アレッポ県でヌスラ戦線やイラク・シャーム・イスラーム国などが空軍情報部施設攻略のための攻勢を激化させるなか、CIA副長官が「シリアが今や米国の安全保障にとって最大の脅威」との見解を示す(2013年8月7日)

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反体制勢力の動き

シリア国家建設潮流のルワイユ・フサイン代表はサラフィー主義者によるラタキア県攻撃(海岸解放作戦)に関して、フェイスブックで「アラウィー派だという理由で体制に反対している者に私は反対する。いかなる理由であれ、民間人を殺す者に私は反対する。武力などの力を駆使して市民権や市民的自由を侵害する者に私は反対する…。アラウィー派の村だというだけの理由で前線から離れた村を襲撃することをどうして受けいられようか。これらの村を攻撃する者は反体制勢力とは無関係だ」と非難した。

そのうえで、フサイン代表は「愛国的なシリア軍の義務は、市民と住民をあらゆる危害から守ることにあり、彼らを殺戮、弾圧することではない。軍はこうしたことを2年半も怠ってきたが、アサド軍のスローガンのもと活動する部隊のほんの一部が虐殺・殺戮を行ってきただけだ…。体制が行ってきたようないかなる武力行為をも受け入れることはできない…。軍は住民を守っているのか?守っていない、なぜなら軍は自分のことで精一杯で、シリア人を弾圧する政権こそが司令部をなしているからだ」と続けた。

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シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長、アフマド・ラマダーン、アナス・アブダ、カマール・ルブワーニー、バドル・ジャームース、アンマール・カルビー(シリア国民変革潮流代表)からなる在外反体制勢力の代表団がヨルダンのアンマンに到着した。

アフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長ら一行は、ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣と会談、シリア情勢について協議した。

クッルナー・シュラカー(8月8日付)によると、会談で、ジャウダ外務大臣は「流血停止、シリア国民の尊厳維持、シリアの治安・安全の保障、領土の一体性」のための政治的解決を求めた。

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、シャームの民のヌスラ戦線、イラク・シャーム・イスラーム国、カリフ制の曙大隊などからなる反体制武装集団が、アレッポ市ライラムーン地区にある空軍情報部施設攻略のため、攻撃を激化、周辺のビルを制圧した。

また、アレッポ情報センターによると、マンナグ航空基地の攻略にあたっていた戦闘員約300人が別の戦線に転戦した。

複数の消息筋によると、反体制武装集団はヌッブル市、ザフラー町に向かって進軍しているという。

一方、ハサン・ラジューブを名のる戦闘員は、反体制武装集団がアレッポ市ハーリディーヤ地区の「解放作戦」を開始したと述べ、また別の戦闘員はクワイリス航空基地解放作戦の準備を開始したと述べた。

さらに、民主統一党人民防衛隊は声明を出し、マンナグ航空基地から逃れてきたシリア軍兵士70人と戦車2輌が、人民防衛隊との交戦の末、投降したと発表した。

なお複数の消息筋によると、アフリーン地方にはすでに軍兵士125人が捕虜として拘束されている、という。

また、政権に近い複数の消息筋によると、マンナグ航空基地の守備にあたっていたシリア軍部隊は、ヌッブル市、ザフラー町の国防隊戦闘員やクルド人戦闘員ともに、アフリーン地方に後退したという。

このほか、『ハヤート』(8月8日付)などによると、アアザーズ市のシャリーア委員会のユースフ・アシャーウィー議長が何者かに狙撃され、死亡した。

他方、SANA(8月7日付)によると、ハーン・アサル市、タッル・ハースィル村、タッルアラン市、ワディーヒー村で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またアレッポ市ではマルジャ地区、サラーフッディーン地区、アーミリーヤ地区、マイダーン地区、カラム・ジャバル地区、サーフール地区で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、アリーハー市、アルバイーン山、サルミーン市などで、軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃を行った。

一方、SANA(8月7日付)によると、マアッラト・ヌウマーン市、タッル・サラムー市、ジャフタルク村、ハーッジ・ハンムード農場、ビンニシュ市、カフルジャーリス市、アルバイーン山、マジュダリヤー村、タフタナーズ市、サラーキブ市、バザーブール村、カフルルーマー村、ジャーヌーディーヤ町で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、タダームン区、ヤルムーク区、ジャウラ地区、カーブーン区、バルザ区などで、軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃を行った。

一方、SANA(8月7日付)によると、バルザ区、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・地下トンネル・装備を破壊した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アドラー市で軍が反体制武装集団を要撃、62人の戦闘員(そのほとんどが若者だという)を殺害した。

また、アドラー刑務所敷地内に迫撃砲弾が着弾した。

一方、SANA(8月7日付)によると、東グータ地方に潜入を試みたシャームの民のヌスラ戦線戦闘員を軍が要撃し、外国人戦闘員ら62人を殲滅、武器・弾薬を破壊した。

またザマルカー町、ハラスター市、アドラー市、リーハーン農場、ダーライヤー市、リーマー農場、ラアス・アイン農場、ヤブルード市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、カタナー市では反体制武装集団が仕掛けた爆弾が爆発し、市民6人が死亡した。

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ハサカ県では、クッルナー・シュラカー(8月7日付)によると、アームーダー市西部のパン製造工場近くとアームーダー市西側入り口(ダルバースィーヤ市にいたる街道)の検問所で爆発が発生し、後者の爆発で民主統一党人民防衛隊の戦闘員1人が死亡した。

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ヒムス県では、SANA(8月7日付)によると、ヒムス市クスール地区、カラービース地区、ハミーディーヤ地区、バーブ・フード地区、タルビーサ市、ガントゥー市、キースィーン市、アーミリーヤ市、ブルジュ・カーイー村、タドムル市郊外、ラスタン市で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またレバノン領からクサイル市郊外、タッルカラフ市郊外に潜入を試みた武装集団を軍が撃退した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(8月7日付)によると、ダイル・ザウル市フアード映画館通り、マヤーディーン市などで、軍がシャームの民のヌスラ戦線などと交戦し、サウジ人、UEA人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(8月7日付)によると、ダルアー市、バサーラ市、タスィール町、シャブラク村、サイダー市、ジーザ町、ナワー市、ブスル・ハリール市、ガーリヤート市、マアルバ町、ジャマリーン村、スマード村、ブスラー・シャーム市で、軍が反体制武装集団と交戦し、サウジ人、ヨルダン人戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クナイトラ県では、SANA(8月7日付)によると、アフマル丘一帯、スハイター市、タルナジャ市、ジャバーター・ハシャブ市で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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クッルナー・シュラカー(8月7日付)によると、軍事情報局が民主的変革諸勢力国民調整委員会のキファーフ・アリー・ディーブ女史を逮捕した。

ディーブ女史は、逮捕直前にアフダル・ブラーヒーミー共同特別代表のシリア常駐代表と会談していたという。

レバノンの動き

レバノン軍は声明を出し、ナバティーヤ県ビント・ジュバイル郡ラッブーナ地方に侵入したイスラエル軍のパトロール部隊が午前0時24分、ブルー・ラインから約400メートルの地点で地雷に触れ、兵士4人が負傷した、と発表した。

声明は、爆発現場に血痕が残っていたとしたうえで、UNIFILとの調整を通じて調査を開始したと付言した。

アドナーン・マンスール外務大臣は、イスラエル軍の領土侵犯に関して、国連安保理決議第1701号に違反していると非難、国連安保理に抗議文を提出すると述べた。

これに関して、イスラエル軍報道官は、兵士が負傷したことを認めたが、領土侵犯の有無については言及を避けた。

複数のメディアによると、イスラエル軍の領土侵犯に先立って、イスラエル領内で複数回爆発音が聞こえていた。

またその後、イスラエル軍はナバティーヤ県ビント・ジュバイル郡フーラー村の森林に向かって発砲、火災が発生した。

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ジャディード・チャンネル(8月7日付)によると、ベイルート南部郊外にあるダーヒヤで、シリア人男女2人が「テロ容疑」で逮捕された。

同報道によると、この男女は、ベカーア県ザフレ郡マジュダル・アンジャル市のグループと電話で連絡をとり、ダーヒヤでの作戦を計画していた、という。

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進歩社会主義党党首のワリード・ジュンブラート議員は『シャルク・アウサト』(8月7日付)に「ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長にシリアから撤退するようアドバイスしている。なぜなら体制崩壊のカウントダウンが始まったからだ」と述べた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は、モスクワでの記者会見で「シリア北部で、子供約100人を含む温和なクルド人約450人が、ヌスラ戦線と戦っているという理由で虐殺されたとのメディアのレポートに衝撃を受けている」としたうえで、「国連は前提条件なしでテロを非難するだろう…。一部の安保理諸国は、テロ行為を行う者が(アサド)政権と戦っているとして、これまでシリアでのテロを非難することを望んでいなかった。しかしこうした言説は利己的に思える。またこうした姿勢は決して受け入れられない。テロに関してダブルスタンダードがあってはならない」と述べた。

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マイケル・モーリンCIA副長官は退任に合わせて『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月7日付)のインタビューに応じ、そのなかで化学兵器を保有するアサド政権が崩壊すれば、シリアがパキスタンに代わってアル=カーイダの拠点と化すと警鐘を鳴らし、シリアが今や米国の安全保障にとって最大の脅威となりつつあるとの見解を示した。

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バラク・オバマ米大統領は、イード・フィトルに合わせて、シリアへの人道支援として1億9,500万ドルを追加供与すると発表した。

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サマンサ・パワーズ米国連代表新大使は、就任後初めてとなる安保理会合で、シリアの紛争への対応に関して「安保理における周知の分裂により、シリアの政治的移行をめざすアラブ連盟の努力を支援できなくしている」と述べた。

AFP, August 7, 2013、al-Hayat, August 8, 2013, August 9, 2013、Kull-na Shuraka’, August 7, 2013, August
8, 2013、Kurdonline, August 7, 2013、Naharnet, August 7, 2013、NNA, August
7, 2013、Qanat al-Jadid, August 7, 2013、Reuters, August 7, 2013、SANA, August
7, 2013、al-Sharq al-Awsat, August 7, 2013、UPI, August 7, 2013、The Wall Street Journal, August 7, 2013などをもとに作成。

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