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国内の動き
ワーイル・ハルキー首相は、「テロとの戦いへの決着、武装テロ集団残党の殲滅に向けて、我らが武装部隊の犠牲と戦果を通じて断固且つ積極的に対処している」と述べた。
SANA(12月16日付)が報じた。
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ファールーク・シャルア副大統領は、『アフバール』(12月16日付)のインタビューに応じ、そのなかで政権も反体制武装勢力も現下の紛争を軍事的に決着することはできないだろう、と述べた。
12月14日に行われたインタビューで、シャルア副大統領はまた「我々は個人や体制を擁護しているのではなく、シリアの存在を擁護している…。解決は地域の主要諸国と国連安保理を含んだかたちでの歴史的関係正常化を通じてなされねばならない…。関係正常化はすべての暴力の停止、挙国一致内閣の発足が保障されねばならない」と付言した。
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アレッポ県では、SANA(12月16日付)によると、アレッポ市サビール地区などで、市民数百人がシリア軍支持、武装テロ集団の退去を訴えるデモを行った。
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SANA(12月16日付)は、シリア・イラン経済通商閣僚級会合が開かれ、シリア・イラン合同銀行開設、救急車両などの医療機器・物資のシリアへの供与などを合意したと報じた。
国内の暴力
ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、ヤルムーク区のパレスチナ難民居住区に対して軍が初めて空爆を行った。
空爆は同地区内のバースィル病院周辺、ジャーウーナ地区に対して行われ、多数の死傷者が出たという。
またAFP(12月16日付)は住民の話として、アブドゥルカーディル・フサイニー・モスクが標的となり、多数が死傷したと報じた。
同モスクにはダマスカス県南部からの避難民約600人が避難していた。
またシリア人権監視団によると、ヤルムーク区、ダマスカス郊外県ハジャル・アスワド市周辺で、PFLP-GCの戦闘員とパレスチナ人を含む反体制武装勢力が、2日前から行われている、という。
『ハヤート』(12月17日付)によると、このほかハジャル・アスワド市、アサーリー地区に対しても空爆が行われた。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ダーライヤー市、ハラスター市、ズィヤービーヤ町、アルバイン市などで軍が砲撃を加えた。
一方、SANA(12月16日付)によると、ダーライヤー市、ドゥーマー市、ハラスター市郊外、バイト・サフム市、ザマルカー町などで、軍が反体制武装勢力の追撃を行い、多数の戦闘員を殺傷した。
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アレッポ県では、複数の反体制活動家によると、タウヒード旅団などがアレッポ市北部の歩兵学校の施設を制圧した、と発表した(未確認情報)。
シリア人権監視団によると、軍はアレッポ歩兵学校から完全撤退したが、周辺の検問所に部隊を展開させている、という。
また『ハヤート』(12月17日付)は、トルコの複数の高官の話として、シリア軍が国境地帯のアアザーズ市を空爆し、多数の住民がトルコ領内に避難したと報じた。
一方、SANA(12月16日付)によると、アターリブ市、アレッポ・イドリブ街道各所、フライターン市、アアザーズ市、アレッポ市アンサーリー地区、カーディー・アスカル地区、ライラムーン地区などで軍が反体制武装勢力の追撃・拠点攻撃を行い、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。
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ダイル・ザウル県では、SANA(12月16日付)によると、ダイル・ザウル市ジュバイラ地区などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。
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ハマー県では、SANA(12月16日付)によると、ハルファーヤー市で軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。
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ヒムス県では、SANA(12月16日付)によると、ヒムス市郊外の石油パイプラインを反体制武装勢力が破壊した。
一方、ラスタン市では軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷、タッルカラフ市では国境警備隊がレバノン領からの潜入を試みる反体制武装集団を撃退した。
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イドリブ県では、SANA(12月16日付)によると、ジスル・シュグール市郊外、サラーキブ市などで軍が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。
反体制勢力の動き
アクス・サイル(12月16日付)は、自由シリア軍がダイル・ザウル市の政治治安部を完全制圧した(未確認情報)と発表した、と報じた。
レバノンの動き
ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はテレビ演説を行い、そのなかで3月14日勢力に対して「一部の人物(ハリーリー前首相)がダマスカス空港を経由して帰国するのを待つべきでない…。あなたたちが間違った計算をしているという事実にあなたたちの注意を向けたい…。2ヶ月でシリア政府が崩壊すると言っているが…、何も起きないまま2年が経った」と述べた。
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ナハールネット(12月16日付)は、ヒムス県タッルカラフ市での11月30日のシリア軍によるレバノン人イスラーム主義者要撃で殺害されたレバノン人の4人の遺体が新たにシリア当局からレバノン側に変換された。
パレスチナ人の動き
マフムード・アッバースPA大統領は声明を出し、ダマスカス県ヤルムーク区に対する空爆の「即時」停止を求めた。
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ハマースのイスマーイール・ハニーヤPA内閣は声明を出し、ダマスカス県ヤルムーク区に対する空爆に関して、キャンプ住民を標的とした空爆を非難、攻撃の停止を求めた。
諸外国の動き
スペイン地政学研究所のバラー・ミハイル研究員は、アサド政権崩壊が間近だとの宣伝を強化した最近の欧米諸国の指導者やメディアの言動・報道に関して、「クーデタか軍事介入、ないしはシリアの反体制勢力への外国からの兵站支援の激増がなければ、シリアの政権は崩壊し得ない」と否定した。
AFP(12月16日付)が報じた。
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イラン外務省は声明を出し、6項目からなるシリア危機解決案を発表しだ。
同解決案の骨子は以下の通り:
1. 国連監視下でのすべての暴力、武装活動の停止。
2. シリア国民への人道支援の配給。
3. 対シリア経済制裁の解除。
4. 新議会および制憲法議会の選挙実施を目的とした暫定政府樹立のための国民対話。
5. 大統領選挙後の政府、反体制武装勢力双方による政治犯の釈放。先導報道の停止。
6. 被害状況調査委員会の設置。復興。
AFP, December 16, 2012、al-Akhbar, December 16, 2012、Akhbar al-Sharq, December 16, 2012、‘Aks al-Sayr, December
16, 2012、al-Hayat, December 17, 2012, December 18, 2012、Kull-na Shuraka’, December 16, 2012、al-Kurdiya News, December 16, 2012、Naharnet, December 16, 2012、Reuters, December 16, 2012、SANA, December 16, 2012、UPI, December 16, 2012などをもとに作成。
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