ロシア・シリア外相会談:プーチン大統領は、シリア、サウジアラビア、トルコ、ヨルダンを含む国際的な有志連合を通じたダーイシュ(イスラーム国)との戦いを提案(2015年6月29日)

シリアのワリード・ムアッリム外務在外居住大臣は、ロシアの首都モスクワを訪問し、セルゲイ・ラブロフ外務大臣、ヴラジミール・プーチン大統領と相次いでと会談、シリア国内での「テロとの戦い」などについて協議した。

『ハヤート』(6月30日付)がロシア外交筋の話として伝えたところによると、ロシア側はこの会談で、シリア政府、サウジアラビア、トルコ、ヨルダンといった中東諸国を含む諸外国からなる新たな有志連合の結成を提案した。

同外交筋によると、ラブロフ外務大臣は、ムアッリム外務在外居住者大臣との会談で、シリア政府からこの提案に前向きに対処することの合意を得た上で、ジュネーブで30日に会談予定のジョン・ケリー米国務長官に対してロシアの提案に前向きに対処するよう求めようとしているという。

ラブロフ外務大臣との会談後、ムアッリム外務在外居住者大臣はプーチン大統領と会談した。

SANA, June 29, 2015

SANA, June 29, 2015

会談のなかで、プーチン大統領は「テロや過激派と有効に戦うには、地域のすべての国の努力を結集しなければならない…。我々はすべての国と例外なく良好な関係にあり、彼らはみな、ダーイシュ(イスラーム国)との戦いに貢献する用意があると行っている…。こうしたことをトルコ、ヨルダン、サウジアラビアに求める。我々は、シリアを含むすべての友好国に対して、テロとの戦いに関わろうとするすべての当事者との建設的対話を行うためにできることをするよう呼びかけている」と述べた。

プーチン大統領はまた、「我々はシリア情勢が困難なかたちで推移しているのを見ている。いずれにせよ、事態は、国際テロの攻撃と関わっている。こうしたなか、成功は常に問題を伴い、軍事的な障害があることは理解している。しかし、我々は最終的にはシリア国民が勝利すると信頼している。テロリストと戦うシリア政府と国民を支援するというロシアの政策は、代わることなく続く」と強調した。

プーチン大統領との会談後、ムアッリム外務在外居住者大臣とラブロフ国防大臣は合同記者会見を行った。

SANA, June 29, 2015

SANA, June 29, 2015

記者会見でラブロフ外務大臣は、中東情勢をめぐる優先事項を見極めるため、欧米諸国や中東諸国と活発に行動していることを明らかにする一方、シリア側の現状評価を踏まえつつ、テロに対抗しているすべての当事者の努力を結集し、また政治プロセスに関するシリア側の意ジョンを踏まえて、モスクワ会議、カイロ会議といった一連の努力についての検討を行う、と述べた。

そのうえで、プーチン大統領が会談において、すべての国が意見の相違を乗り越えて、ダーイシュをはじめとするテロに対抗すべきだとの姿勢を示したことを強調した。

また、ジュネーブ会議に代表されるシリア政府と反体制派の和平交渉については、欧米諸国や一部中東諸国が「一つの反体制組織」に依存し、それ以外の反体制派を無視していると指摘、シリア革命反体制勢力国民連立の偏重姿勢を「これは間違えで、修正するのが肝要だ」と述べた。

これに対し、ムアッリム外務在外居住者大臣は、シリア政府が政治的方法で危機を解決すべきだと考えていると述べる一方、「テロとの戦いに向けた国際的・地域的な同盟」については「奇跡を必要とするイニシアチブ」としながらも、その成功を望んでいると述べ、ロシア側の提案に支持を表明した。

一方、米国に関して、ムアッリム外務在外居住者大臣は「シリアのテロ組織を支援し続けている…。米国は政治的解決を求める一方で、シリアで戦うテロ集団を支援するために数十億ドルを拠出している」と批判した。

『ハヤート』(6月30日付)、SANA(6月29日付)などが伝えた。

AFP, June 29, 2015、AP, June 29, 2015、ARA News, June 29, 2015、Champress, June 29, 2015、al-Hayat, June 30, 2015、Iraqi News, June 29, 2015、Kull-na Shuraka’, June 29, 2015、al-Mada Press, June 29, 2015、Naharnet, June 29, 2015、NNA, June 29, 2015、Reuters, June 29, 2015、SANA, June 29, 2015、UPI, June 29, 2015などをもとに作成。

(C)青山弘之 All rights reserved.