諸外国の動き:国連共同特別代表、アレッポでの国民和解に向けた国際社会の介入の必要を示唆(2014年11月5日)

スタファン・デミストゥラ・シリア問題担当国連アラブ連盟共同特別代表は、シリア情勢に関してCNN(11月5日付)に対し、アレッポ市での戦況に国際社会が介入する必要を示唆した。

デミストゥラ共同特別代表は「国際社会全体がコバネ(アイン・アラブ市)を放棄してはならない」と述べる一方、「ダーイシュ(イスラーム国)がコバネから遠いアレッポに向かって移動していることを注視している。これが本当なら、シリアの反体制派とシリア政府の間で何ももたらしていない戦闘を目の当たりにしているこの都市を救済するチャンスだ」と述べた。

しかし、「アレッポ市救済」の真意について、デミストゥラ共同特別代表は「つまり、それはダーイシュ(の動き)を止め…、少なくとも他の場所での戦闘を中止し、我々がこの組織に集中できるようにすることだ。アレッポはこうしたことが適用可能な都市の一つだ」と付言、シリア政府と反体制派の同市での和解をめざしていると述べた。

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トルコのアフメト・ダウトオール首相は、アレッポ県ハンダラート・キャンプ一帯などでのシリア軍によるアンサール・ディーン戦線への攻勢に関して、シリア軍がアレッポ市郊外で虐殺を行っていると非難、アレッポ市をシリア政府が完全制圧すれば、トルコが新たな避難民危機に直面すると警鐘を鳴らした。

ダウトオール首相は軍幹部との会談後、記者団に対して「我々はアレッポ情勢を懸念をもって監視している。同市はすぐに陥落はしないだろうが、強圧に曝されている」と述べた。

アンサール・ディーン戦線は、ムハージリーン・ワ・アンサール軍(外国人戦闘員)、シャームの暁イスラーム運動、シャーム・イスラーム運動、ハドラー大隊などからなる武装集団。

またアレッポ市は、東部一帯をシャームの民のヌスラ戦線をはじめとするジハード主義武装集団などによって制圧されており、シリア軍はハンダラート・キャンプ一帯での攻勢を強めることで、同地一帯への包囲を強めている。

AFP(11月5日付)が伝えた。

AFP, November 5, 2014、AP, November 5, 2014、ARA News, November 5, 2014、Champress, November 5, 2014、CNN, November 5, 2014、al-Hayat, November 6, 2014、Kull-na Shuraka’, November 5, 2014、al-Mada Press, November 5, 2014、Naharnet, November 5, 2014、NNA, November 5, 2014、Reuters, November 5, 2014、SANA, November 5, 2014、UPI, November 5, 2014などをもとに作成。

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