2013年8月23日のシリア情勢

反体制勢力の動き

自由シリア軍(参謀委員会)の北部戦線、東部戦線、中西部戦線、ヒムス戦線の司令官らと、複数の軍事評議会、活動家は共同ビデオ声明を出し、国連で公正な調査と、政権の処罰がなされない限り、安保理各国への強力を停止すると発表した。

また、イスラーム諸国、アラブ諸国の指導者がシリア国民の被害にふさわしい支援を行わなければ、辞任すべきだとしたうえで、自由シリア軍参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長も彼らとともに辞任すべきだと主張した。

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イスラーム旅団は声明を出し、ダマスカス郊外県東グータ地方などで軍が化学兵器を断じたうえで、国連調査団による攻撃現場の調査を主張するとともに、ダマスカス県およびダマスカス郊外県の「解放区」での調査団活動と団員の安全を保障すると発表した。

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シリア革命反体制勢力国民連立政治委員会メンバーのファーイズ・サーラ氏は『ハヤート』(8月24日付)に、アフマド・ウワイヤーン・ジャルバー議長が米仏、トルコ、カタール、UAEなど西側諸国の外相との電話会談で、ダマスカス郊外県東グータ地方などで軍が化学兵器を使用したとの反体制勢力の主張に関して「虐殺に対する国際社会の反応は、犯罪の規模に見合ったものではない」と批判、「虐殺に対して明確な姿勢がとられない限り、ジュネーブ2会議に出席することはできない」と告げたと述べた。

またサーラ氏は、アサド政権による化学兵器使用に疑義を呈したヴァチカンの在スイス常駐代表の発言に関して「この発言が、国際社会の一部の当時者がシリア政府と共謀していることの証拠になるか?…ヴァチカンの姿勢は政治と道徳の世界の外にある」と批判した。

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シリア革命反体制勢力国民連立のハーリド・サーリフ報道官はトルコのイスタンブールで記者会見を開き、「我々は(化学兵器使用に関する)国連調査団の安全を保障する。調査団は東西グータに48時間以内に来る必要がある」と述べた。

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シリア国民評議会のブルハーン・ガルユーン元事務局長は声明を出し、ダマスカス郊外県東グータ地方などで軍が化学兵器を使用したとの反体制勢力の主張に関して、国際社会の対応の鈍さを批判した。

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シリア化学兵器問題文書事務所(独立系NGO人権団体)は、ダマスカス郊外県東グータ地方などで軍が化学兵器を使用したとの反体制勢力の主張に関して、報告書を発表、そのなかで、攻撃にサリン・ガスが使用された可能性が高いと発表した。

同事務所によると、無差別攻撃は21日午前2時25分に開始され、これまでの調査で1,228人が死亡、うち760人の氏名が確認されたという。

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シリア民主人民党は声明を出し、ダマスカス郊外県東グータ地方などで軍が化学兵器をアサド政権が使用したと断じたうえで、国際社会に追求するよう求めた。

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シリア人権監視団は声明を出し、軍が16日にアレッポ市カッラーサ地区を空爆し、市民61人が殺害されていたと発表した。

被害者のうち15人は子供だという。

この攻撃に関して、軍は武装集団の拠点を攻撃したと発表していたという。

シリア政府の動き

クッルナー・シュラカー(8月23日付)によると、アサド大統領は、マイムーン・イッズッディーン判事をテロ法廷の裁判長に、またムハンマド・ナースィル判事を同法廷顧問に任命した。

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、バルザ区、バルザ区、ジャウバル区で軍と反体制武装集団が交戦、ヤルムーク区などが軍の砲撃を受けた。

またカッサーア地区のフランス病院裏に迫撃砲弾が着弾した。

こうしたなか、PFLP-GCは、ヤルムーク区の住民および戦闘員に対して、パレスチナ人の人民諸委員会が突入する前に同地区(パレスチナ難民キャンプ)から退去するよう拡声器で、呼びかけた。

一方、SANA(8月23日付)によると、ジャウバル区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

またカッサーア地区、バーブ・トゥーマー地区、ファハーマ地区に迫撃砲弾が着弾し、女性1人を含む7人が負傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、サクバー市、タルフィーター市、ドゥーマー市、ダーライヤー市で、軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(8月23日付)によると、アルバイン市、ザマルカー町、アイン・タルマー村、シャイフーニーヤ村、ハラスター市、ズィヤービーヤ町、フサイニーヤ町、フジャイラ村、ビビーラー市、ハーン・シャイフ・キャンプ、スバイナ町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャーム・ムジャーヒディーン大隊の戦闘員らを殺傷、拠点・装備を破壊した。

またドゥッハーニーヤ地方、ジャルマーナー市で、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民1人が死亡、4人が負傷した。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ダルアー市内の軍検問所で反体制武装集団が車爆弾を爆発させ、多数の兵士を殺害した。

これに対して、軍はダルアー市、ナワー市を空爆、またハーッラ市などで、反体制武装集団と交戦、これにより市民7人と複数の兵士が死亡した。

一方、SANA(8月23日付)によると、ダルアー市、ヒルバト・ガザーラ町に向かうガーリヤ街道、(東)カラク村で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ジャウラト・シヤーフ地区、ダブラーン地区ダール・カビーラ村、カルアト・ヒスン市で、軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃を加えた。

一方、SANA(8月23日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、ジャウラト・シヤーフ地区、ヒルバト・ナイーマート地方、ヒルバト・バアユーン地方、ヒルバト・ハワーラ地方、タドムル市郊外、東ブワイダ村、ダール・カビーラ村、ターヌーナ村で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、反体制武装集団が軍との戦闘で、軍の士官2人を含む多数の兵士を殺傷、カルバーティーヤ村、ラシャーディーヤ村を制圧した。

これに関して、『ハヤート』(8月24日付)は、複数の反体制消息筋の話として、反体制武装集団が制圧したアレッポ市郊外の村が8村から13村に増加、またアブドゥルカリーム・マフルーフ大佐を含むシリア軍兵士200人を殺害した、と報じた。

このほか、シリア人権監視団によると、ダイル・ハーフィル市、バヤーヌーン町を軍が空爆、またサフィーラ市郊外の村の井戸で5人の遺体が発見された。

一方、SANA(8月23日付)によると、ダイル・ハーフィル市、マーイル町、フライターン市、カフルハムラ村、カフルダーイル村、ジュバイラ市、ハーン・アサル村、クワイリス村、フライターン市・アンダーン市街道、アレッポ中央刑務所南部、カースティールー街道、カフルナーハー・アウラム・クブラー街道、アターリブ・アウラム・クブラー街道で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

アレッポ市では、シャッアール地区、ブスターン・カスル地区、サーリヒーン地区、旧市街、ラーシディーン地区、ジュダイダ地区で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

他方、シャーム・プレス(8月23日付)は、アレッポ市ブスターン・カスル地区で、シャリーア委員会のブスターン・カスル地区にあるカラージュ・ハジュズ検問所の「司令官」が殺害されたのを受け、同委員会が検問所を封鎖したと報じた。

「司令官」は21日からの軍とシャームの民のヌスラ戦線などからなる反体制武装集団との戦闘のなかで殺害されたという。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、ユースフィーヤ村、カルフーク村で、民主連合党人民防衛部隊が、イラク・シャーム・イスラーム国、シャームの民のヌスラ戦線と交戦した。

イラク・シャーム・イスラーム国、シャームの民のヌスラ戦線は両村に砲撃を行った。

一方、SANA(8月23日付)によると、タッル・タムル町で軍が反体制武装集団の拠点を攻撃・破壊、複数の戦闘員を殺傷した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、タッル・アブヤド市郊外の村々で、民主連合党人民防衛部隊が、イラク・シャーム・イスラーム国、シャームの民のヌスラ戦線と交戦した。

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イドリブ県では、SANA(8月23日付)によると、ブカフルーン市、ビンニシュ市、マアッラト・ヌウマーン市、ヒーシュ村、アブー・ズフール市、アリーハー市で、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

レバノンの動き

LBCI(8月23日付)は、レバノン赤十字社が、ダマスカス郊外県東グータ地方などで化学兵器による攻撃の被害を受けたとされるシリア人患者1人が、22日深夜にベカーア県西ベカーア郡のジーブ・ジャニーーン村のファルハート病院に搬送されたと発表した、と報じた。

レバノンの声(8月23日付)によると、患者の氏名はアフマド・ウバイド氏。吐き気の症状があり、病院に搬送されたという。

しかし、ジャディード・チャンネル(8月23日付)によると、ウバイド氏は、医師たちが血液検査によって有毒ガスの使用の確認するまえに、病院を逃走した、という。

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ジャディード・チャンネル(8月23日付)によると、レバノン軍はベカーア県ハースバイヤー郡クファイル村で、ガス・マスクや関連機器を積んだトラックの運転手を逮捕、積荷を押収した。

同チャンネルによると、逮捕された運転手(シリア人)は、イスラエルが占領しているゴラン高原のヘルモン山を経由して、シリアの反体制勢力にガス・マスクなどを供与しようとしていたという。

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イスラエル軍は、前日のイスラエル領内へのロケット弾攻撃への報復として、南部県サイダー郡ナアマ市にあるPFLP-GCの基地を空爆した。

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AFP(8月23日付)によると、北部県トリポリ市内のモスク2カ所で同時爆弾テロが発生し、42人が死亡、500人以上が負傷した。

爆発は金曜礼拝直後に発生し、1発目の爆弾は、ナジーブ・ミーカーティー暫定首相邸に近い市の中心で、2発目は港の近くで爆発した。

諸外国の動き

バラク・オバマ米大統領はダマスカス郊外県東グータ地方などで軍が化学兵器を使用したとの反体制勢力の主張に関して、CNN(8月23日付)に「我々が目にしたものが示しているのは、これが重要な出来事で、深刻な懸念をもたらすということ」と述べた。

しかし「もし米国が国連の承認や、明白な証拠なしに他国を攻撃したら、国際法がそれを認めるのかという問いが生じる。こうしたことを成功させるのに必要な同盟が我々にはあるだろうか?」と述べ、軍事介入には引き続き慎重な姿勢を示した。

そのうえで「シリア情勢は宗派間構想も絡み、複雑で、米国なら解決できるという認識は少し過大評価だ」と付言した。

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ロイター(8月23日付)は、複数の治安筋の話として、シリア軍がダマスカス郊外県東グータ地方などで、「化学兵器を使用した」との「暫定調査結果」を欧米の諜報機関がまとめたと報じた。

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ロバート・モラー米FBI長官はABC News(8月23日付)のインタビューで、アフガニスタンやパキスタンで始まったテロの脅威が、シリア、リビア、エジプト、イエメンに「移住」したとしたうえで、「これらの地域(シリアなど)に移動する人々を見たら、彼らが作り出すだろうつながりや、彼らが得るであろう経験に懸念を感じるだろう。彼らがもしこうしたつながりや経験を活用し、国(米国)を攻撃したらどうなるだろう」と述べ、懸念を表明した。

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イギリスのウィリアム・ヘイグ外務大臣はテレビのインタビューで「化学兵器の攻撃はアサド政権が広範に行ったと考えているが、国連がその調査を行うことを望んでいる…。唯一可能な解釈は化学兵器による攻撃で…、狭い地域で大規模な犠牲者が出たことの合理的解釈は他にはない」と述べた。

また「もし数日中に調査が行われなければ…、より強力な承認を求めるため安保理に戻る準備がある…。アサド政権には隠し事があるようだ。そうでないなら、なぜ国連調査団が現場に向かうことを認めないのか?」と付言した。

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ロシア外務省は声明を出し「シリアに敵対的な新たなプロパガンダが波及するなか、一部の押収諸国が安保理に訴え、力を行使するための決議の採択を呼びかけることは容認できないと考える」との意思を示した。

そのうえで、ダマスカス郊外県東グータ地方などで軍が化学兵器を使用したとの反体制勢力の主張に関して「明らかな挑発行為」で、国連調査団の「客観的な調査実施を阻止」しようとするものだと批判した。

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アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は報道官を通じて声明を出し、ダマスカス郊外県東グータ地方などで軍が化学兵器を使用したとの反体制勢力の主張に関して、ジュネーブ2会議開催の必要を示すものだと述べた。

声明ではまた「問題は、この内戦に関与するすべての当時者が軍事的勝利を実現できると考えていることにある…。しかしいかなる当時者も優位になることはない。政治的解決以外にない」と警鐘を鳴らした。

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国連難民高等弁務官事務所は声明を出し、シリアの紛争で周辺諸国などに逃れた避難民のうち、18歳未満が100人以上にのぼったと発表した。

このうち4分の3以上は10歳以下の子供だという。

AFP, August 23, 2013、Champress, August 23, 2013, August 24, 2013、CNN, August 23, 2013、al-Hayat, August 24, 2013、al-Jadeed, August 23, 2013、LBCI, August 23, 2013、Kull-na
Shuraka’, August 23, 2013、Kurdonline, August 23, 2013、Naharnet, August
23, 2013、Reuters, August 23, 2013、SANA, August 23, 2013、UPI, August 23,
2013、Voice of Lebanon, August 23, 2013などをもとに作成。

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