アラブ連盟は第32回首脳会議の決議報告書を公開した。
109ページからなる報告書では、シリア情勢に関して、難民の帰還、テロとの戦い、外国部隊の駐留、制憲委員会、国民和解、国連安保理決議第2254号、イスラエルによるゴラン高原の占領についての言及がある。
制憲委員会と国民和解については、包括的公民和解を実現する政治的なステップの一環として、早急に委員会の議事を再開するための努力を支援すると記されている。
国連安保理決議第2254号については、首脳会議に先立ち、5月1日にヨルダンのアンマンで開催されたシリア・ヨルダン・サウジアラビア・エジプト・イラクの5ヵ国外務大臣会合で発表された「アンマン宣言」を受けるかたちで、同決議に沿ったシリア危機の包括的解決に向けた直接対話を継続するための閣僚連絡委員会の発足を呼びかけている。
シリア難民の帰還については、難民発生にかかる影響や被害に対処するためのアラブの共同協力の強化、難民の安全且つ自発的な帰還にふさわしい環境を強化するための実質的で実効的な措置の必要、難民を受け入れているシリア周辺諸国などへの支援、難民危機に対処するための国際社会による支援が提唱されている。
テロとの戦い、外国部隊の駐留については、シリアへのあらゆる外国の干渉、シリア領内における違法な外国部隊の駐留の拒否が訴えられている。
このほか、麻薬取引による影響や被害に対処するためのアラブの共同協力の強化、シリア国境経由での麻薬密輸に影響を受けている近隣諸国とシリアの協力の強化が謳われている。
AFP, May 22, 2023、ANHA, May 22, 2023、al-Durar al-Shamiya, May 22, 2023、Reuters, May 22, 2023、SANA, May 22, 2023、SOHR, May 22, 2023などをもとに作成。
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