二つの「人権団体」が発表した2015年8月の紛争による犠牲者数に大きな開き(2015年9月1日)

シリア人権監視団は、2015年8月の紛争による死者数が4,830人に達したと発表した。

このうち1,205人が民間人で、そのなかには18歳未満の子供252人、18歳以上の女性151人に加えて、「ジハード主義者を含む反体制武装集団戦闘員」も含まれている。

この「民間人」のうち674人(うち子供154人、女性87人)は、シリア軍の空爆による犠牲者だという。

またシリア軍の死者は778人、国防隊などの親政府民兵は684人、ヒズブッラー戦闘員は36人だという。

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シリア人権ネットワークも声明を出し、2015年8月の1ヶ月の間に、2,040人が主にシリア軍や親政府民兵によって殺害されたと発表した。

それによると、シリア軍、親政府民兵によって殺害された死者数は1,623人に及び、そのうち302人が子供、289人が女性、拷問による死者は77人、武装集団メンバーは410人にのぼるという。

また西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊によって殺害された民間人も14人(うち子供3人、女性3人)にのぼったという。

一方、ダーイシュ(イスラーム国)によって殺害されたのは236人で、うち119人が武装集団メンバー、117人が民間人(子供5人、女性8人を含む)で、シャームの民のヌスラ戦線によって殺害されたのは11人のみ(うち民間人6人(女性2人を含む)、武装集団メンバー5人)だったという。

またそれ以外の反体制武装集団によって殺害されたのは119人で、うち民間人は104人(子供26人、女性18人を含む)だという。

なお、シリア人権ネットワークが発表するデータは、発表する死者数のなかにシリア政府側の犠牲者をほとんど含めていないために、死者数が常にシリア人権監視団のデータの半分程度にとどまっている。

AFP, September 1, 2015、AP, September 1, 2015、ARA News, September 1, 2015、Champress, September 1, 2015、al-Hayat, September 2, 2015、Iraqi News, September 1, 2015、Kull-na Shuraka’, September 1, 2015、al-Mada Press, September 1, 2015、Naharnet, September 1, 2015、NNA, September 1, 2015、Reuters, September 1, 2015、SANA, September 1, 2015、UPI, September 1, 2015などをもとに作成。

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