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イスラエル軍機によるシリア越境空爆の報道
CNN(5月4日付)やMSNBC(5月4日付)など複数のメディアは、複数の米国高官の話として、5月2日晩から5月3日未明にかけて、シリア領内に対して空爆を行ったと、イスラエルの高官が5月4日に認めたと報じた。
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レバノン軍は、5月2日19時10分から5月3日3時15分にかけて、イスラエル軍機が3回にわたってレバノン領空を侵犯したと発表した。
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AFP(5月4日付)は、レバノンの外交筋の話として、5月2~3日にイスラエル軍機がシリア領内で行ったとされる空爆はロシア製の地対空ミサイルの破壊が目的だったと報じた。
同報道によると、この地対空ミサイルはダマスカス国際空港に保管されていたが、3日の空港内での火災を受けて、移設されたという。
また『ハヤート』(5月5日付)は、西側のメディアの報道や外交筋の話として、イスラエル軍機によるシリア領内への空爆が、イラン製のミサイル「ファーティフ110」など高性能兵器のヒズブッラーへの供与を阻止するために行われた可能性があると報じた。
AFP(5月4日付)によると、シリア政府に複数の消息筋は、イスラエル軍機による攻撃の事実を今のところ否定している、という。
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バラク・オバマ米大統領は、イスラエル軍機がシリアへの越境空爆を行ったとのメディアの報道などを受け、「イスラエルは、ヒズブッラーのようなテロ組織に高性能の武器が渡ることに対して、正当なかたちで自衛しなければならない」と述べた。
シリア政府の動き
アサド大統領は、ダマスカス大学法学部キャンパスでの大学犠牲者追悼碑の除幕式に出席した。
追悼碑除幕後、アサド大統領は参列した数千人の遺族や学生らと懇談した。
SANA(5月4日付)が報じた。
国内の暴力
タルトゥース県では、シリア人権監視団(駐英)が、バーニヤース市ラアス・ナブア地区で軍および親政権の武装組織が5月3日に、子供14人を含む62人を「虐殺」したと発表した。
同監視団によると、行方不明者も数十人おり、犠牲者数はさらに増加すると思われるという。
またシリア人権監視団は5月2、3日のバイダー町とバーニヤース市ラアス・ナブア地区での「虐殺」での死者数は100人以上に達すると発表する一方、複数の活動家らは死者数が800人に達すると主張している。
さらにシリア人権監視団によると、スンナ派が多く住むバーニヤース市南部の住民が「軍および国防隊のアラウィー派による虐殺を恐れ」、タルトゥース市、ジャブラ市(ラタキア県)方面に集団避難を始めたという。
複数の住民によると、バーニヤース市やジャブラ市の入り口には治安機関の検問所が設置さえ、住民を帰宅させようとしたが、ヒステリー状態となった数百人が逃走したという。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、クサイル市周辺の農場で、「ヒズブッラーのエリート部隊の支援を受ける」軍と反体制武装集団が交戦し、軍が砲撃を加えた。
この戦闘で、反体制武装集団の戦闘員10人が死亡した。
一方、SANA(5月4日付)によると、クサイル市周辺のマシュタル地方で軍が反体制武装集団の掃討を完了し、治安を回復した。
またサアン村郊外、ラスタン市郊外、アクラブ町、ヒムス市バーブ・フード地区、カラービース地区、ジャウラト・シヤーフ地区、ハーリディーヤ地区、ハイダリーヤ村などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ハマー県では、シリア人権監視団によると、ハマー市アレッポ街道地区で大きな爆発が起きた。原因は不明。
またマアッル・ダッス市などで、軍と反体制武装集団が交戦した。
一方、SANA(5月4日付)によると、ハマー市サワーイク地区、ジュッブ・アフマル村などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、マンナグ航空基地の敷地内に突入し、空港内の戦車連隊を制圧したのを受け、軍が空港に対して空爆を行った。
この戦闘で、アリー・マフムード空軍准将ら軍の将兵数十人が死亡した。
アレッポ市スライマーン・ハラビー地区に軍の増援部隊が到着し、サーフール地区への突入の準備が本格化した。
一方、SANA(5月4日付)によると、クワイリス航空基地周辺、マンナグ航空基地などで、軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ラッカ県の新ユーフラテス橋近くなどに軍が「樽爆弾」などで空爆を行った。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダマスカス県ヤルムーク区の男性がハーン・シャイフ・キャンプに対する砲撃で負傷、死亡した。
またムライハ市郊外、ダルーシャー村、ムウダミーヤ・シャーム市、ダーライヤー市などで、軍と反体制武装集団が交戦、軍が砲撃を加えた。
一方、SANA(5月4日付)によると、イバーダ市、タッル・ガリーカ市、ダイル・アサーフィール市、ジャラージール町などで、軍が反体制武装集団を攻撃し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またハラスター市、ドゥーマー市、スバイナ町、ダーライヤー市などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区で軍と反体制武装集団が交戦した。
一方、SANA(5月4日付)によると、バルザ区、カーブーン区などで、軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、ワーディー・ヤルムークで軍と反体制武装集団が交戦、反体制武装集団の戦闘員1人が死亡した。
また第49防空大隊基地に対して、軍が空爆を行った。
さらに反体制武装集団(自由シリア軍)は対ヨルダン国境に近いマスリーティーヤ検問所を3時間にわたる交戦の末制圧したと発表した。
一方、SANA(5月4日付)によると、マスミヤ町などで軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ハサカ県では、民主統一党人民防衛隊総司令部によると、タッル・タムル町周辺での1週間にわたるシャームの民のヌスラ戦線など反体制武装集団との戦闘で、35人の戦闘員を殲滅、約50人を捕捉した。
戦闘では人民防衛隊の兵士4人も死亡したという。
一方、SANA(5月4日付)によると、タッル・アダス市などで軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
またタッル・タムル町とハサカ市を結ぶ街道では、軍が使徒末裔旅団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷した。
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イドリブ県では、SANA(5月4日付)によると、ハーリム市および同市郊外、アブー・ズフール航空基地周辺、ジスル・シュグール市郊外、サルジャ村、カフルラーター村、サルミーン市、マアッラトミスリーン市、シャビーバ軍事基地周辺、アトシャーン村などで、軍が反体制武装集団と交戦し、シャーム自由人大隊、ザーウィヤ旅団メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
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ダイル・ザウル県では、SANA(5月4日付)によると、ダイル・ザウル市工業地区、シャイフ・ヤースィーン地区などで、軍が反体制武装集団と交戦し、真理の剣大隊メンバーなど複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。
反体制勢力の動き
民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首は訪問中のロンドンで『ハヤート』(5月5日付)のインタビューに応じ、そのなかでEUによる対シリア石油禁輸措置緩和に関して、民主統一党人民防衛隊が掌握している油田からの石油の輸出がクルド最高委員会の監督のもとに行われるべきだとの見解を示した。
また西クルディスタン人民議会のもとで武装部隊の教練が重点的に行われており、アサーイシュ(警察部隊)を教練するための訓練所がシリア北東部と北部に3カ所設置され、3ヶ月間の実習コースを開設していることを明らかにした。
さらに、民主統一党人民防衛隊に関して、約15,000人から構成されることを明らかにした。
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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、バーニヤース市ラアス・ナブア地区で行われたとされる軍による住民「虐殺」に関して、「20年前にボスニアでセルビア軍が行った民増浄化の様相を帯びつつある」と批判した。
また「虐殺」が、バーニヤース市南部のバサーティーン・イスラーム村でも行われる可能性があるとして、警鐘を鳴らすとともに、国連安保理に対して、アサド政権による「虐殺」を非難し、こうした行為を即時停止させるための決議を採択するよう求めた。
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シリア・ムスリム同胞団のムハンマド・リヤード・シャカファ最高監督者はDPA(5月4日付)のインタビューに応じ、そのなかで「エジプト(のムハンマド・ムルシー大統領)はシリア国民が何を望んでいるかを知っている。それは政治的解決だ。しかしアサドとその一味を含まないかたちでだ」と述べた。
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カイロで活動するアラウィー派の反体制活動家が主導する「我らはみなシリア人」大会フォローアップ委員会は声明を出し、タルトゥース県バイダー町、バーニヤース市ラアス・ナブア地区で軍が行ったとされる住民「虐殺」に関して、「シリアの革命だけでなく、シリアの将来をも脅かす…宗派戦争へと国を向かわせる」行為と非難した。
レバノンの動き
ミシェル・スライマーン大統領は声明を出し、シリアへの武器・戦闘員の流入を阻止するようレバノン国民に改めて呼びかけた。
AFP, May 4, 2013、DPA, May 4, 2013、al-Hayat, May 5, 2013、Kull-na Shuraka’, May 4, 2013、Kurdonline, May 4, 2013、Naharnet, May 4, 2013、Reuters, May 4, 2013、SANA, May 4, 2013、UPI, May 4, 2013などをもとに作成。
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