トルコ・シリア大地震の被害がもっとも深刻だとされるトルコ占領下のジンディールス町近郊(アレッポ県)で、トルコの支援を受ける武装集団がナウルーズを祝うために焚火を行っていた住民らに発砲、多数を殺傷(2023年3月20日)

アレッポ県では、ANHA(3月20日付)によると、トルコ占領下の「オリーブの枝」地域のジンディールス町近郊で、「占領国の傭兵」(トルコの支援を受けるシリア国民軍)がナウルーズを祝うために焚火を行っていたとして、住民らに発砲、4人を殺害した。


発砲したのは、ダイル・ザウル県出身のダーイシュ(イスラーム国)の元メンバーらが多く参加する東部自由人連合の戦闘員とされる。

シリア人権監視団によると、事件が起きたのはジンディールス町近郊のハイカジャ村で、東部自由人連合に所属するハサン・ダブアを名乗る戦闘員の一団が住民に向けて発砲し、7人が死傷した。

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ANHA、イナブ・バラディー(3月20日付)によると、事件を受けて、ジンディールス町および周辺農村の住民は、東部自由人連合と占領国トルコの退去を求めて、抗議デモを行った。

シリア人権監視団によると、住民らは「アーザーディー」(自由)と連呼して、東部自由人連合の退去を求めた。



抗議デモは、アフリーン市、マアバトリー町、ラージュー町でも行われた。

ジンディールス町は、2月6日のトルコ・シリア大地震によってもっとも深刻な被害を受けたとされる場所の一つ。

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北・東シリア自治局のアフリーン・シャフバー地区は声明を出し、「アブー・ハビーブを名乗るダーイシュのテロリストの1人」が犯行に及んだとしたうえで、「この犯罪がトルコ諜報機関の手によるものは明白で、クルド人の意志を打ち砕こうとするのが狙いだ」として、トルコの関与を断じ、厳しく非難した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアブドゥルハキーム・バッシャール代表も声明を出し、事件を厳しく非難した。

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また、同連立の傘下組織である暫定内閣国防省は声明を出し、発砲の原因に関して、民間人と戦闘員の間での口論がきっかけだったとしたうえで、シリア国民軍の憲兵隊が事件に関与した容疑者を追及すると発表した。

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一方、アブー・ハーティム・シャウラーを名乗る東部自由人連合の司令官はツイッターのアカウント(https://twitter.com/abohateem15/)を通じて、組織としての事件への関与を否定した。

AFP, March 20, 2023、ANHA, March 20, 2023、al-Durar al-Shamiya, March 20, 2023、‘Inab Baladi, March 20, 2023、Reuters, March 20, 2023、SANA, March 20, 2023、SOHR, March 20, 2023、March 21, 2023などをもとに作成。

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