ダイル・ザウル市内のシリア政府支配地域の包囲解除をめぐって、シリア政府とダーイシュ(イスラーム国)が交渉か?(2015年8月26日)

ダイル・ザウル県では、ダイル・ザウル24(8月26日付)が、複数の消息筋の話として、ダイル・ザウル市内のシリア政府支配地域(ジャウラ地区、クスール地区)に対してダーイシュ(イスラーム国)が行っている包囲の解除に向けた交渉がシリア政府とダーイシュの間で行われていると伝えた。

それによると、ダーイシュによる包囲を解除し、食糧品の搬入を認める「見返り」として、ダーイシュはCONOCOガス工場の設備の取得を求めているという。

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ラッカ県では、シリア人権監視団によると、有志連合に所属すると思われる戦闘機がラッカ市の西部周辺一帯を空爆した。

なお同監視団によると、有志連合に所属すると思われる戦闘機は25日にもラッカ県アブー・ハイフ・ガソリン・スタンド一帯を空爆している。

空爆はダーイシュの地元司令官を狙ったものだという。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ジャズル・ガス採掘所一帯、シャーイル・ガス採掘所一帯、カルヤタイン市一帯をシリア軍が空爆、ダーイシュ(イスラーム国)と交戦した。

一方、SANA(8月26日付)によると、ウンム・ジャーミア村、マクサル・ヒサーン村、ラジャム・カスル村、ラジャム・アーリー村、ヒンダーウィー村一帯、ウンク・ハワー村で、シリア軍が住民とともにダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

シリア軍はまた、ジャズル・ガス採掘所一帯、カルヤタイン市、タドムル市一帯、タフハ村、ムシャイリファ村、ワーディー・アブヤド・ダム一帯、ワーディー・ザカーラ一帯のダーイシュ拠点を空爆し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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ハサカ県では、マサール・プレス(8月26日付)によると、タッル・ハミース市一帯で西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊とダーイシュ(イスラーム国)が交戦、有志連合戦闘機が前者を支援するため空爆を行った。

しかし、有志連合は、タッル・ブラーク町郊外の人民防衛隊拠点複数カ所を誤爆、隊員およい施設に被害が出たという。

一方、マサール・プレス(8月26日付)は、ダーイシュが、シャッダーディー市東部のダシーシャ村で、有志連合に所属すると思われる集団が、通信機器を携帯し、ダーイシュの拠点の位置を報告していることを発見したと伝えた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザバダーニー市に近いブカイン市一帯で、ダーイシュ(イスラーム国)と思われる武装集団とシリア軍が交戦し、シリア軍兵士複数が死亡した。

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スワイダー県では、SANA(8月26日付)によると、アーバール・ラシーダ集合住宅地区、ブサイナ丘で、シリア軍がダーイシュ(イスラーム国)と交戦し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

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アレッポ県では、SANA(8月26日付)によると、シリア軍はバーブ市内のダーイシュ(イスラーム国)の拠点を攻撃し、複数の戦闘員を殺傷、拠点・装備を破壊した。

一方、ダーイシュ(イスラーム国)の通信部門アアマーク通信は、ダーイシュが包囲を続けるクワイリス航空基地近くで、シリア軍戦闘機1機を撃墜したと発表した。

撃墜方法については明らかにしなかった。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダーイシュ(イスラーム国)ユーフラテス州(ブーカマール市およびイラクのカーイム市一帯)のヒスバ(宗教警察)は、男性が「恥部が明らかになるようなタイトな洋服」(ズボンなど)を着用することを禁止、商店主に対して20日以内に街頭する衣服の販売を停止するよう通達した。

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米中央軍(CENTCOM)は、8月26日にシリア、イラク領内のダーイシュ(イスラーム国)拠点などに対して25回の空爆を行ったと発表した。

このうちシリア領内での空爆は7回におよび、フール町(ハサカ県)近郊(3回)、アイン・アラブ市近郊(1回)のダーイシュに対して攻撃が行われたという。

 

AFP, August 26, 2015、AP, August 26, 2015、ARA News, August 26, 2015、Champress, August 26, 2015、Deirezzor24, August 26, 2015、al-Hayat, August 27, 2015、Iraqi News, August 26, 2015、Kull-na Shuraka’, August 26, 2015、al-Mada Press, August 26, 2015、Masar Press Agency. August 26, 2015、Naharnet, August 26, 2015、NNA, August 26, 2015、Reuters, August 26, 2015、SANA, August 26, 2015、UPI, August 26, 2015などをもとに作成。

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