シリア軍が米軍機と思われる偵察機をトルコ国境地帯で撃墜(2015年3月17日)

SANA(3月17日付)は、シリア空軍がラタキア県北部で17日、「敵の」偵察機1機を撃墜したと報じ、写真を公開した。

関係当局は現在、この偵察機の所属先を調査中だという。

これに関して、シリア軍筋は、AFP(3月18日付)に対して「航空機を撃墜したのは、ただシリア領空を侵犯したからだ。我々は、この航空機がシリア領内の治安・軍事情報を収集しようとしてたと考えている。ピクニックをしを侵犯したのとでも言うのか?」と述べた。

また同消息筋は、この航空機の身元が依然として判明していないとしつつ、「トルコ領内から侵犯した」と指摘、撃墜地点一帯にはダーイシュ(イスラーム国)は存在しないが「ヌスラ戦線の拠点があるのだろう」と付言した。

SANA, March 17, 2015
SANA, March 17, 2015

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一方、『ハヤート』(3月19日付)によると、国防省高官は、東部時間の17日午後1時30頃、シリア北西部で無人偵察機RQ-1プレデターが消息を絶ったことを明らかにした。

同高官はプレデターがミサイルで撃墜されたか否かについて、「現時点で航空機が撃墜されたかどうかを確認する情報を持っていない」と述べる一方、技術的トラブルによって墜落した可能性を専門家が調査していると付言した。

またロイター通信(3月18日付)は、米国の匿名高官の情報として、偵察機がトルコの基地を離陸し、ラタキア県上空で活動を行っていたと伝えた。

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また、シリア人権監視団は「シリア軍がラタキア市から約10キロの距離に位置するマカーティア村(サルマー町近郊)で、航空機をミサイルによって撃墜した…。シリア軍はこの航空機がシャームの民のヌスラ戦線か別の武装集団の偵察機だと思っていた」と発表した。

AFP, March 18, 2015、AP, March 18, 2015、ARA News, March 18, 2015、Champress, March 18, 2015、al-Hayat, March 19, 2015、Iraqi News, March 18, 2015、Kull-na Shuraka’, March 18, 2015、al-Mada Press, March 18, 2015、Naharnet, March 18, 2015、NNA, March 18, 2015、Reuters, March 18, 2015、SANA, March 17, 2015、UPI, March 18, 2015などをもとに作成。

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国連人権理事会調査委員会がシリアでの戦争犯罪者リストを国連安保理で開示(2015年3月17日)

シリアでの人権侵害を調査するための国連人権理事会調査委員会のパウロ・セルジオ・ピネイロ委員長(ブラジル)は、同委員会が作成している戦争犯罪容疑者のリストを国連安保理に「限定的な目的で」開示したことを明らかにした。

ピネイロ委員長によると、これに関して「今日は氏名リストは公表しない…。戦争犯罪容疑者の一部の氏名、情報は(裁判が準備されている国の)司法当局に渡すことになる」と述べた。

AFP(3月17日付)が伝えた。

AFP, March 18, 2015、AP, March 18, 2015、ARA News, March 18, 2015、Champress, March 18, 2015、al-Hayat, March 19, 2015、Iraqi News, March 18, 2015、Kull-na Shuraka’, March 18, 2015、al-Mada Press, March 18, 2015、Naharnet, March 18, 2015、NNA, March 18, 2015、Reuters, March 18, 2015、SANA, March 18, 2015、UPI, March 18, 2015などをもとに作成。

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有志連合を指揮するアレン米退役大使「アサドに対する米国の姿勢に変化はない」(2015年3月17日)

イラクとシリアでダーイシュ(イスラーム国)殲滅に向けた有志連合を指揮するジョン・アレン退役大将はアンカラでトルコのフェリドゥン・スィニルリオール外務次官と会談し、「我々は最後には(シリア政府と)交渉しなければならない」とのジョン・ケリー米国務長官の発言に関して、「アサドに対する米国の姿勢に変化はない…。米国は彼が正統性を完全に失っており、彼の統治下のシリア情勢がダーイシュなどテロリストの台頭をもたらしたと考えている」と述べた。

AFP(3月18日付)が伝えた。

AFP, March 18, 2015、AP, March 18, 2015、ARA News, March 18, 2015、Champress, March 18, 2015、al-Hayat, March 19, 2015、Iraqi News, March 18, 2015、Kull-na Shuraka’, March 18, 2015、al-Mada Press, March 18, 2015、Naharnet, March 18, 2015、NNA, March 18, 2015、Reuters, March 18, 2015、SANA, March 18, 2015、UPI, March 18, 2015などをもとに作成。

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トルコのダウトオール首相「アサドとの握手は、ヒトラーと握手するようなものだ 」(2015年3月17日)

トルコのアフメト・ダウトオール首相は、与党公正発展党(AKP)の定例会合で、ジョン・ケリー米国務長官が「我々は最後には(シリア政府と)交渉しなければならない」と発言したことに関して、「アサドとの握手は、ヒトラー、サッダーム、ミロシェヴィッチ、カラジッチと握手するようなものだ。なぜならアサドと彼らには何の違いもないからだ」と発言した。

ARA News(3月17日付)が伝えた。

AFP, March 18, 2015、AP, March 18, 2015、ARA News, March 18, 2015、Champress, March 18, 2015、al-Hayat, March 19, 2015、Iraqi News, March 18, 2015、Kull-na Shuraka’, March 18, 2015、al-Mada Press, March 18, 2015、Naharnet, March 18, 2015、NNA, March 18, 2015、Reuters, March 18, 2015、SANA, March 18, 2015、UPI, March 18, 2015などをもとに作成。

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シリア人男性4人が東京地裁に難民認定を求め提訴(2015年3月17日)

NHK(3月17日付)は、シリアで「民主化運動」に参加したと主張し、日本に入国していたシリア人男性4人が、難民認定を求める訴えを東京地方裁判所に起こした、と伝えた。

日本でシリア人が難民認定を求めて提訴するのはこれが初めて。

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訴えを起こしたのは、3年前に来日した22歳から35歳のシリア人の男性4人。

彼らはシリアで「民主化」運動に参加したと主張し、日本で難民認定を申し立て、人道上の配慮から一時的な在留を許可されていたが、難民とは認定されず、日本語教育や職業紹介などの支援策を受けていなかったのだという。

このため4人は、「情勢が悪化し続けるシリアから逃れた人は、難民と認められるべきだ。日本で安定した生活を送りたい」と主張して難民認定するよう求めているという。

弁護団などによると、これまでにシリア人約60人が難民の申し立てをしたが、日本は政治的な迫害から逃れた亡命者の保護を念頭に置いて制度を運用しているため、認められたのは3人だけで、難民認定を求める提訴は初めてだという。

原告の1人で、シリア人の妻と幼い2人の子どもと暮らす「ユーセフ・ジュディ」氏(31歳)は「将来が見通せず、日本語も理解できないので非常に生活に困っている。難民として認めてほしいというのがいちばんの願いです」と話しているという。

訴えについて法務省入国管理局は「訴状の内容を検討して適切に対応したい」とのコメントを出した。

なお、ジュディ氏は3年前に来日し、支援者の紹介を受け、さいたま市の住宅に身を寄せている。

同氏によると、シリアにいた当時、無防備な市民が政府軍に銃撃され命を落とす場面を目の当たりにし、「民主化」を求めるデモに積極的に参加するようになったのだという。

ところが外出していたある日、政府の治安部隊がジュディ氏を逮捕しようと自宅を捜索していると知人から連絡を受け、ジュディさんは潜伏、周囲から「家族にも危害が及ぶので逃げたほうがいい」と説得され、妻や子どもを残して国外に脱出したという。

先にシリアを離れていた弟を難民として受け入れた英国に向かうつもりだったが、頼ったブローカーの手配でたどり着いたのは日本の空港だったとのこと。

ジュディ氏には人道上の配慮から在留資格が与えられたが、1年ごとに更新が必要で、また5年間の在留資格や職業紹介などの支援が受けられる難民には認定されなかったという。

「デモに参加した程度で、シリア政府から迫害を受けるおそれは認められない」というのがその理由だったという。

今年1月、家族を呼ぶことは許可され、妻と子ども2人を日本に迎え入れたもの、妻は日本語が理解できないため家に閉じこもりがちで、「買い物に行ってもこれをくださいとも言えず、外に出るのは難しい」のだという。

またジュディ氏自身も安定した仕事が見つからず、今後の生活に不安を抱えていて、「迫害されるおそれがないと言われるのは納得できない。シリアは壊滅的な状況なので難民として日本にいられることを保証してほしい」と話しているという。

なおニュースでは、ジュディ氏がデモに参加している姿を移した写真が映し出されている。

写真はハサカ県マアバダ(カルキールキー)町で撮影されたと思われる。

マアバダ町は、2012年半ば頃までにシリア政府の支配を脱した後、2013年にはシャームの民のヌスラ戦線などが勢力を伸長したが、同年末までに民主統一党の人民保護隊が制圧、2014年以降は比較的平和な状態にある。

なお現在、マアバダ町は西クルディスタン移行期民政局(ジャズィーラ地区)の実効支配下にあり、今月13日には同民政局のもとで統一地方選挙が実施されている。

AFP, March 17, 2015、AP, March 17, 2015、ARA News, March 17, 2015、Champress, March 17, 2015、al-Hayat, March 18, 2015、Iraqi News, March 17, 2015、Kull-na Shuraka’, March 17, 2015、al-Mada Press, March 17, 2015、Naharnet, March 17, 2015、NNA, March 17, 2015、Reuters, March 17, 2015、SANA, March 17, 2015、UPI, March 17, 2015などをもとに作成。

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シリア軍、YPG、有志連合がハサカ県、ダイル・ザウル県各所でダーイシュ(イスラーム国)と交戦(2015年3月17日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、タッル・ハミース市南部郊外で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

また有志連合がアイン・アラブ市郊外のタッル・ヒンズィール村一帯のダーイシュ拠点などを空爆した。

一方、ARA News(3月17日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がラアス・アイン市南部郊外およぶ南西部郊外でダーイシュ(イスラーム国)と交戦、有志連合が同地一帯を空爆した。

ARA Newsがアイン・アラブ市一帯を空爆するのは2014年9月の空爆開始以降、初めてだという。

また西クルディスタン移行期民政局アサーイシュがカフターニーヤ市では、ダーイシュ(イスラーム国)が盗掘した石油を転売しようとしていたダーイシュ関係者2人を逮捕した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダイル・ザウル市フワイジャト・サクル地区、ジスル・スィヤーサ一帯のダーイシュ(イスラーム国)に対して砲撃を行った。

またマヤーディーン市では未明に、ダーイシュの車輌が何者かが襲撃し、複数のダーイシュ戦闘員が死傷した。

一方、クッルナー・シュラカー(3月17日付)によると、ブーカマール市などでダーイシュ(イスラーム国)が2日前から市内で厳戒態勢を敷き、ダーイシュに対する攻撃を計画していたとして複数の若者を逮捕した。

さらに有志連合は、アブー・ハマーム市のダーイシュの訓練キャンプ、ブーカマール市のダーイシュ拠点複数カ所を空爆した。

他方、SANA(3月17日付)によると、シリア軍がブーカマール市のダーイシュ(イスラーム国)の拠点などを攻撃し、複数の戦闘員を殺傷した。

また、ムーハサン市、ダイル・ザウル市で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、ダーイシュ(イスラーム国)アレッポ州広報局が、新規戦闘員の教練修了を祝してマンビジュ市で「閲兵式」を行ったと発表し、その写真を公開した。

クッルナー・シュラカー(3月17日付)が伝えた。

Kull-na Shuraka', March 17, 2015
Kull-na Shuraka’, March 17, 2015

また、クッルナー・シュラカー(3月17日付)は、ダーイシュ(イスラーム国)がバーブ市北西部に位置するアルシャーフ村、ダービク村のアルシャーフ橋近くに、有志連合の空爆から戦闘員を守る堀を建設していると伝えた。

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ラッカ県では、ARA News(3月18日付)によると、「アッラーのためのジハード旅団」がカンタリー村で爆弾を爆破し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員4人を殺害した。

一方、SANA(3月17日付)によると、シリア軍がラッカ市の拠点などに対して「特殊作戦」を行い、ダーイシュ戦闘員多数を殺傷した。

シリア軍はまた、ハズィーマ村でもダーイシュと交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(3月17日付)によると、フフナ村郊外、シャーイル・ガス採掘所周辺で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

AFP, March 17, 2015、AP, March 17, 2015、ARA News, March 17, 2015、March 18, 2015、Champress, March 17, 2015、al-Hayat, March 18, 2015、Iraqi News, March 17, 2015、Kull-na Shuraka’, March 17, 2015、al-Mada Press, March 17, 2015、Naharnet, March 17, 2015、NNA, March 17, 2015、Reuters, March 17, 2015、SANA, March 17, 2015、UPI, March 17, 2015などをもとに作成。

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シリア軍がイドリブ県で塩素ガスを使用か(2015年3月17日)

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、サルミーン市各所をシリア軍が「樽爆弾」で攻撃、男性1人、その妻と子供3人、女性1人の合わせて6人が呼吸困難を訴え死亡、また数十人も同じ症状を訴えた。

複数の地元筋・医療筋によると、死傷者はいずれも「樽爆弾」に装填されていたと思われるガスを吸引して呼吸困難を訴え、使用されたのは塩素ガスの可能性が高いという。

これに関して、マサール・プレス(3月11日付)は、シリア軍が有毒ガスを装填した「樽爆弾」4発をサルミーン市・クマイナース村間の地域に投下し、6人が死亡、約100人が呼吸困難を訴えたと報じた。

シリア人権監視団によると、シリア軍はまたアブー・ズフール軍事基地周辺一帯(ビンニシュ市、マアッラトミスリーン市、アルマナーズ市、タマーニア町)、トルコ国境に近いカフルタハーリーム町を空爆、カフルタハーリーム町だけで民間人10人が死亡、数十人が負傷した。

一方、SANA(3月17日付)によると、カフルルーヒーン村、イドリブ市・ハーリム市街道、イドリブ市・ビンニシュ市街道、タマーニア町、タマーニア町、タッル・ディーニート村、ハッルーズ村、タッル・サラムー村、ウンム・ジャリーン村、バルーマー村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アムネスティ・インターナショナルは、複数の目撃者の証言をもとに、シリア軍がイドリブ県サルミーン市とクマイナース村で塩素ガスを使用し、子供3人と女性を含む6人が死亡、100人以上が中毒症状を訴えたと発表した(https://www.amnestyusa.org/news/news-item/syria-evidence-of-a-fresh-war-crime-as-chlorine-gas-attack-kills-entire-family)。

死傷者のなかには「自由シリア軍」メンバーの含まれているが、その多くは民間人だという。

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一方、シリア革命反体制勢力国民連立暫定政府保険省は声明を出し、シリア軍がイドリブ県サルミーン市、クマイナース村で17日に塩素ガスを使用し、国連安保理決議第2209号に違反したと発表したうえで、同決議の規定に沿って、国連憲章第7章に基づく対応を求めた。

AFP, March 17, 2015、AP, March 17, 2015、ARA News, March 17, 2015、Champress, March 17, 2015、al-Hayat, March 18, 2015、Iraqi News, March 17, 2015、Kull-na Shuraka’, March 17, 2015、al-Mada Press, March 17, 2015、Masar Press Agency, March 17, 2015、Naharnet, March 17, 2015、NNA, March 17, 2015、Reuters, March 17, 2015、SANA, March 17, 2015、UPI, March 17, 2015などをもとに作成。

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シリア外務省「フランスと英国は依然として、EUをシリアに敵対させる政策をとり続けている(2015年3月17日)

外務在外居住者省は声明を出し、ジョン・ケリー米国務長官が「我々は最後には(シリア政府と)交渉しなければならない」と発言したことに対する英仏の反発に関して「フランスと英国は依然として、EUをシリアに敵対させる政策をとり続けている…。もっとも最近の例としては、EUが昨日、シリア国民に対する制裁継続の意思を示したことがあげられる」と発表した。

SANA(3月17日付)が伝えた。

AFP, March 17, 2015、AP, March 17, 2015、ARA News, March 17, 2015、Champress, March 17, 2015、al-Hayat, March 18, 2015、Iraqi News, March 17, 2015、Kull-na Shuraka’, March 17, 2015、al-Mada Press, March 17, 2015、Naharnet, March 17, 2015、NNA, March 17, 2015、Reuters, March 17, 2015、SANA, March 17, 2015、UPI, March 17, 2015などをもとに作成。

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最新論考「シリア反体制武装勢力の同質性と異質性:アル=カーイダ系組織、ジハード主義者、「穏健な反体制派」(『国際情勢紀要』)

青山弘之「シリア反体制武装勢力の同質性と異質性:アル=カーイダ系組織、ジハード主義者、「穏健な反体制派」
『国際情勢紀要』第85号、2015年3月、125~133ページ

Ⅰ はじめに

シリアで紛争が発生してから2015年3月半ばで4年が経とうとしている。「アラブの春」の一環として始まったはずのこの紛争が「独裁政権」対「民主化運動」といったイメージとはほど遠く、混沌と暴力の応酬によって特徴づけられていることは今や周知の事実である。そこでは、シリア軍、国防隊、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊(Yekîneyên Parastina Gel、略称YPG)、反体制武装勢力が入り乱れて戦いを続けるなか、米国が主導する有志連合が、一方でイスラーム国壊滅に向けて空爆を行いつつ、他方でバッシャール・アサド政権退陣をめざして「穏健な反体制派」を支援している。
本論では、現下の武力紛争における主要な当事者のうち、アル=カーイダ系組織、ジハード主義組織、「穏健な反体制派」といった言葉(カテゴリー)で分類されることが多い反体制武装勢力の組織間の関係に着目することで、その異質性と同質性を明らかにする。そのうえで、反体制武装勢力への支援や共鳴が持つ意味を考察する。なお2011年以降のシリア国内情勢の詳細な推移については「シリア・アラブの春顛末記――最新シリア情勢――」(https://syriaarabspring.info/)を参照されたい。・・・

(近日ネットにて公開予定)

YPG、シリア軍、有志連合が各地でダーイシュ(イスラーム国)と交戦(2015年3月16日)

ハサカ県によると、シリア人権監視団によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が、アイン・アラブ市南西部郊外(フール村・タッル・ハミース市間一帯)で、ダーイシュ(イスラーム国)と交戦、また有志連合が同地一帯を空爆し、ダーイシュ戦闘員15人が死亡した。

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ヒムス県では、マサール・プレス(3月16日付)によると、カルヤタイン市近郊のザルカー村一帯で、反体制武装集団がダーイシュ(イスラーム国)と戦闘の末、ダーイシュ戦闘員6人を殺害、同地を制圧した。

ダーイシュはカルヤタイン山地方面に撤退したという。

一方、ダーイシュはヒムス市・タドムル市街道でシリア軍部隊を要撃、兵士19人を殺害した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(3月16日付)によると、マーリハ農場、ダギーム農場で、シリア軍、東部地域人民抵抗運動の支援がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、SANA(3月16日付)によると、シャーイル・ガス採掘所周辺で、シリア軍が反体制武装ダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クッルナー・シュラカー(3月16日付)は、ダーイシュ(イスラーム国)が、ティクリート市などで構成を続けるイラク軍、人民動員部隊に対抗するため、「アンサール」(シリア人戦闘員)多数を新たに派遣した、と伝えた。

AFP, March 16, 2015、AP, March 16, 2015、ARA News, March 16, 2015、Champress, March 16, 2015、al-Hayat, March 17, 2015、Iraqi News, March 16, 2015、Kull-na Shuraka’, March 16, 2015、al-Mada Press, March 16, 2015Masar Press Agency, March 16, 2015、Naharnet, March 16, 2015、NNA, March 16, 2015、Reuters, March 16, 2015、SANA, March 16, 2015、UPI, March 16, 2015などをもとに作成。

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英仏、トルコ、シリア国民連合は「我々は最後には交渉しなければならない」とのケリー米国務長官発言に反発(2015年3月16日)

フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、ジョン・ケリー米国務長官が「我々は最後には(シリア政府と)交渉しなければならない」と発言したことに関して、「シリアにおける危機の解決は、政権の組織を維持するような政治的移行プロセスを通じて行われるもので、アサドを残留させることを通じてではない…。アサドを前面に押し出すようないかなる解決策もテロ組織ダーイシュ(イスラーム国)への不名誉なプレゼントになるだろう」と述べた。

またフランス外務省報道官も「フランスはシリアの当事者どうしの政治的解決を望んでいるが、バッシャール・アサドはこの解決策のなかには含まれ得ない」と発表した。

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英外務省報道官は、ジョン・ケリー米国務長官が「我々は最後には(シリア政府と)交渉しなければならない」と発言したことに関して、「アサドには、シリアの将来に居場所はない…。フィリップ・ハモンド外務大臣が先週述べた通り、我々はこの政権に制裁を通じて圧力をかけ続け、暴力を停止させ、穏健な反体制派との交渉に真剣に臨ませる」と発表した。

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トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は、ジョン・ケリー米国務長官が「我々は最後には(シリア政府と)交渉しなければならない」と発言したことに関して、「20万人以上を殺し、化学兵器を使用した政権とどういう交渉を行うというのか? これまで、(アサド政権との)交渉を通じて、何か結果は出たのか?」と述べ、拒否の姿勢を示した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のサーリム・ムスラト報道官は、ジョン・ケリー米国務長官が「我々は最後には(シリア政府と)交渉しなければならない」と発言したことに関して、「体制のトップと、シリア国民に対する犯罪に責任を負っているすべての者を退陣させることが連立の主要な目的で有り、それによって、全市民の自由と権利を保障する民主的・文民的・多元的な体制に移行する」と述べ、政権の存続を改めて拒否した。

同時に、ムスラト報道官は「1月のカイロでの(反体制勢力の)大会には参加しなかし、そこから派生した準備委員会にも参加していない。連立メンバーの参加は、連立代表としてではなく、個人的なものだ」と付言した。

AFP, March 16, 2015、AP, March 16, 2015、ARA News, March 16, 2015、Champress, March 16, 2015、al-Hayat, March 17, 2015、Iraqi News, March 16, 2015、Kull-na Shuraka’, March 16, 2015、al-Mada Press, March 16, 2015、Naharnet, March 16, 2015、NNA, March 16, 2015、Reuters, March 16, 2015、SANA, March 16, 2015、UPI, March 16, 2015などをもとに作成。

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アサド大統領は、「我々は最後には交渉しなければならない」とのケリー米国務長官発言を受け「我々は行動を待たねばならない。そのうえで決定を下す」と述べる(2015年3月16日)

アサド大統領は、シリアを訪問中のイランのアリー・タイエブニヤー経済財務大臣一行と会談し、両国間の経済関係などについて意見を交わした。

SANA(3月16日付)によると、アサド大統領は、シリアとイランの経済レベルでの戦略的関係継続の重要性を強調した。

これに対し、タイエブニヤー経済財務大臣は、シオニズムに対抗し続けるシリアを支持することが義務だと応えるとともに、「テロとの戦い」に勝利し、治安と安定を回復することに期待を寄せた。

会談には、シリアのイスマーイール・イスマーイール財務大臣、ハマーム・ジャザーイリー経済対外通称大臣、両国駐在大使らが同席した。

また会談後、アサド大統領は、ジョン・ケリー米国務長官が「我々は最後には(シリア政府と)交渉しなければならない」と発言したことに関して、イランのテレビ局に対して以下のように述べた。

「彼らが、留任せよと言おうが言うまいが…、この問題に関して、我々はシリア国民に耳を傾けてきた。我々はシリア国民の反応、彼らの期待、願望に注目している…。国境の外からやって来るいかなるものも、単なる言葉、ほどなく消え去るバブルのようなものに過ぎない。彼らが去れと言おうが、とどまれと言おうが、変えろと言おうが、変えるなと言おうが重要ではない…。重要なのは、これまでどのように行動してきたかだ」。

「我々はこれまで多くの声明に耳を傾けてきた。我々は行動を待たねばならない。そのうえで決定を下す」。

「まず、シリア情勢に関して、我々には、祖国を守る以外に選択肢はない。この点に関して、当初から別の選択肢など存在しない」。

「この枠組みのなかで生じる国際社会の変化はいかなるものであっても、それが真摯なもので、なおかつ現場で効果があるなら、前向きなものだと言える。だがそれは、まずはテロリストへの政治支援、資金援助、武器供与…を停止することから始められるべきである…。これは、欧州諸国、そして我々の地域で欧米に追随し、テロリストへの兵站、資金、そして軍事支援を行っている国々への圧力をかけることを通じてなされるべきである…。そうすれば、我々はこうして変化が真の変化だと言えるのだ」。

AFP, March 16, 2015、AP, March 16, 2015、ARA News, March 16, 2015、Champress, March 16, 2015、al-Hayat, March 17, 2015、Iraqi News, March 16, 2015、Kull-na Shuraka’, March 16, 2015、al-Mada Press, March 16, 2015、Naharnet, March 16, 2015、NNA, March 16, 2015、Reuters, March 16, 2015、SANA, March 16, 2015、UPI, March 16, 2015などをもとに作成。

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「モスクワ2」(シリア政府と反体制派の和平交渉)に向け始動(2015年3月16日)

『ハヤート』(3月17日付)は、ロシア外務省がシリア政府と反体制派の和平交渉「モスクワ2」の開催(4月6~9日予定)に向けて、反体制派への招聘状の送付を開始した、と報じた。

複数の消息筋によると、「モスクワ2」には、30人の反体制派指導者の招聘が予定されており、シリア革命反体制勢力国民連立のハーリド・ハウジャ議長、民主的変革諸勢力国民調整委員会のハサン・アブドゥルアズィーム代表、解放変革人民戦線のカドリー・ジャミール代表(前副首相)らを反体制組織代表として、アフマド・ムアーッズ・ハティーブ氏、アフマド・ウワイヤーン・ジャルバー氏、ミシェル・キールー氏、シリア国民建設潮流のルワイユ・フサイン代表、西クルディスタン移行期民政局代表、ハイサム・マンナーア氏(「カフム」の代表)、サミール・アティーヤ氏(国民呼びかけフォーラム)、ハーリド・マハーミード氏(ビジネスマン)らを個人として招聘する予定だという。

また「モスクワ2」には、スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表も参加が予定されているという。

AFP, March 16, 2015、AP, March 16, 2015、ARA News, March 16, 2015、Champress, March 16, 2015、al-Hayat, March 17, 2015、Iraqi News, March 16, 2015、Kull-na Shuraka’, March 16, 2015、al-Mada Press, March 16, 2015、Naharnet, March 16, 2015、NNA, March 16, 2015、Reuters, March 16, 2015、SANA, March 16, 2015、UPI, March 16, 2015などをもとに作成。

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ケリー米国務長官「最後には(アサド大統領と)交渉しなければならない」、米・シリア諜報機関が「非敵対的に連絡」か(2015年3月15日)

ジョン・ケリー米国務長官は、CBS(3月15日付)とのインタビューで、米国側にアサド大統領と交渉する意思はあるかとの問いに、「我々は最後には交渉しなければならない」と述べた。

ケリー国務長官の主な発言(http://www.cbsnews.com/news/us-willing-to-negotiate-with-syria-assad/)は以下の通り:

「我々はジュネーブ1(2012年6月のジュネーブ合意)・プロセスの文脈において交渉しようとしいる」。

「我々が推し進めようとしているのは、彼(アサド大統領)にそうさせ(紛争を終息させ)ることだ。そうさせるため、さまざまな種類の圧力をこれまで以上に彼にかけることが必要となろう」。

「こうした圧力をかけるのに資するようなさらなるステップを検討しているということをはっきりさせておきたい」。

「アサド政権に交渉させるため、我々は、みなが政治的成果をめざし、交渉に関する彼の考えを変える決意があるということを、彼(アサド大統領)に示さなければならない」。

「こうした動きが現在進行中だ。そして私は、同盟国らの努力で、アサドにさらなる圧力がかけられると確信している」。

CBS, March 14, 2015
CBS, March 14, 2015

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マリー・ハーフ国務省副報道官は、CBSでのジョン・ケリー米国務長官の発言に関して、アサド大統領自身との交渉を意図したものではないと訂正した。

ハーフ副報道官は「アサド政権の代表がこのプロセス(紛争解決)の一部になる必要があるのは当然だ。しかし、交渉するのはアサドではなかった、そうなることもないだろう。国務長官は今日、そうは言わなかった」と述べた。

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一方、『ハヤート』(3月15日付)は、スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表が、「アラブの春」がシリアに波及してから5年目となる3月15日の「数日前」、西側の複数の高官から、フランスは移行期開始に先立って、アサド大統領の退陣を前提条件とはもはやしていないと伝えられるとともに、米国・シリア両国の諜報機関が「非敵対的に連絡」をとっていると指摘したと報じた。

AFP, March 15, 2015、AP, March 15, 2015、ARA News, March 15, 2015、Champress, March 15, 2015、CBS, March 15, 2015、al-Hayat, March 16, 2015、Iraqi News, March 15, 2015、Kull-na Shuraka’, March 15, 2015、al-Mada Press, March 15, 2015、Naharnet, March 15, 2015、NNA, March 15, 2015、Reuters, March 15, 2015、SANA, March 15, 2015、UPI, March 15, 2015などをもとに作成。

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YPGがユーフラテス川沿いのカッラ・クーザーク橋一帯でダーイシュ(イスラーム国)への攻勢を続ける(2015年3月15日)

アレッポ県では、ARA News(3月15日付)によると、ユーフラテス川沿いのカッラ・クーザーク橋一帯で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がダーイシュ(イスラーム国)を追撃、ダーイシュ戦闘員50人を殲滅した。

また、シリア人権監視団によると、有志連合がマンビジュ市郊外、タッル・ジャビーン村一帯のダーイシュ(イスラーム国)拠点を空爆した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がハジーン市、ジャルズィー村で、シャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団の元メンバー多数を逮捕した。

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ダマスカス郊外県では、クッルナー・シュラカー(3月15日付)によると、カラムーン山地東部無人地帯などで活動する東部獅子軍は、ダクワ丘一帯にあるダーイシュ(イスラーム国)の拠点複数カ所を攻撃し、戦闘員7人を捕捉した。

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ハサカ県では、SANA(3月15日付)によると、ハサカ市南部郊外のタッル・フダー、タッル・ターリア一帯、タッル・シャーミーラーン村一帯で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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有志連合合同司令部は、シリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点に対して11回の空爆を行ったと発表した。

うちシリア領内ではアイン・アラブ市一帯で空爆が行われたという。

AFP, March 15, 2015、AP, March 15, 2015、ARA News, March 15, 2015、Champress, March 15, 2015、al-Hayat, March 16, 2015、Iraqi News, March 15, 2015、Kull-na Shuraka’, March 15, 2015、al-Mada Press, March 15, 2015、Naharnet, March 15, 2015、NNA, March 15, 2015、Reuters, March 15, 2015、SANA, March 15, 2015、UPI, March 15, 2015などをもとに作成。

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イラン革命防衛隊クドス軍団のソレイマーニー司令官が副官にシリア南部での作戦の指揮を移譲(2015年3月14日)

AKI(3月14日付)は、イラン・イスラーム革命防衛隊クドス軍団のガーセム・ソレイマーニー司令官が、シリア南部での革命防衛隊の活動を監督するための副司令官を任命した、と報じた。

ソレイマーニー司令官は、シリア全土における革命防衛隊の活動を統括し続けるが、シリア南部での直接の指揮にはあたらないという。

AFP, March 14, 2015、AKI, March 14, 2015、AP, March 14, 2015、ARA News, March 14, 2015、Champress, March 14, 2015、al-Hayat, March 15, 2015、Iraqi News, March 14, 2015、Kull-na Shuraka’, March 14, 2015、al-Mada Press, March 14, 2015、Naharnet, March 14, 2015、NNA, March 14, 2015、Reuters, March 14, 2015、SANA, March 14, 2015、UPI, March 14, 2015などをもとに作成。

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イラク・クルディスタン地域大統領府が西クルディスタン移行期民政局による統一地方選挙実施を非難(2015年3月14日)

イラク・クルディスタン地域大統領府報道官は、西クルディスタン移行期民政局が実施した統一地方選挙に関して、2014年10月にドホーク市で交わされたシリア・クルド国民評議会と民主連合運動(TEV-DEM)などによる協力合意(いわゆるドホーク合意)に反した「独断的な措置」で「受け入れられない」と批判した。

イラクのクルディスタン地域政府は、シリア・クルド国民評議会を主導するシリア・クルディスタン民主党(旧シリア・クルド民主党(アル・パールティ)アブドゥルハキーム・バッシャール派などが2014年4月に結成)を後援している。

AFP, March 14, 2015、AP, March 14, 2015、ARA News, March 14, 2015、Champress, March 14, 2015、al-Hayat, March 15, 2015、Iraqi News, March 14, 2015、Kull-na Shuraka’, March 14, 2015、al-Mada Press, March 14, 2015、Naharnet, March 14, 2015、NNA, March 14, 2015、Reuters, March 14, 2015、SANA, March 14, 2015、UPI, March 14, 2015などをもとに作成。

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シリア・クルド国民評議会使節団がトルコ外相と会談(2015年3月14日)

シリア・クルド国民評議会の使節団は、トルコの首都アンカラに使節団を派遣し、メヴリュト・チャヴシュオール外務大臣と会談した。

評議会渉外委員会によると、使節団はアブドゥルハミード・ダルウィーシュ氏(シリア・クルド進歩民主党)、アブドゥルハミード・ダルウィーシュ氏(シリア・クルディスタン民主党)、イブラーヒーム・バッルー氏、ズハイル・ムハンマド氏からなり、国境地帯の状勢などについて意見を交換したという。

AFP, March 14, 2015、AP, March 14, 2015、ARA News, March 14, 2015、Champress, March 14, 2015、al-Hayat, March 15, 2015、Iraqi News, March 14, 2015、Kull-na Shuraka’, March 14, 2015、al-Mada Press, March 14, 2015、Naharnet, March 14, 2015、NNA, March 14, 2015、Reuters, March 14, 2015、SANA, March 14, 2015、UPI, March 14, 2015などをもとに作成。

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ブレナン米CIA長官「誰もダマスカスの政府の衰退を望んでいない」(2015年3月13日)

ジョン・ブレナン米CIA長官は、外交問題評議会(ニューヨーク)で、ダーイシュ(イスラーム国)などイスラーム過激派に活動の場を与えることになるようなシリア政府との衰退を米国が望んでいないと述べた。

ブレナン長官は「ロシアも、米国も、有志連合も、中東諸国も、誰もダマスカスの政府とその政治機構の衰退を望んでいない…。ダーイシュやアル=カーイダの元活動家などの過激派がシリアの一部の地域で台頭している」と述べた。

また「我々がもっともしてはならないのは、彼ら(イスラーム過激派)がダマスカスに進軍することを許すことだ。それゆえ、過激でないシリアの反体制武装集団の支援が重要だ…。国内各所の要求に応じるべく行動する代議的な性格をもった政府を通じた事態の解決を国際社会は支持している」と付言した。

AFP, March 14, 2015、AP, March 14, 2015、ARA News, March 14, 2015、Champress, March 14, 2015、al-Hayat, March 15, 2015、Iraqi News, March 14, 2015、Kull-na Shuraka’, March 14, 2015、al-Mada Press, March 14, 2015、Naharnet, March 14, 2015、NNA, March 14, 2015、Reuters, March 14, 2015、SANA, March 14, 2015、UPI, March 14, 2015などをもとに作成。

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UNICEFシリア事務所代表「人道機関の活動を可能とするためにダーイシュ(イスラーム国)との対話を開始すべき」(2015年3月13日)

UNICEFシリア事務所代表のハーナー・スィーンジャル女史は、記者団に対して、人道機関の活動を可能とするためにダーイシュ(イスラーム国)との「対話を開始」すべきだ、と述べた。

スィーンジャル女史は「私たちはダーイシュと直接対話していない。彼らも私たちとの取引を望んでいない…。これまで彼らは、国連との対話を拒否してきた…。しかし人道機関だけの責任ではない。ダーイシュに圧力をかけ、対話を開始するための協議を行う政治責任が政治的な当事者にはある…。それゆえ、私たちはいつもさまざまなパートナーを通じて、困難に対処できる人たちと接触しようとしている」と述べた。

AFP(3月13日付)が伝えた。

AFP, March 13, 2015、AP, March 13, 2015、ARA News, March 13, 2015、Champress, March 13, 2015、al-Hayat, March 14, 2015、Iraqi News, March 13, 2015、Kull-na Shuraka’, March 13, 2015、al-Mada Press, March 13, 2015、Naharnet, March 13, 2015、NNA, March 13, 2015、Reuters, March 13, 2015、SANA, March 13, 2015、UPI, March 13, 2015などをもとに作成。

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ダーイシュ(イスラーム国)のアドナーニー報道官が音声声明を発表(2015年3月13日)

ダーイシュ(イスラーム国)のアブー・ムハンマド・アドナーニー報道官は、フルカーン広報製作機構を通じて音声声明を出し、ボコハラムの指導者アブバカル・シェカウ氏によるアブー・バクル・バグダーディー氏への忠誠(バイア)を受理したとしたうえで、ダーイシュが西アフリカへと勢力を拡大したと発表し、「カリフ制の傘下に入った西アフリカへの移住」をイスラーム教徒に呼びかけた。

またユダヤ教徒、キリスト教徒に対して「ユダヤよ、十字軍よ、あなたたちには二つの選択肢がある。イスラーム教徒になるか、ジズヤかだ。あるいは第3の選択肢もある。それはカリフ制の進軍を食い止めることができず、後悔を噛みしめることだ」。

そのうえで、「お前ら(有志連合)が、モスル、ジャラーブルス、ダルナ…を欲しているとしても、我々は、パリ、そしてローマを、カブール、カラチを、リヤドを、アンマンを、アブダビなどを欲するだろう」と述べて締めくくった。

AFP, March 13, 2015、AP, March 13, 2015、ARA News, March 13, 2015、Champress, March 13, 2015、al-Hayat, March 14, 2015、Iraqi News, March 13, 2015、Kull-na Shuraka’, March 13, 2015、al-Mada Press, March 13, 2015、Naharnet, March 13, 2015、NNA, March 13, 2015、Reuters, March 13, 2015、SANA, March 13, 2015、UPI, March 13, 2015などをもとに作成。

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シリア軍がダイル・ザウル市のダーイシュ(イスラーム国)拠点などを爆撃(2015年3月13日)

ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダイル・ザウル市ムワッザフィーン地区のダーイシュ(イスラーム国)拠点などを空爆した。

シリア軍の拘置所でブーカマール市出身の男性が拷問を受けて死亡した。

一方、同監視団は、ダーイシュ(ユーフラテス州)が、数日前にブーカマール市でシリア人4人とイラク人4人の合わせて8人を斬首し、殺害したと発表した。

シリア人4人は、シャーム自由人イスラーム運動、「覚醒評議会」などの武装集団に所属し、ダーイシュに対抗していたという。

また公開されたビデオによると、処刑された8人はオレンジ色の囚人服を着せられ、処刑されたという。

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ヒムス県では、SANA(3月13日付)によると、ラッフーム村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またダーイシュ(イスラーム国)を名のる集団は、ツイッターを通じて声明を出し、アブー・イリヤース・ウルドゥンニー氏が、5.5トンの爆発物を積んだ車を、ヒムス県のヒムス市・タドムル市街道にあるシリア軍のハヌーラ村検問所で自爆させたと発表した。

Kull-na Shuraka', March 13, 2015
Kull-na Shuraka’, March 13, 2015

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アレッポ県では、ARA News(3月13日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊がカッラ・クーザーク橋一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

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ラッカ県では、クッルナー・シュラカー(3月13日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がマアダーン村で、児童に個人授業を行っていた教師5人をむち打ち刑に処した。

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ハサカ県では、SANA(3月13日付)によると、バーブ・ハイル村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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『ハヤート』(3月14日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊は声明を出し、米国など有志連合に対して、ハサカ県タッル・ハミース市一帯、タッル・ブラーク町一帯に加えて、タッル・シャーミーラーン村などアッシリア教徒の村落を含むタッル・タムル町一帯でのダーイシュ(イスラーム国)掃討戦に参加するよう呼びかけた。

AFP, March 13, 2015、AP, March 13, 2015、ARA News, March 13, 2015、Champress, March 13, 2015、al-Hayat, March 14, 2015、Iraqi News, March 13, 2015、Kull-na Shuraka’, March 13, 2015、al-Mada Press, March 13, 2015、Naharnet, March 13, 2015、NNA, March 13, 2015、Reuters, March 13, 2015、SANA, March 13, 2015、UPI, March 13, 2015などをもとに作成。

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米国の「人権のための医師団」は、シリア軍が4年で医師600人を殺害したと非難(2015年3月12日)

米ニューヨークに本部を構える人権のための医師団は声明を出し、シリア軍による病院、医療施設への「体系的な攻撃」により、2011年3月以降、600人以上の医師、医療関係者が死亡している、と発表した。

うち139人は拷問を受けて死亡したか、処刑されたという。

また、病院や診療所183カ所に対して、233回におよぶ「樽爆弾」での空爆が行われたという。

AFP, March 12, 2015、AP, March 12, 2015、ARA News, March 12, 2015、Champress, March 12, 2015、al-Hayat, March 13, 2015、Iraqi News, March 12, 2015、Kull-na Shuraka’, March 12, 2015、al-Mada Press, March 12, 2015、Naharnet, March 12, 2015、NNA, March 12, 2015、Reuters, March 12, 2015、SANA, March 12, 2015、UPI, March 12, 2015などをもとに作成。

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トルコ外相「英国人少女3人のシリア潜入を支援したのは有志連合に参加する某国の元諜報員」(2015年3月12日)

トルコのメヴリュト・チャヴシュオール外務大臣は、2月下旬に失踪し、ダーイシュ(イスラーム国)に加わるために、トルコ経由でシリアに潜入したとされる英国の3人の少女に関して、ハベル・チャンネル(3月12日付)に「少女たち(の潜入)を誰が支援していたか知っていますか? 有志連合に参加する某国の諜報機関で活動していた人物です」としたうえで、この人物が逮捕されたことを明らかにした。

チャヴシュオール外務大臣は、詳細については述べたなかったが、逮捕したのは米国での西欧諸国でもない、という。

AFP(3月12日付)などが伝えた。

AFP, March 12, 2015、AP, March 12, 2015、ARA News, March 12, 2015、Champress, March 12, 2015、al-Hayat, March 13, 2015、Iraqi News, March 12, 2015、Kull-na Shuraka’, March 12, 2015、al-Mada Press, March 12, 2015、Naharnet, March 12, 2015、NNA, March 12, 2015、Reuters, March 12, 2015、SANA, March 12, 2015、UPI, March 12, 2015などをもとに作成。

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ダーイシュ(イスラーム国)とシリア軍がヒムスで交戦(2015年3月12日)

ヒムス県では、マサール・プレス(3月12日付)によると、ダーイシュ(イスラーム国)がフルクルス町近郊のシリア軍検問所で爆弾が仕掛けられた車を爆発させ、兵士15人を殺傷、同検問所を制圧した。

またシリア人権監視団によると、ラッムーフ村近郊で、シリア軍がダーイシュと交戦した。

一方、SANA(3月12日付)によると、ラッフーム村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団などによると、ラアス・アイン市南部郊外(アイダーニーヤ村、アクバーシュ村、マナージール村一帯)で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。

マサール・プレス(3月12日付)によると、ダーイシュ側はラッカ県方面から増援部隊の車列を派遣したという。

人民防衛隊はまた、アサーイシュ、ハーブール護衛部隊、シリア正教軍事評議会民兵とともに、タッル・タムル町周辺一帯でダーイシュと交戦した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)がジュダイド・バッカーラ村、アシャーラ市で、ジハード主義武装集団などのメンバーとされる男性30人を逮捕、連行した。

またダイル・ザウル市ヤースィーン・シャイフ地区のダーイシュ拠点などに対するシリア軍の「樽爆弾」での空爆で、女性1人が死亡した。

AFP, March 12, 2015、AP, March 12, 2015、ARA News, March 12, 2015、Champress, March 12, 2015、al-Hayat, March 13, 2015、Iraqi News, March 12, 2015、Kull-na Shuraka’, March 12, 2015、al-Mada Press, March 12, 2015Masar Press Agency, March 12, 2015、Naharnet, March 12, 2015、NNA, March 12, 2015、Reuters, March 12, 2015、SANA, March 12, 2015、UPI, March 12, 2015などをもとに作成。

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シリア国民連合がアラブ連盟に首脳会議への参加を要請(2015年3月12日)

アラブ連盟のナビール・アラビー事務総長は、シリア革命反体制勢力国民連立のハイサム・マーリフ法務委員長とカイロで会談した。

会談後の記者会見で、マーリフ法務委員長は、3月28、29日にシャルム・シャイフで開催予定のアラブ連盟首脳会議に向けた準備会合への連立の参加を求めたことを明らかにした。

『ハヤート』(3月13日付)が伝えた。

AFP, March 12, 2015、AP, March 12, 2015、ARA News, March 12, 2015、Champress, March 12, 2015、al-Hayat, March 13, 2015、Iraqi News, March 12, 2015、Kull-na Shuraka’, March 12, 2015、al-Mada Press, March 12, 2015、Naharnet, March 12, 2015、NNA, March 12, 2015、Reuters, March 12, 2015、SANA, March 12, 2015、UPI, March 12, 2015などをもとに作成。

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ハサカ県、ダイル・ザウル県で、シリア軍、YPGがダーイシュ(イスラーム国)と交戦(2015年3月11日)

ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員数百人が、トルコ国境のラアス・アイン市一帯(タッル・ヒンズィール村、マナージール村一帯)の西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊を戦車、重火器を駆使して攻撃、人民防衛隊は郊外の1カ村からの撤退を余儀なくされた。

しかし、ARA News(3月11日付)によると、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊は、アイン・アラブ市郊外でダーイシュ(イスラーム国)と交戦の末、2日前に奪われていた4カ村を奪還した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)が包囲するクワイリス航空基地一帯に対してシリア軍が空爆を行った。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)が優勢なバラーギース村、カンタラ村、ムカイミン村、ティバーラ村、マスアダ村、クライブ・サウル村、カスタル村一帯などを空爆した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がマリーイーヤ村一帯のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して空爆を行った。

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トルコ外務省は、シリア領内に越境しようとしていたインドネシア人16人を逮捕した、と発表した。

外務省報道官はアンカラでの記者会見で、この16人が、ダーイシュ(イスラーム国)に参加しようとする外国人と同じコースでシリア領内に潜入しようとしていたと指摘した。

ARA News(3月11日付)が伝えた。

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Iraq News(3月11日付)は、人民動員部隊(シーア派義勇軍)に所属するヌジャバー運動のアクラム・カアビー書記長が、イラク軍・治安部隊、人民動員部隊、サラーフッディーン県の部族民兵などが3月初めに本格化していたティクリート市奪還作戦によって、同市が完全制圧されたと述べたと伝えた。

カアビー書記長は「ティクリート市は治安部隊と義勇兵の支配下に完全に置かれた」と述べた。

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米中央軍(CENTCOM)は、有志連合がシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して13回の空爆を行ったと発表した。

うちシリア領内の空爆は2回に限られた。

AFP, March 11, 2015、AP, March 11, 2015、ARA News, March 11, 2015、Champress, March 11, 2015、al-Hayat, March 12, 2015、Iraqi News, March 11, 2015、Kull-na Shuraka’, March 11, 2015、al-Mada Press, March 11, 2015、Naharnet, March 11, 2015、NNA, March 11, 2015、Reuters, March 11, 2015、SANA, March 11, 2015、UPI, March 11, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.

アッタール副大統領がシリア・ヨルダン友好協会使節団と会談(2015年3月11日)

ナジャーフ・アッタール副大統領は、ダマスカスを訪問したヨルダン・シリア友好協会(サーミー・マジャーリー会長)の使節団と会談した。

SANA(3月11日付)によると、アッタール副大統領は会談で、シリアとヨルダンを隔てる人工の国境が単一のアラブ民族という概念に影響を及ぼすことはないとしたうえで、シリア・ヨルダン両国民が強い絆で結びついていると強調、「ヨルダンがどうして…シリアへのテロリストの潜入を許することがあろうか…? ヨルダン領内でテロリストを教練しようとする米国の決定を受け入れるなどと誰が想像しようか?… ヨルダンがこれまでとは異なった姿勢をとり、欧米諸国、そして一部のアラブ諸国に共謀する敵に与しないようにする時が来た」と述べた、という。

会談後、使節団はシリア軍の負傷兵が収容されている病院を慰問した。

SANA, March 11, 2015
SANA, March 11, 2015

AFP, March 11, 2015、AP, March 11, 2015、ARA News, March 11, 2015、Champress, March 11, 2015、al-Hayat, March 12, 2015、Iraqi News, March 11, 2015、Kull-na Shuraka’, March 11, 2015、al-Mada Press, March 11, 2015、Naharnet, March 11, 2015、NNA, March 11, 2015、Reuters, March 11, 2015、SANA, March 11, 2015、UPI, March 11, 2015などをもとに作成。

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ダーイシュ(イスラーム国)は、今度はイスラエル人(48年パレスチナ人)を処刑するビデオを公開(2015年3月10日)

ダーイシュ(イスラーム国)は、イスラエル諜報機関のスパイとして活動していたというイスラエル人のムハンマド・サイード・イスマーイール氏(19歳)を殺害する映像をインターネットを通じて公開した。

ARA News, March 11, 2015
ARA News, March 11, 2015

イスマーイール氏は、イスラエル国籍を持つ「48年パレスチナ人」(イスラエル・アラブ人)でエルサレム市出身。

ビデオ映像は約13分におよび、フルカーン広報制作機構のロゴが付されていた。

映像のなかで、イスマーイール氏は、オレンジ色の囚人服を着せられて、室内に座らされ、イスラエル諜報機関がどのように彼をスパイとして勧誘、養成したかを証言した。

イスマーイール氏によると、イスラエルの諜報機関の士官だった隣人から諜報員になるよう誘われ、家族に相談、両親や兄弟にスパイ活動を強く奨められ、諜報員になることを決心したという。

諜報員になることを決心したイスマーイール氏は、エルサレム市東部の訓練施設で、8人のイスラエル人とともに、1ヶ月間にわたり諜報員としての教練を受けた。

ともに教練を受けた8人は、イスマーイール氏とは異なり、いずれもユダヤ人だったという。

イスマーイール氏は教練後に帰宅し、今度はミーローを名のる諜報員からダーイシュ支配地域での諜報活動の誘いを受け、トルコを経由して、密輸業者の仲介でシリア領内に潜入した。

潜入後の任務は、イスラエルに武器、基地の場所、パレスチナ人戦闘員の居場所などを知らせることだったが、潜入後程なく、指示された任務の一部に失敗、自身の素性が知られることを恐れて、父親に連絡をとると、帰国するよう言われた。

だが、そのときにはすでにムジャーヒディーンに監視されており、逮捕・投獄され、逮捕後の聴取で、自身がイスラエルのモサドのスパイだったと自供したという。

イスマーイール氏は、自身をこのような状況に追いやったのは家族の責任だと非難して、証言を終えた。

その後、屋外で撮影されたシーンに切り替わり、イスマーイール氏は、軍服を着た子供に頭や体を撃たれ、銃殺された。

斬首はされなかった。

この子供は、隣に立っている男性から、フランス語で「カリフ制の若き勇者」と讃えられた。

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『ハヤート』(3月12日付)によると、イスラエル治安筋は、ダーイシュ(イスラーム国)に処刑されたムハンマド・サイード・イスマーイール氏が2014年10月にダーイシュに参加して戦闘を行うためにシリアに入ったとしつつ、スパイだったとのイスマーイール氏の自供を否定した。

またイスマーイール氏の父親も、息子がトルコに観光旅行中の2015年2月に失踪したと述べるとともに、「捕虜になったときに逃げようとしたが、彼ら(ダーイシュ)は息子にイスラエルのために活動していると言うよう求めた…。息子は犠牲者だ」と述べた。

母親も記者らに対して「10代のスパイ? そんなことあり得ますか? スパイだったとしてもなぜそこに行くの?」とスパイ容疑を否定した。

一方、イスラエルのモシェ・ヤアロン国防大臣は、国営ラジオで「シリアとイラクに行って、ダーイシュに参加しているイスラエル・アラブ人(48年パレスチナ人)が数十人いる。その一部は殺され、そのほかにも帰国しようとして逮捕された者がいる。だがこうした現象はイスラエル・アラブ人の間で広まってはいない」と述べた。

また「このイスラエル・アラブ人(イスマーイール氏)はモサドなどイスラエルのいかなる治安機関とも関係ない」と強調した。

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一方、AFP(3月11日付)は、信頼できる複数の消息筋の話として、ムハンマド・サイード・イスマーイール氏を殺害するダーイシュ(イスラーム国)のビデオに映っていた男性がサブリー・アスイード氏の可能性が高いと伝えた。

アスイード氏は、2012年にフランスで発生した連続銃撃事件の実行犯ムハンマド・ムラーフ氏の義理の兄弟にあたり、2014年4月にシリアに向かったとされている。

エスィード氏は、2006年にイラクに向かおうとしていたアル=カーイダ戦闘員を自宅にかくまっていたことで、フランス当局に逮捕され、国外追放処分を受けていたという。

AFP, March 11, 2015、AP, March 11, 2015、ARA News, March 11, 2015、Champress, March 11, 2015、al-Hayat, March 12, 2015、Iraqi News, March 11, 2015、Kull-na Shuraka’, March 11, 2015、al-Mada Press, March 11, 2015、Naharnet, March 11, 2015、NNA, March 11, 2015、Reuters, March 11, 2015、SANA, March 11, 2015、UPI, March 11, 2015などをもとに作成。

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ハサカ県でダーイシュ(イスラーム国)のヒスバ(宗教警察)幹部が「ハイズーム連隊」によって首を斬られ処刑(2015年3月10日)

ハサカ県では、「ハイズーム中隊」を名のる武装集団が声明を出し、シャッダーディー市郊外で、ダーイシュ(イスラーム国)のヒスバ(宗教警察)幹部のアブー・アーイシャ・トゥーニスィー氏を斬首したと発表した。

ヒスバ幹部の斬首は、ダーイシュがダマスカス郊外県東部のダクワ丘でイスラーム戦線のメンバーを斬首したことへの報復だという。

Kull-na Shuraka', March 10, 2015
Kull-na Shuraka’, March 10, 2015

またシリア人権監視団によると、タッル・タムル町一帯で西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊、ハーブール護衛部隊、シリア正教軍事評議会民兵とダーイシュ(イスラーム国)が交戦した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市・ハサカ市街道沿いのジャラビーヤ村西部のマンダク地区で、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦、人民防衛隊戦闘員13人が死亡した。

一方、クッルナー・シュラカー(3月10日付)は、ダーイシュが、アイン・アラブ市の西方約25キロに位置するタッル・ヒンズィール村を制圧し、人民防衛隊の兵站路を遮断したと伝えた。

しかし、人民防衛隊はこの報道を否定している。

他方、ARA News(3月10日付)は、西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊が、アイン・アラブ市西方のカッラ・クーザーク橋(ユーフラテス川)周辺の丘陵地帯でダーイシュと交戦、同地を制圧したと伝えた。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ウンム・タバービール村北西部、ジャズル・ガス採掘所一帯、シャーイル・ガス採掘所周辺で、シリア軍、国防隊が、ダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

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ダイル・ザウル県では、ARA News(3月10日付)によると、シリア軍がダイル・ザウル市シャイフ・ヤースィーン地区のダーイシュ(イスラーム国)拠点などを「樽爆弾」で空爆、女性1人が死亡、住民8人が死亡した。

一方、SANA(3月10日付)によると、シリア軍がダイル・ザウル市のシャイフ・ヤースィーン地区で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、ダーイシュ(イスラーム国)の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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有志連合合同司令部は、シリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して12回の空爆を行ったと発表した。

このうち4回がアイン・アラブ市一帯に対して行われたという。

AFP, March 10, 2015、AP, March 10, 2015、ARA News, March 10, 2015、Champress, March 10, 2015、al-Hayat, March 11, 2015、Iraqi News, March 10, 2015、Kull-na Shuraka’, March 10, 2015、al-Mada Press, March 10, 2015、Naharnet, March 10, 2015、NNA, March 10, 2015、Reuters, March 10, 2015、SANA, March 10, 2015、UPI, March 10, 2015などをもとに作成。

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