2013年5月28日のシリア情勢

国内の暴力

ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、バルザ区で軍と反体制武装集団が交戦、またアッバースィーヤ地区のバス・ターミナルに何者かが撃った迫撃砲弾2発が着弾した。

一方、SANA(5月28日付)によると、ジャウバル区、バルザ区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また、アッバースィーイーン地区のバス・ターミナルで、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾2発が着弾し、市民4人が負傷した。

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ヒムス県では、SANA(5月28日付)によると、ヒムス県ヒムス市で、ヤーラー・アッバースさん(イフバーリーヤ・チャンネル特派員)の葬儀が行われ、遺族や市民が多数参列した。

SANA, May 28, 2013

SANA, May 28, 2013

葬儀には、ヒムス県のアフマド・ムニール・ムハンマド県知事、タルトゥース県のニザール・イスマーイール・ムーサー県知事、バアス党タルトゥース支部書記長、同ハマー支部書記長ら要人も参列した。

また、SANA(5月28日付)によると、ナースィリーヤ市・カルヤタイン市間の街道、フサイニーヤ町、ラスタン市、タルビーサ市、バイト・ハッジュー市、東ブワイダ市、ダブア市、アルジューン市、キースィーン市、クサイル市、タイバ村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

このほか、ヒムス市ナズハ地区、アクラマ地区で、反体制武装集団が撃った迫撃砲弾が着弾し、市民3人が死亡、複数が負傷した。

一方、シリア人権監視団によると、クサイル市に近いダブア航空基地が軍の砲撃を受けた。

また反体制武装集団は、シンシャール村近くの軍を襲撃、またハサウィーヤ市、ドゥワイル市で軍と反体制武装集団が交戦した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、トゥライスィーヤ市を軍が空爆した。

一方、SANA(5月28日付)によると、カフルヌブーダ町で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、バサーミス村、バザーブール村、アイン・ハムラー村、アウラム・ジャウズ市が軍の砲撃を受けた。

一方、SANA(5月28日付)によると、アイン・カサブ町、スィンドヤーナ市、アリーハー市、バザーブール村、アルバイーン山、アブー・ズフール航空基地北部、マアッラトミスリーン市、サラーキブ市、タフタナーズ市、ナイラブ村、サルミーン市、シャビーバ軍事基地周辺、ダイル・サンバル村、マアッラト・ヌウマーン市、ブワイティー市、イシュタブリク村で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、ヌッブル市、ザフラー町で軍と反体制武装集団が交戦した。

またアレッポ中央刑務所を軍が空爆し、収監者15人が死亡したという。

一方、SANA(5月28日付)によると、アレッポ中央刑務所周辺、ヒーラーン村、アンダーン市、ハイダリーヤ市、アレッポ市ブアイディーン地区で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、タブカ航空基地周辺で軍と反体制武装集団が交戦し、シャッダーディー市が軍の砲撃を受けた。

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ダマスカス郊外県では、SANA(5月28日付)によると、アッブ農場、ドゥーマー市、ハラスター市、バイト・スィヒム市、スーク・ガナム農場で、軍が反体制武装集団の追撃を続け、シャバーブ・フダー旅団メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

また、ハジャル・アスワド市が軍の砲撃を受けたという。

一方、クッルナー・シュラカー(5月28日付)は、イラクのムクタダー・サドル潮流のマフディー軍に属する「死の師団」司令官で「アブー・ダルア」を名のるイラク人戦闘員がサイイダ・ザイナブ町で自由シリア軍によって殺害されたと報じた。

シリア政府の動き

シリアの外務在外居住者省は声明を出し、EU外相理事会での対シリア武器禁輸緩和措置解除決定を、武装テロ手段への武器輸出を認める行為で、シリアの危機の政治的解決をめざすシリア国民の意思と国際社会の努力に反すると批判した。

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『ワタン・アラビー』(5月28日付)は、ドイツの複数の諜報筋の話として、ドイツ連邦情報局(BND)のゲルハルト・シンドラー長官が5月初めにダマスカスを秘密裏に訪問し、アリー・マムルーク国民安全保障会議議長らシリアのムハーバラートの高官と会談した、と報じた。

同報道によると、会談では、シャームの民のヌスラ戦線などサラフィー主義戦闘員などにかかわる治安・安全保障面での協力態勢が協議されたという。

反体制勢力の動き

自由シリア軍参謀委員会のサリーム・イドリース参謀長は、アラビーヤ・チャンネル(5月28日付)を通じて声明を発表、ヒズブッラーにシリア領内からの撤退を求め、撤退まで24時間の猶予を与えると発表した。

イドリース参謀長は、レバノン大統領、アラブ連盟事務局長、事務総長に、24時間以内に自らの責任を果たすよう要求、シリアでのヒズブッラーの攻撃が停止しなければ、戦闘員を抑えることができない、と述べた。

またイドリース参謀長は、ヒムス県クサイル市の80%が、ヒズブッラーに支援されたシリア軍によって制圧されたとの情報を否定、またヒズブッラー以外に、イラン人、イラク人の戦闘員がアサド政権側に立って戦闘を行っていると主張した。

http://www.youtube.com/watch?v=UQ2sQ6UU7jU&feature=player_embedded

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イスタンブールで総合委員会会合を続けるシリア革命反体制勢力国民連立は、新規メンバー拡大をめぐる内部分裂にもかかわらず、会合を続け、政治委員会メンバー、事務議長、議長の選挙の準備を開始した。

『ハヤート』(5月29日付)が報じた。

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シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー前議長は、クッルナー・シュラカー(5月28日付)に対して、「この4日間における外国の圧力は逆効果だった」と述べ、シリア革命反体制勢力国民連立の新規メンバー参加をめぐる混乱の責任が諸外国にあると非難した。

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革命指導最高評議会のダーウド・スライマーン副議長(シリア国民評議会メンバー)はクッルナー・シュラカー(5月28日付)に対して、シリア革命反体制勢力国民連立のイスタンブールでの総合委員会会合での新規メンバー参加問題への対応に関して、「会合出席者の大多数外国の大使の圧力のもとにあり…、独自の決定を下すことができない」と述べ、批判した。

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シリア革命総合委員会、地元調整諸委員会、シリア革命調整連合、革命指導最高評議会は共同声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立による参加メンバー拡大の試みに関して、「革命に影響力のあるアクターが出席していない」と批判、「革命の癌と化している政治主体にいかなる正統性をも付与することを拒否」するとの姿勢を示した。

レバノンの動き

レバノン軍は声明を出し、ベカーア県バアルベック郡アルサール地方のワーディー・フマイド村の検問所が武装集団の襲撃を受け、兵士3人が死亡したと発表した。

諸外国の動き

イタルタス通信(5月28日付)によると、ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官は、EU外相理事会での対シリア武器禁輸措置解除決定に関して、モスクワで記者団に「国際大会(ジュネーブ2)開催の機会を損ねる」と非難した。

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フランス外務省報道官は、EUによる対シリア武器禁輸措置解除に関して記者団に「パリは今後2ヶ月のうちに、(シリアの紛争の)政治的解決の突破口がもたらされることを希望している。EUの決定は政治的な宣言であって、法的な根拠はない」と述べ、反体制勢力への武器供与に慎重な姿勢を示した。

しかし8月1日以前に必要が生じたら、反体制勢力に武器供与を行うかとの問いに対しては、「行う」と答えた。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣はBBC(5月28日付)に対して、「8月1日までの(武器供与)猶予に関して議論が行われたことは承知している」としつつも、8月1日以前に反体制勢力に武器供与を行う可能性を排除した。

しかし、反体制勢力への武器供与を英国単独で行うことはないと述べ、曖昧な発言に終始した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣は訪問先のパリで、ジョン・ケリー米国務長官、ローラン・ファビウス外務大臣と会談し、ジュネーブ2会議開催などシリア情勢について協議した。

会談後のロシア・メディアの質問に対して、ラヴロフ外務大臣は、「国際法は政府でない組織への武器供与を禁じている。原則的に違法だ」と、EUによる対シリア武器禁輸措置解除を批判した。

AFP, May 28, 2013、Alarabia.net, May 28, 2013、al-Ḥayāt, May 29, 2013、Kull-nā Shurakā’, May 28, 2013、Kurdonline, May 28, 2013、Naharnet,
May 28, 2013、Reuters, May 28, 2013、SANA, May 28, 2013、UPI, May 28, 2013、al-Waṭan al-ʻArabī, May 28, 2013などをもとに作成。

 

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