外務在外居住者省は国連事務総長と安保理議長に書簡を送り、米国の盗奪と破壊による石油部門の被害が2021年以降だけで1152億米ドルに上ると報告、米国に賠償を求める(2023年9月10日)

ハサカ県では、SANA(9月10日付)によると、県内で盗奪した石油を積んだタンクローリー40輌からなる米軍の車列と55輌からなる車列が、イラクとの国境に違法に設置されているマフムーディーヤ国境通行所を経由してイラク領内に移動した。

これを受けて、外務在外居住者省は国連事務総長と安保理議長に書簡を送り、米国と「その手先であるテロ組織や民兵」がシリアの主権を侵害し、資源や戦略物資の盗奪を続けていると報告、盗奪に関与している米国の責任者の追及、米政府による賠償、違法な部隊駐留の停止、占領した領土、油田、ガス田の変換を要請した。

声明によると、米国による石油や天然資源の盗奪、米国や「その手先のテロリスト」の破壊によって石油部門が被った被害が、2021年から2023年6月末までの期間だけで総額1152億米ドルに達している。

また、シリアの石油部門の損失に関する最新の統計と見積によると、直接の被害額は275億米ドルで、盗奪、焼却された石油・ガスが32億米ドル(石油3億4100バレル、天然ガス5990立法メートル、家庭用ガス41万3000トン)、盗奪、破壊された関連施設が32億米ドル、米主導の有志連合の爆撃によって破壊された関連施設が20億米ドルに達するという。

一方、石油、ガスなどの不足による生産力低下などによって間接的に生じた被害は、877億米ドルに及ぶという。

AFP, September 10, 2023、ANHA, September 10, 2023、al-Durar al-Shamiya, September 10, 2023、‘Inab Baladi, September 10, 2023、Reuters, September 10, 2023、SANA, September 10, 2023、SOHR, September 10, 2023などをもとに作成。

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