トルコのエルドアン大統領が、アレッポ県北部のラーイー村にイスタンブール大学医学部と健康科学高等研究所を設置する決定に署名(2021年2月6日)

トルコの官報は、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が、トルコ占領下のアレッポ県北部のいわゆる「ユーフラテスの盾」地域の拠点都市の一つラーイー村にイスタンブール大学医学部と健康科学高等研究所を設置する決定に署名したと発表した。

**

ハサカ県では、シリア人権監視団、SANA(2月6日付)によると、トルコ占領下のラアス・アイン市でトルコの支援を受ける国民軍に所属する武装集団どうしが交戦した。

交戦したのはハムザ師団とムウタスィム旅団(SANAによると、交戦したのはハムザ師団どうし)。

盗品の分配をめぐる対立が発端で、1人が死亡した(SANA(2月7日付)によると死者は3人)。

AFP, February 6, 2021、ANHA, February 6, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 6, 2021、Reuters, February 6, 2021、SANA, February 6, 2021, February 7, 2021、SOHR, February 6, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:難民67人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は648,003人に(2021年2月6日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(2月6日付)を公開し、2月5日に難民67人(うち女性20人、子供34人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民67人(うち女性20人、子供34人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は648,003人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者252,755人(うち女性75,977人、子ども128,633人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,729,796人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は877,283人(うち女性263,253人、子供447,124人)となった。

**

一方、国内避難民の新たな帰宅はなかった。

2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は70,484人(うち女性24,806人、子供28,355人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,339,080人(うち女性407,365人、子供672,121人)。

Ministry of Defence of the Russian Federation, February 6, 2021をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

所属不明のドローンがダイル・ザウル県ティブニー町近郊の「イランの民兵」拠点を攻撃し、ファーティミーユーン師団の戦闘員複数人が死傷(2021年2月5日)

ダイル・ザウル県では、アイン・フラート(2月5日付)によると、シリア政府の支配下にあるティブニー町近郊にある「イランの民兵」の拠点が、所属不明の無人航空機(ドローン)の攻撃を受け、ファーティミーユーン師団の戦闘員複数人が死傷した。

AFP, February 5, 2021、ANHA, February 5, 2021、‘Ayn al-Furat, February 5, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 5, 2021、Reuters, February 5, 2021、SANA, February 5, 2021、SOHR, February 5, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア軍がダーイシュ拠点を100回あまり爆撃し、戦闘員11人殺害(2021年2月5日)

シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がハマー県東部とアレッポ県、ハマー県、ラッカ県の県境の砂漠地帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点に対して100回あまりの爆撃を実施し、ダーイシュ戦闘員11人を殺害した。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が、マヤーディーン市近郊の砂漠地帯でシリア軍と親政権民兵を要撃し、兵士4人が死亡、6人が負傷した。

AFP, February 5, 2021、ANHA, February 5, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 5, 2021、Reuters, February 5, 2021、SANA, February 5, 2021、SOHR, February 5, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるラッカ県アイン・イーサー市近郊を砲撃(2021年2月5日)

ラッカ県では、ANHA(2月5日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるアイン・イーサー市近郊のムシャイリファ村、M4高速道路沿線を砲撃、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が応戦した。

一方、シリア人権監視団によると、トルコ軍がアイン・イーサー市近郊のM4高速道路近くの3カ所に新たな拠点を設置した。

AFP, February 5, 2021、ANHA, February 5, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 5, 2021、Reuters, February 5, 2021、SANA, February 5, 2021、SOHR, February 5, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリア民主軍がハサカ県タッル・タムル町近郊でロシア軍パトロール部隊の進行を阻止、事態を受けてロシア軍ヘリが出撃(2021年2月4日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあり、ロシア軍が展開するタッル・タムル町近郊のアイン・アブド村のM4高速道路に設置している検問所を封鎖し、ロシア軍パトロール部隊の通過を阻止した。

これを受けて、ロシア軍ヘリコプター1機が同地上空に飛来し、燃料気化爆弾複数発を投下し、威嚇した。

AFP, February 4, 2021、ANHA, February 4, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 4, 2021、Reuters, February 4, 2021、SANA, February 4, 2021、SOHR, February 4, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダイル・ザウル県南東部のティーム油田一帯で、シリア軍、親政権民兵がダーイシュの襲撃を受ける(2021年2月4日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にある県南東部のティーム油田一帯で、シリア軍、親政権民兵がダーイシュ(イスラーム国)の襲撃を受け、戦闘となり、シリア軍兵士8人、ダーイシュ戦闘員3人が死亡した。

AFP, February 4, 2021、ANHA, February 4, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 4, 2021、Reuters, February 4, 2021、SANA, February 4, 2021、SOHR, February 4, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア民間軍事会社ワグナー・グループがリビアに派遣しているシリア人傭兵7人が地雷の爆発で死亡(2021年2月4日)

シリア人権監視団は、ロシア民間軍事会社ワグナー・グループがリビアに派遣しているシリア人傭兵が乗っていた食糧配給用の車輌1台が地雷に触れて爆発、7人が死亡したと発表した。

死亡した7人のうち、6人はヒムス県出身、1人はスワイダー県出身で、ハリーファ・ハフタル将軍率いるリビア国民軍の支配地域内の油田の警護のために派遣されていた。

AFP, February 4, 2021、ANHA, February 4, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 4, 2021、Reuters, February 4, 2021、SANA, February 4, 2021、SOHR, February 4, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ占領下のアレッポ県バーブ市で、トルコ軍の地雷撤去部門の士官1人が地雷撤去作業中に爆発に巻き込まれて死亡(2021年2月4日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領下のバーブ市で、トルコ軍の地雷撤去部門の士官1人が、市内の国民軍ハムザ師団本部入り口で地雷撤去作業中に爆発に巻き込まれて死亡した。

一方、ANHA(2月4日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のスムーカ村、シャフバー・ダム、タッル・マディーク村を砲撃した。

AFP, February 4, 2021、ANHA, February 4, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 4, 2021、Reuters, February 4, 2021、SANA, February 4, 2021、SOHR, February 4, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米軍ヘリコプターの航空支援を受けたシリア民主軍の部隊が北・東シリア自治局の支配下にあるダイル・ザウル県で住宅を急襲、多数の住民を拘束、連行(2021年2月4日)

ダイル・ザウル県では、SANA(2月4日付)によると、米軍ヘリコプターの航空支援を受けた人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の部隊が、北・東シリア自治局の支配下にあるシャッダーディー市近郊のアドラ村、タッル・シャーイル村、アブー・ハーミダ村を包囲し、村内の住宅を急襲、多数の住民を拘束、連行した。

**

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)と思われるオートバイに乗った武装グループが、北・東シリア自治局の支配下のシャッダーディー市とマルカダ町を結ぶ街道で車を襲撃し、1人を殺害、1人を拉致・連行した。

AFP, February 4, 2021、ANHA, February 4, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 4, 2021、Reuters, February 4, 2021、SANA, February 4, 2021、SOHR, February 4, 2021、February 5, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ軍憲兵隊が「決戦」作戦司令室の支配下のイドリブ県ハーリム市近郊からトルコ領内に越境しようとした子供1人を銃殺(2021年2月4日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍憲兵隊が、「決戦」作戦司令室の支配下のハーリム市近郊からトルコ領内に越境しようとした子供1人を銃殺した。

一方、シリア軍は、「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のファッティーラ村、カンスフラ村、スフーフン村、カドゥーラ村、マジュダリヤー村、フライフィル村、バイニーン村を砲撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のアンカーウィー村、クライディーン村を砲撃した。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、東グータ地方各所で、シリア軍憲兵隊が兵役を忌避する若者多数を拘束した。

過去数日で拘束者数は300人以上に上っているという。

**

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にあるアトマーン村で、空軍情報部の兵士1人が正体不明の武装集団に銃で撃たれて死亡した。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を19件(イドリブ県9件、ラタキア県6件、アレッポ県3件、ハマー県2件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は14件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を9件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, February 4, 2021、ANHA, February 4, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 4, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, February 4, 2021、Reuters, February 4, 2021、SANA, February 4, 2021、SOHR, February 4, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:難民56人と国内避難民(IDPs)510人が新たに政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は647,887人、2019年以降帰還したIDPsは70,484人に(2021年2月4日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(2月4日付)を公開し、2月3日に難民56人(うち女性17人、子供28人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民56人(うち女性17人、子供28人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は647,887人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者252,639人(うち女性75,942人、子ども128,574人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,729,079人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は877,167人(うち女性263,218人、子供447,065人)となった。

**

一方、国内避難民510人が新たに帰宅した。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は70,484人(うち女性24,806人、子供28,355人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,339,080人(うち女性407,365人、子供672,121人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, February 4, 2021をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスラエル軍がクナイトラ県の「イランの民兵」、ヒズブッラーの拠点をミサイル攻撃(2021年2月3日)

SANA(2月3日付)は、シリア南部で防空部隊がイスラエル軍の攻撃を迎撃したと伝え、写真を公開した。

**

シリア人権監視団によると、攻撃はミサイル攻撃で、クナイトラ県ハバーリーヤ村一帯に展開するレバノンのヒズブッラー、ヒズブッラーの支援を受けるシリア人民兵組織のゴラン解放人民軍団の拠点、「イランの民兵」が駐留するシリア軍第90戦車旅団の軍事拠点が標的となった。

この攻撃で、拠点複数カ所が破壊されたという。

AFP, February 3, 2021、ANHA, February 3, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 3, 2021、Reuters, February 3, 2021、SANA, February 3, 2021、SOHR, February 3, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米国務省RFJは米ジャーナリストがシャーム解放機構のジャウラーニー指導者を取材したことを受け、情報提供を呼びかける(2021年2月3日)

米国務省の正義への報酬プログラム(RFJ)は、米国人ジャーナリストのマーティン・スミス氏が2月2日にツイッターのアカウント(https://twitter.com/Martin28Smith/)で、イドリブ市でシリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者と面談し、インタビューを行ったことを明らかにしたことに関して、ツイッターのアラビア語公式アカウント(https://twitter.com/Rewards4Justice/)で、次のようにコメントした。

おお、ジャイウラーニー、おお、ハンサムよ、なんてすてきなスーツだ。服を着替えても、お前はテロリストのままだ。1000万ドルの懸賞金がかかっていることを忘れるな。

テレグラム、シグナル、ワッツアップで、あなたが持っているジャウラーニーについて情報を我々に提供せよ。1000万ドルの懸賞金を手に入れるため。0012022941037

https://twitter.com/Rewards4Justice/status/1356731228762890240

AFP, February 3, 2021、ANHA, February 3, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 3, 2021、Reuters, February 3, 2021、SANA, February 3, 2021、SOHR, February 3, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコの占領下にあるハサカ県ラアス・アイン市で爆弾が相次いで爆発(2021年2月3日)

ハサカ県では、ANHA(2月3日付)によると、トルコの占領下にあるラアス・アイン(スィリー・カーニヤ)市の郵便局と大モスクの近くにしかけられていた爆弾が相次いで爆発した。

**

ラッカ県では、ANHA(2月3日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるアイン・イーサー市近郊のマアラク村、サクル休憩所、M4高速道路沿線を砲撃した。

AFP, February 3, 2021、ANHA, February 3, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 3, 2021、Reuters, February 3, 2021、SANA, February 3, 2021、SOHR, February 3, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ラッカ県とダイル・ザウル県でシリア民主軍が攻撃を受け、兵士多数死傷(2021年2月3日)

ラッカ県では、SANA(2月3日付)によると、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるラッカ市のマシュラブ地区で人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍の車輌の通過に合わせて道路に仕掛けられていた爆弾が爆発し、兵士2人が死亡した。

また、アイン・イーサー市近郊では、シリア民主軍の車輌が地雷にふれて爆発、兵士複数人が死傷した。

**

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局の支配下にあるハワーイジュ村でシリア民主軍がオートバイに乗った二人組から発砲を受けて、兵士1人が死亡した。

**

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、米主導の有志連合の車輌約45輌からなる車列が兵站物資などを積んで、イラクとの国境に違法に設置されているワリード国境通行所からシリア領内に新たに進入し、ハサカ県の各所に設置されている基地に向かった。

AFP, February 3, 2021、ANHA, February 3, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 3, 2021、Reuters, February 3, 2021、SANA, February 3, 2021、SOHR, February 3, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア軍が前日に続いて「決戦」作戦司令室の支配下にあるイドリブ県を爆撃(2021年2月3日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機が前日に続いて、「決戦」作戦司令室の支配下にあるアルマナーズ市一帯を爆撃した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

シリア軍も「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のスフーフン村、ファッティーラ村、バイニーン村、カフル・ウワイド村一帯を砲撃した。

一方、シャーム解放機構が軍事・治安権限を掌握するイドリブ市では、教員数十人が、同機構に自治を委託されているシリア救国内閣教育局の前で、5年にわたるボランティアでの教育活動に対する報酬を求めて抗議デモを行った。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるガーブ平原のマンスーラ村で車を対戦車ミサイルで攻撃、子供1人を含む2人が死亡した。

シリア軍はまた、アンカーウィー村を砲撃した。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を18件(イドリブ県9件、ラタキア県6件、アレッポ県0件、ハマー県3件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は15件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を10件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, February 3, 2021、ANHA, February 3, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 3, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, February 3, 2021、Reuters, February 3, 2021、SANA, February 3, 2021、SOHR, February 3, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:難民44人と国内避難民(IDPs)3人が新たにシリア政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は647,831人、2019年以降帰還したIDPsは69,974人に(2021年2月3日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(2月3日付)を公開し、2月2日に難民44人(うち女性13人、子供22人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民44人(うち女性13人、子供22人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は647,831人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者252,583人(うち女性75,925人、子ども128,546人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,729,079人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は877,111人(うち女性263,201人、子供447,037人)となった。

**

一方、国内避難民3人が新たに帰宅した。

ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由して帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは3人、イドリブ県の「緊張緩和地帯」から帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所経由の帰還者のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は3人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は69,974人(うち女性24,595人、子供28,209人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,338,570人(うち女性407,154人、子供671,975人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, February 3, 2021をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米国人ジャーナリストのマーティン・スミス氏がイドリブ県を訪問しシャーム解放機構のジャウラーニー指導者と面談、その写真を公開(2021年2月2日)

米国人ジャーナリストのマーティン・スミス氏は自身のツイッターのアカウント(https://twitter.com/Martin28Smith/)で、イドリブ市でシリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者と面談し、インタビューを行ったことを明らかにした。

スミス氏はジャウラーニー指導者と写った写真を公開し、次のように綴っている。

シリアのイドリブでアル=カーイダとつながりのあるヌスラ戦線の創設者アブー・ムハンマド・ジャウラーニーとの3日間を経て、今戻ってきた。彼は、9.11事件、アル=カーイダ、アブー・バクル・バグダーディー、ダーイシュ(イスラーム国)、米国などについて話した。フロントラインのレポート。スコット・アンガーの写真。

https://twitter.com/Martin28Smith/status/1356621851984863240?ref_src=twsrc%5Etfw%7Ctwcamp%5Etweetembed%7Ctwterm%5E1356621851984863240%7Ctwgr%5E%7Ctwcon%5Es1_&ref_url=https%3A%2F%2Feldorar.com%2Fnode%2F160140

AFP, February 2, 2021、ANHA, February 2, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 2, 2021、Reuters, February 2, 2021、SANA, February 2, 2021、SOHR, February 2, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

欧州出身のダーイシュ戦闘員の家族を収容するフール・キャンプ第5区で銃で撃たれ、首を切り落とされた男性の遺体が発見される(2021年2月2日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局の管理下にあるフール・キャンプの第5区で、銃で撃たれた後に頭を切り落とされた男性の遺体が発見された。

トルコで活動する独立系シンクタンクのジュスール研究所が2020年9月1日に発表したレポートによると、フール・キャンプは6つの区画、8つのブロックから構成されている。

6つの区画のうち、第1区には、ダーイシュ(イスラーム国)とつながりがない国内避難民(IDPs)、第2区と第3区にはイラク難民、第4区にはダーイシュとつながりがあるとされるIDPs、第5区には欧州出身のダーイシュ戦闘員の家族、そして第6区にはそれ以外の外国人戦闘員の家族が収容されている。

一方、8つのブロックのうち、第1、2、3、7ブロックにはイラク人難民が、第5、6、8ブロックにはシリア人IDPsが、第4ブロックにはイラク人難民とシリア人IDPsの両方が収容されている。

また、この8ブロックとは別に、シリア、イラク以外の国の出身者が収容されている。

AFP, February 2, 2021、ANHA, February 2, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 2, 2021、Reuters, February 2, 2021、SANA, February 2, 2021、SOHR, February 2, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア軍戦闘機が、ラッカ県、ヒムス県、ハマー県、ダイル・ザウル県の砂漠地帯でダーイシュの拠点を75回以上爆撃(2021年2月2日)

シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機が、ラッカ県、ヒムス県、ハマー県、ダイル・ザウル県の砂漠地帯でダーイシュ(イスラーム国)の拠点に対して75回以上の爆撃を実施した。

ロシア軍による爆撃は過去48時間で100回以上に上っているという。

AFP, February 2, 2021、ANHA, February 2, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 2, 2021、Reuters, February 2, 2021、SANA, February 2, 2021、SOHR, February 2, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ占領下のアレッポ県バーブ市で再び爆発が発生し、1人死亡、4人負傷(2021年2月2日)

アレッポ県では、SANA(2月2日付)、ANHA(2月2日付)によると、トルコの占領下にあるバーブ市の工業地区に仕掛けられていた爆弾が爆発し、住民1人が死亡、4人が負傷した(シリア人権監視団によると、1人死亡、3人負傷)。

一方、ANHAによると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のマルアナーズ村、シャワーリガ村、シャワーリガ砦を砲撃した。

トルコ軍と国民軍はまた、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるマンビジュ市北のアウン・ダーダート村を砲撃した。

**

ラッカ県では、SANA(2月2日付)、ANHA(2月2日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるアイン・イーサー市、同市近郊のサイダー村、穀物サイロ一帯、M4高速道路沿線を砲撃した。

**

ハサカ県では、ANHA(2月2日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるタッル・タムル町北のカースィミーヤ村の民家複数棟に放火した。

AFP, February 2, 2021、ANHA, February 2, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 2, 2021、Reuters, February 2, 2021、SANA, February 2, 2021、SOHR, February 2, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア軍が2ヶ月ぶりにイドリブ県を爆撃、トルコ軍は同県内を通るM4高速道路沿線に監視カメラ設置を開始(2021年2月2日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機複数機が、「決戦」作戦司令室の支配下にあるハルブヌーシュ村北西の武装集団拠点と、クールカーニヤー村一帯を3回にわたって爆撃、戦闘員多数が負傷した。

「決戦」作戦司令室は、シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構とトルコの庇護を受ける国民解放戦線(シリア国民軍)などからなる武装連合体。

ロシア軍がイドリブ県に対して爆撃を行うのは、2020年12月7日以来約2ヶ月ぶり。

また、シリア軍が「決戦」作戦司令室の支配下にあるジスル・シュグール市近郊のズィヤーディーヤ村で車に対して地対地ミサイルで攻撃を行い、子供2人が負傷した。

シリア軍はさらに、「決戦」作戦司令室の支配下にあるザーウィヤ山地方のスフーフン村、ファッティーラ村、バーラ村一帯を砲撃した。

一方、ドゥラル・シャーミーヤ(2月2日付)によると、トルコ軍は、アレッポ市とラタキア市を結ぶM4高速道路沿線各所に監視カメラの設置を開始した。

監視カメラの設置は、沿線一帯のトルコ軍拠点への攻撃を監視するためだという。

このほか、ジスル・シュグール市では車に仕掛けられていた爆弾が爆発した。

**

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シリア政府の支配下にある13カ村で、体制打倒や「シリア革命」支持を訴える落書きが発見された。

落書きが発見されたのは、ダーイル町、フラーク市、ブスラー・シャーム市、ナーフタ町、東カラク村、ジーザ町、カフル・ナースィジュ村、ナワー市、ラジャート高原、イーブ村、インヒル市、ムライハト・アタシュ村、サフム・ジャウラーン村、マターイヤ村。

また、シリア政府支配下のサナマイン市では、軍事情報局に協力していた男性1人が正体不明の武装集団によって銃で撃たれて死亡した。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を20件(イドリブ県6件、ラタキア県11件、アレッポ県3件、ハマー県1件)確認したと発表した。

シリア政府によると、停戦違反は15件。

一方、トルコ側の監視チームは、停戦違反を6件確認したと発表した(ただし、ロシア側はこれらの違反を確認していない)。

AFP, February 2, 2021、ANHA, February 2, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 2, 2021、Ministry of Defence of the Russian Federation, February 2, 2021、Reuters, February 2, 2021、SANA, February 2, 2021、SOHR, February 2, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:難民56人と国内避難民(IDPs)550人が新たにシリア政府支配地域に帰還、2018年半ば以降帰還した難民は647,787人、2019年以降帰還したIDPsは69,971人に(2021年2月2日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(2月2日付)を公開し、2月1日に難民56人(うち女性17人、子供28人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民56人(うち女性17人、子供28人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は647,787人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者252,539人(うち女性75,912人、子ども128,524人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,729,079人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は877,067人(うち女性263,188人、子供447,015人)となった。

**

一方、国内避難民550人が新たに帰宅した。

ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由して帰宅したのは550人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは0人、イドリブ県の「緊張緩和地帯」から帰宅したのは0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は69,971人(うち女性24,594人、子供28,207人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,338,567人(うち女性407,153人、子供671,973人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, February 2, 2021をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

プライス米国務省報道官はトルコ占領下のアレッポ県内で相次ぐ爆破事件を「テロ攻撃」と非難(2021年2月1日)

ネッド・プライス米国務省報道官は報道声明を出し、トルコ占領下のアレッポ県アアザーズ市、バーブ市、アフリーン市で相次いでいる爆破事件に関して、「テロ攻撃」の犠牲者に弔意を示すとしたうえで、「こうした攻撃を深く警戒している」と表明、「暴力行使に関与している者たちは法廷に立たされるべきである」と述べた。

AFP, February 2, 2021、ANHA, February 2, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 2, 2021、Reuters, February 2, 2021、SANA, February 2, 2021、SOHR, February 2, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダイル・ザウル県ブーカマール市近郊の「イランの民兵」の石油精製センターが所属不明の航空機の爆撃で爆発か?(2021年2月1日)

ダイル・ザウル県では、ムドゥン(2月1日付)によると、所属不明の無人航空機複数機が飛来、その直後にシリア政府の支配下にあるブーカマール市近郊の砂漠地帯にある石油精製センター2カ所で爆発が発生した。

同サイトによると、同地には「イランの民兵」の傘下で活動する第47中隊が展開、無人航空機による攻撃は、ミサイル庫など「イランの民兵」の施設やトンネル網を破壊するのが目的だという。

AFP, February 1, 2021、ANHA, February 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 1, 2021、Reuters, February 1, 2021、SANA, February 1, 2021、SOHR, February 1, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるラッカ県アイン・イーサー市近郊を砲撃(2021年2月1日)

ラッカ県では、ANHA(2月1日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるアイン・イーサー市近郊のサイダー村、M4高速道路沿線を砲撃した。

AFP, February 1, 2021、ANHA, February 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 1, 2021、Reuters, February 1, 2021、SANA, February 1, 2021、SOHR, February 1, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

レバノンのヒズブッラーがイスラエル軍のドローンを撃破(2021年2月1日)

レバノンのヒズブッラーが運営するマナール・チャンネル(2月1日付)は、ヒズブッラーが主導するレバノン国民抵抗が、南部県ブリーダー村郊外でイスラエル軍の無人航空機(ドローン)を撃破したと伝えた。

AFP, February 1, 2021、ANHA, February 1, 2021、al-Durar al-Shamiya, February 1, 2021、Reuters, February 1, 2021、SANA, February 1, 2021、SOHR, February 1, 2021などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:難民69人が新たに帰還、2018年半ば以降帰還した難民は647,731人に(2021年2月1日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(2月1日付)を公開し、1月31日に難民69人(うち女性20人、子供35人)が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは難民69人(うち女性20人、子供35人)、ヨルダンから帰国したのは0人。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は647,731人となった。

内訳は、レバノンからの帰還者252,483人(うち女性75,895人、子ども128,469人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者395,248人(うち女性118,618人、子ども201,569人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

43カ国で難民登録したシリア人の数は6,729,079人。

なお、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は877,011人(うち女性263,171人、子供446,987人)となった。

**

一方、国内避難民の新たな帰宅はなかった。

2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は69,421人(うち女性24,401人、子供28,057人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,338,017人(うち女性406,960人、子供671,823人)。

Ministry of Defence of the Russian Federation, February 1, 2021をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

最新論考 青山弘之「シリア:「常態化した非常時」から「実体化した非常時」へ」(CMEPS-J.net Report No. 53)

第1節 弱い国家と社会の関係

シリア内戦のイメージ

2010年末から始まった「アラブの春」と呼ばれる一大政治変動は、20世紀半ばに領域主権国家群が成立して以降、もっとも深刻な混乱を中東にもたらしたと言っても過言ではない。なかでもシリアは「21世紀最悪の人道危機」(worst humanitarian crisis of the 21st century)と評される過酷な紛争に苛まれた。いわゆるシリア内戦である。

中東でもっとも安定した強い国家の一つに数えられていたはずのシリアは、これを境に弱い国家に転落した。国家機能は麻痺し、国防・治安維持能力は低下、福祉などの福祉財も十分提供されなくなった。また、国内での不和と武力衝突が、国家(政権、ないしは体制)と社会(国民)の関係を希薄化させたと考えられた。

続き