アサド大統領は中国の鳳凰衛視の単独インタビューに応じる「復興には中国などからの投資が必要」(2019年12月16日)

アサド大統領は中国の民間衛星テレビ局「鳳凰衛視」(フェニックス・テレビ)(12月16日付)の単独インタビューに応じた。

インタビューは約25分に及び、アラビア語で行われ、大統領府、SANAなどを通じても配信された。

インタビューでのアサド大統領の主な発言は以下の通り:

**

「我々は実際のところ、復興を開始するために、戦時段階の終了、ないしは克服を待ってはいない。既に復興は、大規模地域、小規模地域、村、都市のいずれであれ、どの地域でも解放されればただちに始まっている。復興は幾つかの段階を通じて始まっている。第1段階は、インフラ建設、あるいはインフラ再建だ。これは、特に水道、電気といった分野で進められる。続いて学校、医療センター、病院の復興に映る。だが、復興においてもっとも重要で、これらの次に行われ、我々にとってもっとも大きな挑戦となるのが、とりわけ経済面での生活モデルの再建だ。これには多大な努力、そして内的、外的な環境整備が必要だ。こうした環境は復興に悪影響を及ぼし、復興を遅らせることがある。西側諸国がシリアに対して科している制裁がそれだ。つまり、復興は始まっているが、国内外からのさらなる投資が必要なのだ」。

「中国は特に、復興分野での支援を提供してくれている。だが、人道分野を中心にだ…。中国を含めた友好国と、過去数年間に、復興について大規模な対話はなされていなかった。治安状況が復興プロセスを大規模に開始するのに適切ではなかったからだ。だが、ほとんどの地域が解放された今、我々は中国の多くの企業とこの問題について対話を開始した…。経済生活の再建についても、我々は中国の企業が、研究調査、そしてシリアの市場調査を行うことを希望している…。投資機会を検討すべきだ。周知の通り、戦争で部分的、ないしは完全に破壊された国の復興では、投資分野で大きな収益を上げることができる。債務や無償援助だけでなく、投資が利益をもたらす…。だが、投資関連企業や投資家の間では、(欧米諸国の)制裁対象になることへの懸念が残っている。我々は今、限定的ではあるがシリアの市場に安全に参入する方法を見出している。もちろん、その中身については明らかにしないが、それはシリアの復興プロセスに寄与することになる。こうした支援は単に経済に限られてないと明言したい。なぜなら、復興について話す時、それは二つの理由でシリアの安定に貢献することになるからだ。第1は、難民の帰国だ…。そして第2は、武装勢力やテロリストと活動してきた労働力…との関係の正常回復だ。彼らが武器を棄て、日常生活に復帰すると決心した場合、働く機会が必要となる。中国や友好国がこの分野で貢献することの重要性は、シリアでの安定回復やテロとの戦いで軍事的に貢献することの重要性と同じなのだ」。

「どの投資家にとってもまず必要なのは安全だ…。これについては、我々はテロリストと戦い、地域を次々と解放することで日々取り組んでいる。投資環境について言うと…、我々は二つのことを行っている。第1は、火急の課題として行われているもので、まずは透明性を確保し、投資家の権利、そして義務を明確にすることで…投資環境を改善するというものだ…。だが、より重要で包括的な(第2の)措置として、投資法を検討しなければならない。これに関しては、投資法を世界の多くの国にある投資法と同じようなへと改善し、投資に関する国際基準を満たすため、多くの段階に踏み込んできた。この法は投資家がシリアで投資を行うにあたっての保障を明確に規定している。法的保障、財務上の保障、免除…、税務などだ…。我々はこの法律(改正)の最終段階にあり、それは近く施行されるだろう」。

「(中国の投資家がシリアへの投資を行うにあたって)二つの障害が残っている。第1は、シリアと中国の間には、送金を行うための効率的な緊急チャンネルがないことだ。この問題の根本原因の一つは制裁だ…。投資家がシリアに来ようとする場合、この点を解決する策を案出しなければならない。両国の金融機関で解決しなければならない。それにや二国家レベルでの議論や対話が必要だ」。

「第2点は、中国の多くの企業が抱いている懸念だ…。かつては、どの中国の専門家もシリアに来ることに大きな懸念を抱いてきた。この問題は最近になって改善され始めている…。だが、中国資本の投資について話す場合、さらなる安心感を与える必要がある。我々は国家として多くの努力を払っており、中国の国歌、関係機関、投資を保証する機関にも投資家にシリア行きを奨励するよう期待している」。

「それ(一帯一路)について戦略面の話をするのなら、それは世界レベルでの戦略の変化、国際関係の質の変化だと言いたい。世界の現状を見ると、世界を支配しているのは米国を初めとする西側の覇権確立に向けた試みだ…。それは国家どうしの紛争の段階でもある。この紛争は、対立し合う局覇権の程度、とりわけ西側が自らの利益を実現するためそれ以外の局にどの程度覇権を及ぼすかによって左右されてきた…。諸国民はより強大な国々の奴隷と化していた。だが今は、新たな超大国が出現した。中国だ。中国は世界にその影響を拡大しようと試みている。だが、どのような影響力だろう? 我々が考えているような悪い意味での影響力ではなく、友好関係や共通の国益に基づく影響力だ。我々がシリク・ロードの一部をなしていると考える時、シリアは、国際的な基準においても、地理、人工、経済、軍事面でも小国に過ぎないが…、シルク・ロードのうえに位置している。だが、それ以上に重要なのは、この新たな道(一帯一路)が歴史に由来していて、しかも21世紀に対応しているということだ。この道は絶え間なく続く道なのだ」。

「我々はこの道の一部をなす時、中国は、小国に対峙する大国としてではなく、我々と絶え間なく関わってくれる。そこには共通の利益がある。中国、シリア、そしてこの道が通るすべての国に利益をもたらす…。それは文明に基づく関係、文化に基づく関係であり、反映、投資、社会・経済・治安状況の改善をこれらの国にもたらす。そしてそれは世界がさらに安定することを意味する」。

「戦争の最初の数年は、安定が亡かったために、それ(一帯一路への関与)は我々の優先事項ではなかった…。今は、こうした段階を克服し、安定を始め、シリアの経済も動き出している。今年になって、我々は中国政府と、シリアがどのようにシルク・ロードの一部となるかについての真剣な対話を始めた…。インフラについての教義も最近になって始まった。それはシリアが将来、シルク・ロードの一部をなすうえでもっとも重要な要素の一つだ。我々は多くのプロジェクトを最近数ヶ月の間に提示した」。

「(ドナルド・)トランプ(米大統領)について話したインタビューのなかで、私は、彼がより透明性を持っているがゆえにましだ、と言ったことがある。もちろん、まし、というのは良いという意味ではないが、透明性は良いものだ。なぜなら、とくに西側の政策は、世界に対して自らの真意を隠す仮面で覆われていることに慣れさせられてきたからだ。我々は米国の政治システムが我々が理解しているような国家のシステムではないことを知っておかねばならない。ロビー・システムとでも言うものだからだ。米国を支配しているのは、石油であれ、武器であれ、銀行であれ、それ以外のものであれ、資本のロビーだ…。大統領に善意があろうが、かれはロビー・ポリティクスから逸脱はできない…。私は米国の政策が今後数年間は変わらないと考えている…。だから、我々はは、誰が米大統領になり、誰が退くかは考慮はしない」。

「(トランプ米大統領によるシリア駐留部隊の撤退決定と部隊の残留に関して)それは(米国の)政策がロビーによって支配されていると私が指摘しているものを再認識させるものだ。同時に、この国は原則によってではなく、企業の利益によって支配はされていないということも分かる。その利益とは、油田を占領し、石油を盗み、販売するというものだ。この国、そしてこの体制は、国際法、さらには自国の法律を顧みずに企業のために行動するだろう」。

「米国は(シリアに駐留する米軍部隊が)数千人、あるいは数百人だと発表している。数千人と言う場合、それは戦争を支持しているロビーに向けて言っているのであって…、数百人という言う場合、戦争に反対する人々に話している…。しかし、真実はいずれの数字でもない。理由は簡単だ。この数字が仮に正しいとしても、それは米軍兵士の数を指しているに過ぎず、米軍とともに戦闘している者の数は示していないからだ。米政権はイラクなどでブラック・ウォーター社などの民間企業に多く依存している。シリアに数百人の兵士がいるという場合、こうした企業によって雇用されている数千、あるいは数万人の民間人もおり、シリア国内で戦闘を行っていることになる。だから本当の数を知るのは困難だ。だが、数千人いることは確実だ」。

「米国が来る前、ヌスラ戦線(シャーム解放機構)が最初にこれらの油田に投資をしていた。ダーイシュ(イスラーム国)がやって来て、ヌスラ戦線が去った後…、ヌスラ戦線は実際には去ったのではなくて、ダーイシュが吸収して、ダーイシュを名乗るようになったのだが…、そのときダーイシュも石油を盗み、密売した。どこへ? トルコを経由して密売されていた。今日、アメリカは石油を盗み、トルコに売りさばいている。トルコはこれらのグループと石油の密売における共犯者だ」。

「ほとんどの油田が今もテロ組織の支配下、法の支配の外にあり、米国の指揮下に置かれている。石油に関して言うと、状況は現時点でもあまり変わっていない」。

「まず、米国はテロリストに依存しているので、テロリストに打撃を与えなければならない。これがシリアにおける我々の最優先課題だ。テロリストに打撃を与えれば、米国のプレゼンスは弱まる…。そのうえで、米国の支配下にあるシリアのグループを、対話を通じて…説得しなければならない。祖国のゆりかごに復帰し、全土解放に向けた努力に参加することが皆の利益なのだ。そうなれば…、大衆的な抵抗が生じ…、米国は結果出て行くことになるだろう」。

「(イラク、レバノン、イランでの抗議デモに関して)近隣諸国は我々に直接の影響を及ぼす…。だが、同時に中東は一つの地域で、その社会構成は類似しており…、隣接していなくともそれぞれの国の利益は結びつき合っている…。こうした運動(抗議デモ)が市民が被っている問題を対処するための運動であるなら、それは経済、政治などの状況を改善することに繋がるだろう。こうした影響は良いものだと言える。だが、論理的に考えた場合、西側諸国、とくに米国はこうした国が自発的に動くことを放っておくだろうか? おそらく介入し、利用することで、混乱を創り出そうするはずだ。なぜなら、イラク戦争以降…の米国の政策は、いわゆる「建設的カオス」を作り出そうとしてきたからだ」。

https://youtu.be/59GQlEorylo

AFP, December 16, 2019、ANHA, December 16, 2019、AP, December 16, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 16, 2019、Reuters, December 16, 2019、SANA, December 16, 2019、SOHR, December 16, 2019、UPI, December 16, 2019、鳳凰衛視, December 16, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

反体制組織のシリア対応調整者:10月以降ロシア・シリア軍の攻撃で10万人弱が新たに避難(2019年12月16日)

反体制組織のシリア対応調整者は声明を出し、緊張緩和地帯第1ゾーン(イドリブ県、ラタキア県北東部、アレッポ県西部、ハマー県北部)の境界地帯に設置されている非武装地帯に対するシリア・ロシア軍の攻撃により、10月以降9万8000人以上(1万7761世帯)が避難を余儀なくされたと発表した。

また12月に入って以降の寒波で、国内避難民(IDPs)5761世帯が再避難を余儀なくされたという。

AFP, December 16, 2019、ANHA, December 16, 2019、AP, December 16, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 16, 2019、Reuters, December 16, 2019、SANA, December 16, 2019、SOHR, December 16, 2019、UPI, December 16, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イスタンブール県法医学研究所はホワイト・ヘルメット創設者の英国人ルムジュリアー氏の死因を「高所から落下したことによる内出血と骨折」と結論づける(2019年12月16日)

トルコのイスタンブール県法医学研究所は、11月11日にイスタンブール市の自宅近くで遺体で発見されたホワイト・ヘルメット創設者の英国人ジェームズ・ルムジュリアー氏の検死結果を発表した。

4ページからなる検死報告書によると、ルムジュリアー氏は高所から落下したことによる内出血と骨折で死亡したという。

また、AFP(12月16日付)は複数の消息筋の話として、現場から第三者のDNAを検出されておらず、トルコ警察は自殺として事件に対応する見込みだと伝えた。

トルコの複数のメディアは、ルムジュリアー氏が精神疾患を煩い介護を求めており、また婦人も警察に、死の2週間前から同氏が自殺しようとしていたと証言したと伝えていた。

AFP, December 16, 2019、ANHA, December 16, 2019、AP, December 16, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 16, 2019、Reuters, December 16, 2019、SANA, December 16, 2019、SOHR, December 16, 2019、UPI, December 16, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍はアレッポ県北部、ラッカ県を砲撃(2019年12月16日)

アレッポ県では、ANHA(12月16日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のシャワーリガ村、マーリキーヤ村を砲撃した。

**

ラッカ県では、ANHA(12月16日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がタッル・アブヤド市近郊の」カズアリー村を砲撃した。

AFP, December 16, 2019、ANHA, December 16, 2019、AP, December 16, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 16, 2019、Reuters, December 16, 2019、SANA, December 16, 2019、SOHR, December 16, 2019、UPI, December 16, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア・シリア両軍が反体制派支配下のイドリブ県への爆撃を強化、ヒズブッラー、国防隊、ロシア軍特殊部隊が県南東部に増派(2019年12月16日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がハッラーン村、ラッファ村、ムアスラーン村一帯、マアッル・シャマーリーン村、ビンニシュ市一帯、ハーミディーヤ村、イドリブ市東部一帯、サイヤーディー村、マアッラト・ヌウマーン市一帯、マアッルシューリーン村、カフルルーマー村を爆撃した。

シリア軍も、戦闘機がマアッラト・ヌウマーン市および同市郊外を通る高速道路を爆撃、ヘリコプターがハラーキー村、ダイル・シャルキー村一帯、サルマーン村一帯、ムアスラーン村、ガドファ村、アブー・ダフナ村、マアッル・シャマーリーン村、マアッルシャムシャ村、アブー・マッキー村、ワーディー・ダイフ村、タッル・マンス村、マアッラト・ヌウマーン市東部一帯、タフターヤー村、マアッルシューリーン村、ジャルジャナーズ町、アイン・クライウ村を「樽爆弾」で爆撃、地上部隊がマアッラト・ヌウマーン市一帯、ブダーマーを砲撃した。

一方SANA(12月16日付)によると、シリア軍がスィンジャール町一帯に進攻を試みた反体制武装集団を撃退した。

ドゥラル・シャーミーヤ(12月16日付)によると、ガドファ村に対する攻撃で子ども2人が、マアッル・シャマーリーン村では女性2人と女児1人が死亡した。

他方、ザマーン・ワスル(12月16日付)によると、ヒズブッラーの戦闘員500人、国防隊隊員600人が、ダマスカス国際空港からハマー県ハマー市のハマー航空基地に空路で派遣された。

また、ロシア軍がタマーニア町にある「イランの民兵」の作戦司令室との連携のもと、戦車、装甲車、四輪駆動車など最新鋭の兵器を前線に配備し、ハーン・シャイフーン市およびカムハーナ町方面から、アブー・ズフール航空基地にロシア軍第25特殊任務師団所属の歩兵180人以上を終結させたという。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がジャズラーヤー村を爆撃した。

シリア軍地上部隊もハイヤーン町を砲撃した。

一方、SANA(12月16日付)によると、反体制武装集団がザフラー町を砲撃し、住民多数が負傷した。

また、ANHA(12月16日付)によると、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾複数発がシリア政府支配下のアレッポ市ハーリディーヤ地区・シルヤーン地区間の一帯に着弾した。

**

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がカッバーナ村一帯を砲撃した。

**

ダマスカス県では、SANA(12月16日付)によると、ナフル・イーシャ地区で車に仕掛けられていた爆弾が爆発し、1人が死亡した。

AFP, December 16, 2019、ANHA, December 16, 2019、AP, December 16, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 16, 2019、Reuters, December 16, 2019、SANA, December 16, 2019、SOHR, December 16, 2019、UPI, December 16, 2019、Zaman al-Wasl, December 16, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから386人、ヨルダンから496人の難民が帰国、避難民0人が帰宅(2019年12月17日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(12月17日付)を公開し、12月15日に難民882人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは386人(うち女性116人、子供197人)、ヨルダンから帰国したのは496人(うち女性149人、子供253人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は495,087人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者157,376人(うち女性47,572人、子ども80,505人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者337,811人(うち女性101,385人、子ども172,272人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,676,088人(うち女性2,002,826人、子供3,404,805人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 724,367人(うち女性217,615人、子供369,699人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, December 16, 2019をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

英日刊紙:2018年4月の東グータ地方でシリア軍が塩素ガスを使用したとの主張に反する文書の「すべての痕跡の削除」をOPCW幹部が指示(2019年12月15日)

『メール・オン・サンデー』(12月15日付)は、2018年4月にダマスカス郊外県東グータ地方のドゥーマー市で発生した化学兵器使用疑惑事件に関して、化学兵器禁止機関(OPCW)幹部が、化学兵器が装填されているガス・ボンベが空中から投下されたという主張に反する文書の「すべての痕跡を消し去る」よう要請していたと伝えた。

『メール・オン・サンデー』は11月にも、専門家による中間報告が検閲を受けて、内容を変更されたことに抗議する実際のメールを明らかにしていた。

**

同紙が独自に入手したこの中間報告は、今年3月に発表された最終報告書とまったく異なっているという。

具体的には、最終報告書では、ドゥーマー市で塩素が使用された「合理的根拠」があると結論づけているのに対して、中間報告では、検出された塩素が微量で、どの家庭にもある程度の量だとしていた。

また中間報告では、「事実調査団(FFM)は、鉄筋で補強された屋根の破壊に比して、一定の高さから投下されたとされるボンベの損傷が警備であることについて満足のいく説明を行うことができない…。第4現場(ボンベが発見された2カ所のうちの1カ所)の場合、どのようにしてボンベがベッドの上に到達したのか、それが部屋に貫通したとされる場所を踏まえても、不明確なままである」と指摘していた。

さらに最終報告書では、中間報告に記載されていた多くの具体的な証拠も削除されたという。

そのなかには「窒息や出血をもたらす塩素と推定される物質の存在と、目撃者の証言、ビデオ、写真などで確認できる症状の間の一貫性は合理的に説明できない」といった指摘がも含まれているという。

**

これに関して、OPCWの元検査官で、ドゥーマー市での調査にも参加していたイアン・ヘンダーソン氏は、発見された2本のボンベはいずれも人為的に置かれた可能性が高いと結論づけていた。

ヘンダーソン氏は、自身の調査内容を最終報告書に盛り込もうと試みたが、削除されたために、文書記録アーカイブ(DRA)で文書を保管した。

しかし、「ヴォルドモート」と呼ばれるOPCWの幹部が、この文書だけでなく、送付記録、さらにはストレージなど文書にかかるすべての痕跡を消し去るよう命じたという。

AFP, December 15, 2019、ANHA, December 15, 2019、AP, December 15, 2019、The Daily Mail, December 15, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 15, 2019、Reuters, December 15, 2019、SANA, December 15, 2019、SOHR, December 15, 2019、UPI, December 15, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシアがハサカ県で民兵結成に向けてアームーダー市、タッル・タムル町で若者を募集(2019年12月15日)

ハサカ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(12月15日付)が複数の情報筋の話として伝えたによると、ロシア軍がアームーダー市、タッル・タムル町で民兵を結成するため、地元の若者への募集を開始した。

同情報筋によると、民兵には15万シリア・ポンド(約200米ドル)の月給が支給され、カーミシュリー国際空港に新設されたロシア軍の基地で教練を受けるという。

AFP, December 15, 2019、ANHA, December 15, 2019、AP, December 15, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 15, 2019、Reuters, December 15, 2019、SANA, December 15, 2019、SOHR, December 15, 2019、UPI, December 15, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がラッカ県アリーダ村を砲撃(2019年12月15日)

ラッカ県では、ANHA(12月15日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がアリーダ村を砲撃した。

AFP, December 15, 2019、ANHA, December 15, 2019、AP, December 15, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 15, 2019、Reuters, December 15, 2019、SANA, December 15, 2019、SOHR, December 15, 2019、UPI, December 15, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米軍装甲車がシリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるハサカ市内でパトロール活動(2019年12月15日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、米軍装甲車4輌からなる部隊がカーミシュリー市近郊のハイムー村に設置された基地から、シリア政府と北・東シリア自治局の共同支配下にあるハサカ市に入り、市内の複数の交差点でパトロール活動を行った。

https://www.facebook.com/syriahro/posts/10158383768073115

 

AFP, December 15, 2019、ANHA, December 15, 2019、AP, December 15, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 15, 2019、Reuters, December 15, 2019、SANA, December 15, 2019、SOHR, December 15, 2019、UPI, December 15, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア軍がイドリブ県への爆撃を再開(2019年12月15日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍がシャーム解放機構など反体制武装集団の支配地域への爆撃を3日ぶりに再開、アブー・マッキー村、ハッラーン村、サルマーン村一帯、ジャルジャナーズ町一帯を攻撃した。

シリア軍地上部隊も、ヒーシュ村、スィフヤーン村、サハール村、サルジュ村、タッル・ダム村、ナージヤ村を砲撃した。

これに対して、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団は、ビダーマー町、スィンジャール町一帯を砲撃した。

**

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターがカッバーナ村一帯を「樽爆弾」で爆撃、地上部隊が同地を砲撃した。

**

ダルアー県では、ドゥラル・シャーミーヤ(12月15日付)によると、ナーフタ町とブスル・ハリール市を結ぶ街道で、警官2人が何者かの襲撃を受け、1人が死亡、1人が負傷した。

また、ナーミル村とスーラ町を結ぶ街道では第52旅団の車輌が爆弾の爆発に巻き込まれ、乗っていた士官らが負傷した。

**

ヒムス県では、バーディヤ24(12月15日付)によると、タドムル市とスフナ市を結ぶ街道でファーティミーユーン旅団の車が爆弾の爆発に巻き込まれ、多数が負傷した。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を19件(イドリブ県9件、ラタキア県5件、アレッポ県4件、ハマー県1件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を12件(イドリブ県11件、ラタキア県1件、アレッポ県0件、ハマー県0件)確認した。

AFP, December 15, 2019、ANHA, December 15, 2019、AP, December 15, 2019、al-Badiya 24, December 15, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 15, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, December 15, 2019、Reuters, December 15, 2019、SANA, December 15, 2019、SOHR, December 15, 2019、UPI, December 15, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから398人、ヨルダンから529人の難民が帰国、避難民4人(うちルクバーン・キャンプからの帰還者0人)が帰宅(2019年12月15日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(12月15日付)を公開し、12月14日に難民927人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは398人(うち女性120人、子供203人)、ヨルダンから帰国したのは529人(うち女性159人、子供270人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は494,205人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者156,890人(うち女性47,456人、子ども80,308人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者337,315人(うち女性101,315人、子ども172,019人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,676,088人(うち女性2,002,826人、子供3,404,805人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 723,485人(うち女性217,350人、子供369,249人)となった。
**
一方、国内避難民4人が新たに帰宅した。

うちダマスカス郊外県東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは4人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所を経由して帰還した4人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は37,633人(うち女性11,516人、子供17,095人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,306,229人(うち女性394,075人、子供660,861人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, December 15, 2019をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ダイル・ザウル24はサウジアラムコが米占領下のダイル・ザウル県南東部の油田への投資を決定したと伝える(2019年12月14日)

ダイル・ザウル24(12月13日付)は、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコがダイル・ザウル県南東部の油田への投資を決定したと伝えた。

同サイトによると、サウジアラムコの公式使節団が数日前に米主導の有志連合が占領するウマル油田を訪問し、施設を視察したという。

サウジアラムコは、米政府との契約を通じて投資を行う予定だという。

AFP, December 14, 2019、ANHA, December 14, 2019、AP, December 14, 2019、Dayr al-Zawr 24, December 14, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 14, 2019、Reuters, December 14, 2019、SANA, December 14, 2019、SOHR, December 14, 2019、UPI, December 14, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア外務省は北・東シリア自治局支配地域で拘束されていたダーイシュ・ロシア人メンバーの子ども5人がシリア政府支配地域に移送されたと発表(2019年12月14日)

ロシア外務省は、北・東シリア自治局支配地域で拘束されていた児童5人がシリア政府支配地域に移送されたと発表した。

5人はダーイシュ(イスラーム国)のロシア人戦闘員の子どもで、シリア政府と人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍が移送に際して連携したという。

ロシア外務省によると、これまでにダーイシュのロシア人戦闘員の子ども8人がシリアからロシアに移送されてたという。

スプートニク・ニュース(12月13日付)が伝えた。

AFP, December 14, 2019、ANHA, December 14, 2019、AP, December 14, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 14, 2019、Reuters, December 14, 2019、SANA, December 14, 2019、SOHR, December 14, 2019、Sputnik News, December 14, 2019、UPI, December 14, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米軍車輌がイラクから侵入し、ハサカ県カーミシュリー市方面に向かう(2019年12月14日)

ハサカ県では、SANA(12月13日付)、ユーフラテス・ポスト(12月13日付)によると、武器弾薬、兵站物資、燃料などを積載した車輌数十両からなる米軍の車列がスィーマルカー国境通行所からシリア領内から侵入し、カーミシュリー市方面に向かった。

AFP, December 14, 2019、ANHA, December 14, 2019、AP, December 14, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 14, 2019、Euphrates Post, December 14, 2019、Reuters, December 14, 2019、SANA, December 14, 2019、SOHR, December 14, 2019、UPI, December 14, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がアレッポ県、ラッカ県各所を砲撃(2019年12月14日)

アレッポ県では、ANHA(12月14日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がカズアリー村と同地の穀物サイロを砲撃した。

一方、シリア人権監視団によると、人民防衛隊(YPG)主体のシリア民主軍がバーブ市西のダグルバーシュ村方面に進攻、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がこれを撃退した。

**

ラッカ県では、シリア人権監視団、ANHA(12月14日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がアイン・イーサー市西のフーシャーン村、サイダー村を砲撃した。

AFP, December 14, 2019、ANHA, December 14, 2019、AP, December 14, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 14, 2019、Reuters, December 14, 2019、SANA, December 14, 2019、SOHR, December 14, 2019、UPI, December 14, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がハサカ県、ラッカ県、アレッポ県各所を砲撃(2019年12月13日)

ハサカ県では、シリア人権監視団、ANHA(12月13日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がタッル・ワルド村に近いウンク・ハワー村、アブー・ラースィーン(ザルカーン)町に近いタッル・シャイール村を砲撃した。

**

ラッカ県では、ANHA(12月13日付)によると、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍がタッル・アブヤド市近郊のカズアリー村および同地の穀物サイロ、ビールカヌー村、サアルナジュキー村を砲撃した。

**

アレッポ県では、ANHA(12月13日付)によると、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるタッル・リフアト市近郊のハルバル村をトルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が砲撃した。

AFP, December 13, 2019、ANHA, December 13, 2019、AP, December 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 13, 2019、Reuters, December 13, 2019、SANA, December 13, 2019、SOHR, December 13, 2019、UPI, December 13, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イドリブ県でシリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が交戦(2019年12月13日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊が県南東部の放棄された大隊基地一帯でシャーム解放機構などからなる反体制武装集団と交戦、同地を砲撃した。

シリア軍地上部隊はまた、ビダーマー町、ヒーシュ村、タッフ村、タフターヤー村、バーブーリーン村を砲撃した。

**

ダルアー県では、ドゥラル・シャーミーヤ(12月13日付)によると、サナマイン市にある空軍情報部の士官が所有する酒屋に何者かがRPG弾を打ち込んだ。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を21件(イドリブ県8件、ラタキア県6件、アレッポ県5件、ハマー県2件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を13件(イドリブ県8件、ラタキア県1件、アレッポ県1件、ハマー県3件)確認した。

AFP, December 13, 2019、ANHA, December 13, 2019、AP, December 13, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 13, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, December 13, 2019、Reuters, December 13, 2019、SANA, December 13, 2019、SOHR, December 13, 2019、UPI, December 13, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イランがダイル・ザウル県南東部のいわゆる「イマーム・アリー基地」に建設物資を搬入(2019年12月12日)

反体制派系サイトのユーフラテス・ポスト(12月12日付)は、イランがダイル・ザウル県南東部のいわゆる「イマーム・アリー基地」(イマーム・アリー・コンパウンド)に、セメントや鉄鋼などの建設物資を積んだ貨物車輌多数を派遣したと伝えた。

貨物車輌は、イランの建設ジハード機構の車輌で、シリア・イラク国境に位置するユーフラテス川西岸のカーイム・ブーカマール国境通行所を経由してシリア領内に入った。

AFP, December 12, 2019、ANHA, December 12, 2019、AP, December 12, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 12, 2019、Euphrates Post, December 12, 2019、Reuters, December 12, 2019、SANA, December 12, 2019、SOHR, December 12, 2019、UPI, December 12, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア軍とトルコ軍がハサカ県ダルバースィーヤ市西の国境地帯で合同パトロール(2019年12月12日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ロシア軍とトルコ軍がダルバースィーヤ市西の国境地帯で合同パトロールを実施した。

**

アレッポ県では、アフリーン解放軍団が声明を出し、トルコ占領下のカフルハーシル村で11日、トルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍を攻撃し、戦闘員2人を殺害したと発表した。

ANHA(12月12日付)が伝えた。

AFP, December 12, 2019、ANHA, December 12, 2019、AP, December 12, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 12, 2019、Reuters, December 12, 2019、SANA, December 12, 2019、SOHR, December 12, 2019、UPI, December 12, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

イドリブ県、ハマー県で、シリア軍とシャーム解放機構などからなる反体制武装集団が激戦(2019年12月12日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊が、ナージヤ村、タフターヤー村、ヒーシュ村、放棄された大隊基地、シャイフ・イドリース村、ムアスラーン村、ウンム・ジャラール村、ラッファ村を砲撃、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団と激しく交戦した。

シリア軍地上部隊はまた、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団の支配下にあるジャルジャナーズ町を地対地ミサイルで攻撃した。

ロシア軍戦闘機もジャルジャナーズ町、ウンム・ティーナ村を爆撃した。

これに対して、シャーム解放機構などからなる反体制武装集団はアブー・クマイス村を砲撃した。

また、新興のアル=カーイダ系組織のアンサール・タウヒードも、アブー・ズフール町、ハフィーヤ村、スッカリーヤ村、タッル・アッズー村、ザハビーヤ村、ハミーマート・ダーイル村、バラーギースィー村を砲撃した。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団がバドリーヤ村一帯でシリア軍地上部隊との砲撃戦・戦闘の末、シリア軍を撤退させた。

**

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、タファス市でシリア政府との和解に応じた元反体制武装集団メンバーが何者かに撃たれて死亡した。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ジュダイダト・アルトゥーズ町の高等学校の壁に、「イランの民兵」の退去、逮捕者釈放を求める落書きが書かれているのが発見された。

また、ドゥラル・シャーミーヤ(12月13日付)によると、

ザーキヤ町ではシリア政府を批判する落書きが多数発見された。

落書きには、いずれも「カシオン連隊」、「ザーキヤ革命家たち」という組織名が合わせて記されていたという。

一方、カナーキル村では、治安部隊の拠点複数カ所が武装集団の襲撃を受けた。

 

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を27件(イドリブ県6件、ラタキア県8件、アレッポ県2件、ハマー県5件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を28件(イドリブ県18件、ラタキア県3件、アレッポ県2件、ハマー県5件)確認した。

AFP, December 12, 2019、ANHA, December 12, 2019、AP, December 12, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 12, 2019、December 13, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, December 12, 2019、Reuters, December 12, 2019、SANA, December 12, 2019、SOHR, December 12, 2019、UPI, December 12, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから311人、ヨルダンから548人の難民が帰国、避難民0人が帰宅(2019年12月12日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(12月12日付)を公開し、12月10日に難民859人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは311人(うち女性93人、子供158人)、ヨルダンから帰国したのは548人(うち女性164人、子供279人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は491,423人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者155,706人(うち女性47,101人、子ども79,704人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者335,717人(うち女性100,756人、子ども171,204人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,676,088人(うち女性2,002,826人、子供3,404,805人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 720,703人(うち女性206,246人、子供350,393人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, December 12, 2019をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

米下院はシリア政府、ロシア、イランへの制裁を目的とするシーザー・シリア市民保護法案を可決(2019年12月11日)

米下院(定数435)は、シリア政府への制裁を目的としたシーザー・シリア市民保護法案(H.R.31 – Caesar Syria Civilian Protection Act of 2019)を賛成377票、反対48票で可決した。

シーザー・シリア市民保護法案は、2016年に超党派の議員によって提出された法案で、シリア国民に対する犯罪を続けるシリア政府・軍の高官、シリアを後援する個人・法人、そしてシリア政府を支援するロシア、イランなど諸外国の個人・法人に対して制裁を科すことを定めている。

下院で可決された法案は、上院での審議に回され、上院での可決後に大統領の署名をもって施行される。

法案全文は、https://www.congress.gov/bill/116th-congress/house-bill/31/textを参照のこと。

AFP, December 12, 2019、ANHA, December 12, 2019、AP, December 12, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 12, 2019、Reuters, December 12, 2019、SANA, December 12, 2019、SOHR, December 12, 2019、UPI, December 12, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アスタナ14会議はクルド民族主義勢力と米国による「分離主義的アジェンダ」に異議を表明、油田地帯を違法に占領する米軍の撤退を求める(2019年12月11日)

カザフスタンの首都ヌルスルターン(旧アスタナ)で12月10日に開幕していたシリア政府と反体制武装集団の停戦を目的とするアスタナ14会議が2日間の議事を終えて閉幕した。

会議は、シリア政府代表、反体制派代表(シリア軍事革命諸勢力代表団)、保障国であるロシア、トルコ、イラン、そしてヨルダン、イラク、レバノンの代表による個別会談、ないしは三者会談を通じて行われ、シリア政府代表と反体制派代表の直接交渉はなされなかった。

**

会議の保障国であるロシア、イラン、トルコは閉幕声明で、「自治に向けたイニシアチブ」(米国が支援する北・東シリア自治局による自治)などシリア領内で新たな現状を創り出そうとするあらゆる試みが、「テロとの戦い」を口実とした違法な行為だと断じ、シリアの主権、領土の一体性に反する分離主義的なアジェンダに異議を表明、1998年にシリアとトルコが交わしたアダナ合意の重要性を強調した。

三カ国はまた、シリア領内の(米国による)油田地帯の支配についても違法だと非難、シリア政府に返還しなければならないと強調した。

和平プロセスについては、国連安保理決議第2254号に基づく政治プロセスを推し進める意志を改めて示したうえで、制憲委員会(憲法委員会)設置の重要性を強調した。

人道支援については、その政治化に異議を唱え、前提条件なしの支援を国際社会に呼びかけた。

また、難民、国内避難民(IDPs)の帰還の必要についてもこれを確認し、国際社会に支援を呼びかけた。

一方、三カ国は、最近のイスラエル軍による越境攻撃についても、国際法違反、主権侵害と非難した。

**

ロシアの代表団を率いるアレクサンドル・ラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使は会議閉幕に合わせて開かれた記者会見で、米国の駐留を含むあらゆる問題について協議したことを明らかにしたうえで、この駐留が違法で、シリア領内の天然資源を搾取しようとしていると非難、撤退する必要があると強調した。

また、復興プロセスや人道支援については政治化すべきでないと述べ、西側諸国による制裁が解除されるべきだと付言した。

**

イランの代表を率いるアリー・アスガル・ハージー外務大臣補は、テロとの戦いを貫徹する必要があると述べるとともに、シリアの主権を維持、領土を保全すべきだと強調、制憲委員会(憲法委員会)に改めて指示を表明した。

ハーッジー大臣補はイドリブ県のほとんどがテロ組織によって掌握されていると指摘、また米国によるシリア北東部の油田地帯支配は拒否されるべきだと指弾した。

**

シリアの代表を率いるバッシャール・ジャアファリー国連シリア代表は、「テロとの戦い」を貫徹するとの意志を改めて示すとともに、トルコがアスタナ会議での制約に違反して、テロ組織への支援を続け、シリアの領土を占領していると非難した。

AFP, December 11, 2019、ANHA, December 11, 2019、AP, December 11, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 11, 2019、Reuters, December 11, 2019、SANA, December 11, 2019、SOHR, December 11, 2019、UPI, December 11, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるマルアナーズ村、マンナグ航空基地一帯(アレッポ県)をトルコ軍と国民軍が砲撃(2019年12月11日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、北・東シリア自治局とシリア政府の共同支配下にあるマルアナーズ村、マンナグ航空基地一帯をトルコ軍とその支援を受けるシリア国民軍が砲撃した。

一方、トルコ占領下のバーブ市で、国民軍所属のスルターン・ムラード師団の車輌に仕掛けられていた爆弾が爆発し、メンバー1人が死亡した。

このほか、アフリーン解放軍団は声明を出し、8~9日にシャッラー村近郊のマイダーニカ村・カルマク村間の街道とアアザーズ市近郊で国民軍所属のスルターン・ムラード師団とハムザ師団を攻撃し、戦闘員9人を殺害したと発表した。

ANHA(12月11日付)が伝えた。

AFP, December 11, 2019、ANHA, December 11, 2019、AP, December 11, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 11, 2019、Reuters, December 11, 2019、SANA, December 11, 2019、SOHR, December 11, 2019、UPI, December 11, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

シリアのアル=カーイダであるシャーム解放機構がイドリブ県南東部の放棄された大隊基地を制圧(2019年12月11日)

イドリブ県では、ドゥラル・シャーミーヤ(12月11日付)やシャーム解放機構に近いイバー・ネット(12月11日付)によると、シャーム解放機構のアサーイブ・ハムラー(赤鉢巻)部隊とアブー・バクル・スィッディーク軍がシリア軍との激しい戦闘の末に、県南東部の放棄された大隊基地を制圧した。

シリア人権監視団によると、この戦闘でシリア軍兵士10人、シャーム解放機構戦闘員5人が死亡した。

同監視団によると、シリア軍地上部隊は、放棄された大隊基地(シャーム解放機構支配下)に進軍を試み、同地を砲撃、ロシア軍戦闘機もが同地を爆撃した。

シリア軍地上部隊はまた、タッフ村、ダイル・シャルキー村、ダイル・ガルビー村、ウンム・ジャラール村一帯、イウジャーズ村一帯、アブー・ズフール町一帯、ラッファ村、ハルバ村、サルジュ村、カルサンタ村、アブー・マッキー村、ビダーマー町を砲撃した。

さらに、シリア軍戦闘機がウンム・ティーナ村を爆撃した。

これに対して、反体制武装集団は無人化大隊基地一帯でシリア軍地上部隊を迎撃するとともに、マダーヤー村一帯を砲撃した。

**

ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がズィヤーラ町を砲撃した。

一方、SANA(12月11日付)によると、シリア軍がフライカ村で反体制武装集団の無人航空機(ドローン)を撃墜した。

**

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターがカッバーナ村一帯を「樽爆弾」で爆撃した。

**

ダマスカス郊外県では、サウト・アースィマ(12月12日付)によると、東グータ地方ドゥーマ市にある総合情報部の検問所が何者かの襲撃を受けた。

**

ロシア国防省は声明を出し、過去24時間で「緊張緩和地帯設置にかかる覚書」への違反を24件(イドリブ県9件、ラタキア県6件、アレッポ県4件、ハマー県5件)確認したと発表した。

トルコ側の監視チームは停戦違反を12件(イドリブ県2件、ラタキア県3件、アレッポ県5件、ハマー県5件)確認した。

AFP, December 11, 2019、ANHA, December 11, 2019、AP, December 11, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 11, 2019、Ministry of Defence of the Russian Federation, December 11, 2019、Reuters, December 11, 2019、SANA, December 11, 2019、Sawt al-‘Asima, December 12, 2019、SOHR, December 11, 2019、UPI, December 11, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシアのラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使「イドリブ県での大規模な軍事作戦を行う意図はない」(2019年12月10日)

ロシアのアレクサンドル・ラヴレンティフ・シリア問題担当大統領特使はアスタナ14会議開催(12月11日)を前日に控え、シリア情勢に関して、イドリブ県での大規模な軍事作戦を行う意図はない、と述べた。

ラヴレンティフ特使は「我々のパートナーであるトルコがいわゆる「武装集団」に対して適切な措置を講じなければならない…。これらの集団が挑発を繰り返している…。民間人を苦しめることは断じて受け入れられない。止めねばならない」と強調した。

AFP, December 10, 2019、ANHA, December 10, 2019、AP, December 10, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 10, 2019、Reuters, December 10, 2019、SANA, December 10, 2019、SOHR, December 10, 2019、UPI, December 10, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコ占領地とマンビジュ市一帯地域を結ぶアウン・ダーダート村(アレッポ県)の通行所が2ヶ月ぶりに再開、住民の往来可能に(2019年12月10日)

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、トルコ占領下地域(「ユーフラテスの盾」地域)とシリア軍が駐留した北・東シリア自治局支配下のマンビジュ市一帯地域が接するアウン・ダーダート村に設置されている通行所が2ヶ月ぶりに再開された。

これにより、両地域の住民の往来が可能となる。

**

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、トルコ軍がタッル・タムル町近郊のタッル・ワルド村を砲撃した。

AFP, December 10, 2019、ANHA, December 10, 2019、AP, December 10, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 10, 2019、Reuters, December 10, 2019、SANA, December 10, 2019、SOHR, December 10, 2019、UPI, December 10, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

トルコの支援を受ける国民解放戦線はハマー県北部を砲撃、シリア軍兵士3人を殺害(2019年12月10日)

ハマー県では、シリア人権監視団によると、トルコの支援を受ける国民解放戦線(国民軍所属)などからなる反体制武装集団がフワイズ村一帯を砲撃し、シリア軍兵士3人が死亡した。

これに対して、シリア軍地上部隊がタッル・ワースィト村、シャリカ村、アリーマ村を砲撃した。

**

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がジャルジャナーズ町、ヒーシュ村、タッフ村、タフターヤー村、スィフヤーン村、バーブーリーン村、ジスル・シュグール市、ジャーヌーディーヤ町、ビダーマー町、カフルサジュナ村、シャイフ・ムスタファー村、ウライニバ村、ウンム・ジャラール村、ティーナ村、サハール村、ファルワーン村、カトラ村、シャッアーラ村を砲撃した。

**

ラタキア県では、シリア人権監視団によると、シリア軍ヘリコプターがカッバーナ村一帯を「樽爆弾」で爆撃、ブルカーン丘、タッラト・シャイフ・ユースフ丘、ダッバーバート丘を砲撃した。

これに対して、反体制武装集団は、トルコマン山のサッラーフ村一帯を砲撃した。

**

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍地上部隊がハーン・アサル村、アレッポ市西部郊外の電力協会地区一帯、ハミーラ村、カラースィー村を砲撃した。

**

ダルアー県では、シリア人権監視団によると、シャジャラ町の町長が何者かに撃たれて死亡した。

また、イズラア市とフラーク市を結ぶ街道で、治安機関協力者が何者かに襲撃され、死亡した。

**

ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ヘルモン山(シャイフ山)麓のバイト・ジン村で逮捕者釈放、「イランの民兵」退去を訴える落書きが発見された。

AFP, December 10, 2019、ANHA, December 10, 2019、AP, December 10, 2019、al-Durar al-Shamiya, December 10, 2019、Reuters, December 10, 2019、SANA, December 10, 2019、SOHR, December 10, 2019、UPI, December 10, 2019などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

ロシア難民受入移送居住センター:レバノンから208人、ヨルダンから606人の難民が帰国、避難民1人が帰宅(2019年12月10日)

ロシア国防省は、合同調整センター所轄の難民受入移送居住センターの日報(12月10日付)を公開し、12月8日に難民814人が新たに帰国したと発表した。

このうちレバノンから帰国したのは208人(うち女性63人、子供106人)、ヨルダンから帰国したのは606人(うち女性182人、子供309人)。

これにより、2018年7月18日以降に帰国したシリア難民の数は489,713人となった。

内訳は、レバノンからの帰国者155,162人(うち女性46,875人、子ども79,322人、ザムラーニー国境通行所、ジュダイダト・ヤーブース国境通行所、ダブスィーヤ国境通行所、クサイル国境通行所、タッルカルフ国境通行所を経由して帰国)、ヨルダンからの帰国者334,551人(うち女性100,407人、子ども170,610人、ナスィーブ国境通行所を経由して帰国)。

45カ国で難民登録したシリア人の数は6,676,088人(うち女性2,002,826人、子供3,404,805人)。

また、ロシアがシリア領内で航空作戦を開始した2015年9月30日以降に帰国した難民の数は 718,993人(うち女性216,003人、子供366,960人)となった。

**

一方、国内避難民1人が新たに帰宅した。

うちダマスカス郊外県東グータ地方に帰宅したのは0人、ダイル・ザウル県サーリヒーヤ村の通行所を経由してダマスカス郊外県、ヒムス県などに帰宅したのは0人、ヒムス県南東グラーブ山のジュライギム通行所を経由して帰還したのは1人、イドリブ県アブー・ズフール町郊外の通行所およびハマー県スーラーン町の通行所を経由して帰宅したのは0人だった。

グラーブ山通行所を経由して帰還した1人のうち、米主導の有志連合が占領するヒムス県タンフ国境通行所一帯地域(55キロ地帯)に面するヨルダン北東部のルクバーン・キャンプから帰国した難民は0人だった。

これにより、2019年1月以降に帰宅した国内避難民の数は37,617人(うち女性11,513人、子供17,095人)に、2015年9月30日以降に帰宅した国内避難民の数は1,306,213人(うち女性394,072人、子供660,861人)となった。

Ministry of Defence of the Russian Federation, December 10, 2019をもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.