シャーム解放機構が主導する「攻撃抑止」の戦い軍事作戦局はアレッポ市への進攻を開始したと発表、アレッポ大学学生寮を砲撃し、学生4人を殺害:シリア軍とロシア軍はイドリブ市などを攻撃(2024年11月29日)

シャーム解放機構、国民解放戦線(シリア国民軍)などによって構成される「決戦」作戦司令室がアレッポ県西部およびイドリブ県南東部で11月27日に開始した「攻撃抑止」の戦いは29日も続いた。

「攻撃抑止」の戦い軍事作戦局がテレグラムの専用アカウント(https://t.me/aleamaliaat_aleaskaria/)を通じて発表したところによると、反体制派諸派は、アレッポ県のアレッポ市を一望でき、アレッポ市南部に通じる戦略的要衝のハーン・トゥーマーン村などを制圧した。

また、M5高速道路とM4高速道路が結節する要衝のイドリブ県サラーキブ市も制圧したと発表した。

「攻撃抑止の戦い」軍事作戦局が制圧したと主張する町村などは40以上となった。

「攻撃抑止の戦い」軍事作戦局はさらに、アレッポ市への進攻を開始したと発表した。

SANA(11月29日付)は、テロ組織がアレッポ大学の大学寮を砲撃し、民間人4人が死亡したと伝えた。


シリア人権監視団によると、大学寮を砲撃したのは、シャーム解放機構で、学生4人が死亡した。

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国営のイフバーリーヤ・チャンネル(11月29日付)は、アレッポ市内の複数の地区で、テロ組織がこれらの地域を制圧したかのように見せかける映像を撮影していたテロ・グループのメンバーらが逮捕されたと伝えた。

イフバーリーヤ・チャンネルはまた、アレッポ市中心部の映像を公開し、一部メディアやSNSで拡散されている情報のような混乱はなく、平穏であると伝えた。


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イドリブ県では、ホワイト・ヘルメットによると、シリア軍がイドリブ市のアンダーニー・ガソリンスタンドを砲撃し、火災が発生、民間人4人が死亡、複数が負傷した。


また、イナブ・バラディー(11月29日付)によると、シリア軍がビンニシュ市近郊の養鶏場を砲撃し、民間人2人負傷した。

シリア軍はさらに、サルミーン市に対しても砲撃を行った。

一方、シリア人権監視団によると、ロシア軍戦闘機がイドリブ市を爆撃し、4人が死亡、19人が負傷した。

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アレッポ県では、ホワイト・ヘルメットによると、シリア軍がアターリブ市の男子校、タカード村を砲撃した。

イナブ・バラディー(11月29日付)によると、シリア軍はまた、サルマダー市とダーナー市を結ぶ街道に位置するタイバ・ガソリンスタンドを砲撃、これにより民間人1人が負傷した。

シリア軍とロシア軍も、シャーム解放機構の支配下にあるダーラト・イッザ市の住宅街を爆撃し、民間人1人が死亡した。

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シリア人権監視団によると、27日以降の戦闘での死者は277人に達した。

内訳は以下の通り:

戦闘員259人
シャーム解放機構135人
国民軍(国民解放戦線)諸派24人
シリア軍側100人(うちシリア軍兵士79人(士官4人)、「イランの民兵」のシリア人メンバー6人、イラン・イスラーム革命防衛隊顧問1人、外国人15人)

民間人24人(うち子ども5人、女性3人、学生4人)

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一方、同監視団によると、ロシア軍とシリア軍の爆撃は86回に達した。

内訳は以下の通り:

27日
シリア軍
ワースィタ村4回
ダーラト・イッザ市東(第111中隊基地一帯)4回

ロシア軍
ダーラト・イッザ市一帯3回
タフタナーズ市近郊1回
カブターン・ジャバル村一帯6回
カフル・タアール村一帯4回
ナイラブ村4回
アブザムー村1回
シャイフ・バラカート村3回
サーン村3回

28日
サルミーン市一帯4回
マジュダリヤー村一帯4回
ナイラブ村2回
サラーキブ市一帯4回
ダーディーフ村2回
ダーラト・イッザ市4回
アターリブ市2回
アリーハー市および同市一帯3回
ダーディーフ村2回

29日
ロシア軍
カフル・ウワイド村4回
クマイナース村・サルミーン市間4回
ビンニシュ市一帯3回
イドリブ市2回
タッル・カラーマ村2回

シリア軍
ジューバース村4回
ダーディーフ村4回

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「攻撃抑止の戦い」軍事作戦局がテレグラムの専用アカウント(https://t.me/aleamaliaat_aleaskaria/)を通じて29日に行った主な発表は以下の通り。

午前1時31分、ミーズナーズ村、カフルダーイル村、バルクーム村、バービース村、バシュカーティーン村、バシュナトラ村、クサイビーヤ村、アルビーフ村にシリア軍を強いるとともに、イドリブ県でシリア軍の車列を撃破したと発表。

午前1時50分、シャーヒーン大隊による無人航空機による映像を公開。

午後1時58分、ハサン・アブドゥルガニー司令官がアレッポ市西部農村地域全域を解放したと発表。

午前10時51分、ハーン・トゥーマーン村、ジュッブ・カース村、トゥライハ村、タッル・カラーティーン村、バウワービーヤ村、アブー・カンサ村、ズィーターン村、サーリヒーヤ村を制圧したと発表。

午後1時30分、シュガイディラ村を制圧したと発表。

午後2時6分、「攻撃抑止」の戦い軍事作戦局がWhatAppのアカウント(https://www.whatsapp.com/channel/0029VayFOpoBVJkxfM979e0K)を開設したと発表。

午後2時14分、ハーディル村を解放しつつあると発表。

午後3時25分、アレッポ市への進攻を開始したと発表。

午後3時31分、タッル・ハディーヤ村、イドリブ県のハーン・スブル村、タルナバ村を制圧する一方、シリア軍のT-90戦車1輌を捕獲したと発表。

午後3時33分、シリア軍将兵に離反を呼び掛ける。

午後3時52分、アレッポ市ハムダーニーヤ地区、ハラブ・ジャディーダ地区に進攻したと発表。

午後4時36分、アレッポ市に進攻する様子を撮影した映像を公開。

午後4時39分、アレッポ市に進攻した戦闘員を激励するとともに、民間人に危害を加えないよう指示するシャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者の映像を公開。

午後5時9分、シリア軍がサラーキブ市から撤退していると発表。

午後7時10分、イドリブ県の(タッル・)マルディーフ村、アレッポ県のクースィンヤー村、ラスム・サフリージュ村、ラスム・アイス村、イウジャーズ村、アレッポ県南部の要衝の丘3ヵ所を制圧する一方、サラーキブ市で戦車3輌を破壊し、撤退するシリア軍の2つの車列を攻撃したと発表。

午後7時42分、アレッポ市に進攻した戦闘員を激励するとともに、民間人に危害を加えないよう指示するシャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者の映像の発言をまとめたインフォグラフィックを公開。

午後8時22分、サラーキブ市を完全制圧したと発表。

午後9時8分、ハサン・アブドゥルガニー司令官のアレッポ市民に向けたビデオ声明を配信。

午後9時45分、アレッポ市に進攻した戦闘員を激励するとともに、民間人に危害を加えないよう指示するシャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者の映像の発言をまとめたインフォグラフィックの英語版を公開。

午後10時8分、司令官の1人アーミル・シャイフ氏の指示内容を公開。

午後11時11分、29日金曜日午後11時30分から30日午前8時00分まで、アレッポ市での外出を禁止すると発令。

午後11時27分、アレッポ市に進攻した戦闘員を激励するとともに、民間人に危害を加えないよう指示するシャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者の映像の発言をまとめたインフォグラフィック(第2弾)を公開。

午後11時29分、アレッポ市に進攻した戦闘員を激励するとともに、民間人に危害を加えないよう指示するシャーム解放機構のアブー・ムハンマド・ジャウラーニー指導者の映像の発言をまとめたインフォグラフィック(第3弾)を公開。

午後11時38分、シャーヒーン大隊の無人航空機の映像を公開。

AFP, November 29, 2024、ANHA, November 29, 2024、al-Ikhbariya, November 29, 2024、‘Inab Baladi, November 29, 2024、Reuters, November 29, 2024、SANA, November 29, 2024、SOHR, November 29, 2024などをもとに作成。

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