アル=カーイダ系組織「ファトフ軍」の攻勢を受け、シリア軍がイドリブ県最後の支配都市アリーハー市から撤退(2015年5月28日)

イドリブ県では、SANA(5月28日付)によると、シリア軍は、アリーハー市内でシャームの民のヌスラ戦線と交戦後、市内の複数の拠点から同市周辺の防衛線に撤退した。

また、クッルナー・シュラカー(5月28日付)によると、アル=カーイダ系組織のシャーム自由人イスラーム運動、シャームの民のヌスラ戦線などからなるファトフ軍が、シリア政府の支配下にあった県内最後の都市アリーハー市を完全制圧した。

アリーハー市制圧は、駐留していたシリア軍兵士、国防隊隊員約3,000人の撤退を受けた動きで、ファトフ軍はこれに先立ちアリーハー市制圧に向けた軍事侵攻を本格化させ、カフルナジュド村のシリア軍拠点などを掌握していた。

クッルナー・シュラカー(5月28日付)によると、ファトフ軍はシリア軍の撤退の数時間前に「アリーハー解放」作戦を開始し、カフルナジュド村のシリア軍拠点を制圧するなど攻勢に出ていた。

このほか、シリア人権監視団によると、ヌスラ戦線などジハード主義武装集団が包囲するアブー・ズフール航空基地一帯とアリーハー市南部のアルバイーン山一帯をシリア軍が空爆した。

シリア軍はまた、シリア政府の支配下にあるフーア市、カファルヤー町に食糧などの物資を投下した。

他方、SANAによると、シリア軍は、カフルズィーター市、ナリラヤー村周辺、ムサイビーン村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がラターミナ町をシリア軍が「樽爆弾」で攻撃した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、タルビーサ市一帯で、シリア軍、国防隊がシャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団と交戦した。

また、ヒムス市東部のタイフール航空基地で、燃料を充填していたシリア軍戦闘機(スホーイ戦闘機)2機が爆発し、少なくとも5人が死亡、9人が重傷を負った。

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タルトゥース県では、シリア人権監視団によると、1年前に治安当局によって逮捕されたバーニヤース市出身の男性が拷問を受け死亡した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市北部、ザバダーニー市各所、ハーン・シャイフ・キャンプ一帯で、シリア軍、国防隊がジハード主義武装集団と交戦、またシリア軍がフライタ村郊外無人地帯に対して空爆を行った。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ジャウバル区で、シリア軍、国防隊、ヒズブッラー戦闘員が、シャームの民のヌスラ戦線などジハード主義武装集団と交戦した。

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クナイトラ県では、シリア人権監視団によると、シリア軍がマスハラ村、ウンム・バーティナ村、ハミーディーヤ村を空爆した。

一方、SANA(5月28日付)によると、ハミーディーヤ村で、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ダルアー県では、SANA(5月28日付)によると、カフルシャムス町南部、ズィムリーン村、フィキーア村郊外、ジャディーヤ町、ダルアー市避難民キャンプ一帯、バジャービジャ地区などで、シリア軍が反体制武装集団と交戦し、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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イドリブ県内で活動するズィー・カール旅団は声明を出し、イスラーム軍と合併したと発表した。

AFP, May 28, 2015、AP, May 28, 2015、ARA News, May 28, 2015、Champress, May 28, 2015、al-Hayat, May 29, 2015、Iraqi News, May 28, 2015、Kull-na Shuraka’, May 28, 2015、al-Mada Press, May 28, 2015、Naharnet, May 28, 2015、NNA, May 28, 2015、Reuters, May 28, 2015、SANA, May 28, 2015、UPI, May 28, 2015などをもとに作成。

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