格を一切持たない教育機関だとしたうえで、攻撃により建物のほか、コンピュータ機器、撮影機器、トレーニング関連機器が損害を受けたことを明らかにした。







一方、カファルスーサ区のアラブ文化センターのイリーザー・カーッサ所長は、センターへの攻撃による被害が物的被害に限られたことを明らかにした。

ラッバーナ・マシューフ文化大臣はSANAの取材に対して、「攻撃は、人間の思考、価値観、文明、アイデンティティを標的とするこの人種主義的政体の犯罪性を示す疑う余地のない証拠」だと非難した。

マシューフ文化大臣はまた、UNECSOや文化遺産、人道にかかる国際機関に対して、シリアの人間に対するこうした犯罪について警鐘を鳴らし、世界や西側諸国の世論に働きかけて、人類共通の文化財へに犯罪に目を向けさせることで、その姿勢を改めさせるよう訴えた。

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外務在外居住者省は、国連事務総長および安保理議長に宛てて書簡を送り、19日未明のイスラエル軍による首都ダマスカスおよびその周辺へのミサイル攻撃について、住宅地区を狙ったと報告、国際の平和と安全に対する明らかな脅威であり、こうした攻撃を停止させるために国際社会が行動をとるよう呼び掛けた。

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ファイサル・ミクダード外務在外居住者大臣は、外務在外居住者省の本舎で各国大使らと会談し、民間人を殺戮し、主権を侵害しようとするイスラエルの目的を阻止するため、攻撃を非難する必要があると強調した。

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アラブ作家連合は声明を出し、イスラエルによる首都ダマスカスおよびその一帯への攻撃を厳しく非難した。

以上、SANA(2月19日付)が伝えた。

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一方、シリア人権監視団は、イスラエル軍のミサイル攻撃で15人が死亡したと発表した。

このうち9人はシリア人で、7人が軍関係者(3人が士官)、2人が民間人で、残る6人の身元は不明だという。

同館師団によると、攻撃は、ダマスカス郊外県のサイイダ・ザイナブ町とディヤービーヤ村を結ぶ地域にあるレバノンのヒズブッラーなどの「イランの民兵」の拠点複数ヵ所、さらにはダマスカス県カフルスーサ区のイラン系の学校を狙ったもので、同地で各所では火災や爆発が発生した。

ミサイルはダマスカス県のマズラア交差点にも着弾し、女性1人が死亡したという。

 

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イランのナーセル・カナアーニー外務省報道官は、イスラエルによる首都ダマスカスおよびその一帯への攻撃を厳しく非難した。

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ロシアのマリア・ザハロワ外務省報道官は声明を出し、イスラエルによる首都ダマスカスおよびその一帯への攻撃を厳しく非難した。

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レバノンの外務省も声明で、イスラエルによる首都ダマスカスおよびその一帯への攻撃を厳しく非難した。

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イエメン外務省も20日、イスラエルによる首都ダマスカスおよびその周辺へのミサイル攻撃を非難した。

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このほか、レバノンのベカーア県愛国民族政党勢力会合、シーア派イスラーム最高評議会のアリー・ハティーブ議長、イスラーム・タウヒード運動、北部県愛国センター、ウンマ運動、シリア民族社会党が攻撃を非難する声明を出した。

AFP, February 19, 2023、ANHA, February 19, 2023、al-Durar al-Shamiya, February 19, 2023、Reuters, February 19, 2023、SANA, February 19, 2023、February 20, 2023、SOHR, February 19, 2023などをもとに作成。

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