2012年12月30日のシリア情勢

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハーミディーヤ軍事基地周辺の複数の検問所を、シャームの民のヌスラ戦線などの反体制武装勢力が制圧した。

またワーディー・ダイフ軍事基地周辺では、軍と反体制武装勢力が戦闘を続け、シャーム自由人大隊の司令官1人を含む戦闘員7人が死亡した。

一方、サラーキブ市および同郊外革命家戦線大隊が、サラーキブ市および同市郊外を旋回していたシリア軍のヘリコプターを撃墜したという。

これに対して、SANA(12月30日付)は、マアッラトミスリーン市、タフタナーズ市、トゥウーム村、カフルルーヒーン村、ナイラブ村、アイン・シート市郊外などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊したと報じた。

またワーディー・ダイフ軍事基地周辺、ジスル・シュグール市郊外の反体制武装勢力の拠点に対して、軍が特殊作戦を行い、バーバー・アムル大隊、ファールーク大隊のメンバーなど多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊したという。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市マイサル地区、タッル・リフアト市、アアザーズ市、マンスーラ村、サフィーラ市での砲撃で子供8人、女性5人を含む市民24人が死亡した。

一方、SANA(12月30日付)によると、サフィーラ市、マンナグ市、ラスム・アッブード村、ウワイジャ地区、ハーン・トゥーマーン村、アレッポ市スッカリー地区、ブスターン・カスル地区などで軍が反体制武装勢力を追撃し、シャームの民のヌスラ戦線メンバーら多数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、シリア人権監視団によると、カフルヌブーダ町での砲撃で7人が死亡した。

一方、SANA(12月30日付)によると、ムーリク市で軍が反体制武装勢力と交戦、戦闘員を殲滅した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区が砲撃を受け、またジャウラト・シヤーフ地区で軍と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(12月30日付)によると、ザアフラーナ村、ジャウバル市、カフル・アーヤー村、ラスタン市などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、『ハヤート』(12月31日付)によると、ヤルムーク区のアイン・ガザール通りで爆弾が仕掛けられた車が爆発し、女性1人が死亡した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、マンスーラ村、ドゥーマー市、ムウダミーヤト・シャーム市、アルバイン市、ナシャービーヤ町、ダーライヤー市、ムライハ市、フーシュ・ファーラ村、フサイニーヤ町、ヤルダー市などでの砲撃で、子供11人を含む32人が死亡した。

一方、SANA(12月30日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市郊外などで、軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ラッカ県では、SANA(12月30日付)によると、反体制武装勢力がアブドゥッラー・サーリフ県宗教関係局長を殺害した。

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『ハヤート』(12月31日付)は、ヨルダンの対シリア国境地帯に位置するラムサー地方住民の話として、シリア軍と反体制武装勢力が激しく交戦、ヨルダン領内に銃弾や迫撃砲が着弾し、住民が一時避難したと報じた。

これに関して、SANA(12月30日付)は、ダルアー県の国境警備隊がヨルダンから潜入を試みる反体制武装勢力を撃退し、イスラエル製の武器などを押収した、と報じた。

反体制勢力の動き

アクス・サイル(12月30日付)は、自由シリア軍司令官のリヤード・アスアド大佐がアレッポ市アンサーリー地区の灰色の盾大隊の拠点に招かれ、戦闘員と食事をとったと報じ、その写真を掲載した。

'Aks al-Sayr, December 30, 2012

‘Aks al-Sayr, December 30, 2012

撮影場所がアンサーリー地区であるかどうかは確認がとれない。

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シリア革命反体制勢力国民連立は声明を出し、軍が制圧したヒムス市ダイル・バアルバ地区で29日に「新たな虐殺」が行われ、「子供を含む220人が殺害された」と発表し、国連安保理に緊急会合を開くよう呼びかけた。

しかし、シリア人権監視団は、「通信が遮断されているために犠牲者の氏名が確認できない」として、シリア革命反体制勢力国民連立の発表の事実確認がとれないと発表した。

'Aks al-Sayr, December 30, 2012

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諸外国の動き

アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表は、カイロでアラブ連盟のナビール・アラビー事務総長、ムハンマド・カーミル・アムル外務大臣と会談し、シリア、ロシア訪問の成果を報告した。

会談後の記者会見で、ブラーヒーミー共同特別代表は、「国際社会が採用し得ると確信する提案がある」としつつ、「シリア情勢は非常に悪い…。もしこうした事態がもう1年続けば、10万人のシリア人が死ぬだろう」と述べた。

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そのうえで紛争が「解決しなければ、シリアで完全の国家崩壊が起きるだろう」と警鐘を鳴らした。

またブラーヒーミー共同特別代表は、安保理常任理事国や中東地域のすべての国が、危機の平和的解決をめざす点でコンセンサスに達していると述べ、ジュネーブ合意の重要性を強調した。

一方、シリア人に関しては、シリア人自身が紛争を終わらせることができるとしたうえで、紛争終結後に「これまでと同じような大統領制を受け入れないだろう」と述べた。

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トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン首相は、ウルファ県のシリア人避難民キャンプを訪れ、アサド政権が崩壊の淵にあり、シリア危機は最終章に入ったとの見方を示した。

訪問には、シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長が同行した。

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ヨルダンのペトラ通信(12月30日付)は、ナースィル・ジャウダ外務大臣が亡命中のリヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相と会談、シリア情勢について協議した、と報じた。

AFP, December 30, 2012、Akhbār al-Sharq, December 30, 2012、‘Aks al-Sayr, December 30, 2012、al-Ḥayāt, December 31, 2012、Kull-nā Shurakā’, December 30, 2012、al-Kurdīya News, December 30, 2012、Naharnet, December 30, 2012、Reuters, December 30, 2012、SANA, December 30, 2012などをもとに作成。

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