2012年11月6日のシリア情勢

国内の動き

アフバール・シャルク(11月6日付)は、シリア治安当局が、ダマスカス県マッザ区にあるハマースのハーリド・ミシュアル政治局長の事務所、ダマスカス郊外県ドゥンマル市にあるイマード・イルミー政治局員、イッザト・ラシュク政治局員の事務所を閉鎖し、立ち入りを禁止とした、と報じた。

ハマースの指導者たちの事務所は同組織がカタールに移転して以降使用されていなかった、という。

国内の暴力

イドリブ県では、シリア人権監視団は、ムハムバル村近くで反体制武装勢力が軍の車列を攻撃し、少なくとも兵士20人を殺害した、と発表した。

同監視団によると、ムハムバル村は3度にわたって空爆を受けた。

一方、SANA(11月6日付)によると、サルミーン市で、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を襲撃、戦闘員を殲滅した。

クッルナー・シュラカー(11月6日付)は、信頼できる消息筋の話として、イドリブ市の人民諸委員会が、不法入国したBBCの記者2人を身柄拘束し、政治治安局に引き渡したと報じた。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ムウダミーヤト・シャーム市で爆弾が仕掛けられた車が爆発し、複数が負傷した。

一方、SANA(11月6日付)によると、ハラスター市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス県では、AFP(11月6日付)が治安筋の話として、過去48時間に、約4,000人の反体制武装勢力の戦闘員が首都への重点的な攻撃を行ったが、軍が撃退した、と報じた。

『ワタン』(11月6日付)も、南部環状線、カフルスーサ、マイダーン・ブラーニー、ヤルムーク・キャンプ、タダームン、ジャウバルからダマスカス郊外県ハラスターに至る複数地点を経由して反体制武装勢力がダマスカス県への潜入を試みたが、軍が撃退したと報じた。

一方、SANA(11月6日付)によると、ウルード地区で爆弾が仕掛けられた車2台が爆発し、市民11人が死亡、数十人が負傷した。

またバルザ区でも、反体制武装勢力が車に仕掛けた爆弾が爆発し、運転手とその妻が負傷した。

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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市アグヤル地区、カスタル・ハラーミー地区、マイサルーン地区、スッカリー地区、アンサーリー地区、アレッポ国際空港周辺、バーブ市などで、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

一方、SANA(11月6日付)によると、カフルハムラ村・アフタリーン市間、カフルハムラ村・ライラムーン地区間の街道で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殲滅、装備を破壊した。

またカフルナーハー村、 ジュッブ・アブシャ市、ダイル・ハーフィル市、バーブ市、ウンム・アームード村、アレッポ市ライラムーン地区、カッラーサ地区、シャイフ・サイード地区、旧市街などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ハウラ地区に軍が空爆し、女性を含む7人が死亡した。

またヒムス市ダイル・バアルバ地区での戦闘で、反体制武装勢力の戦闘員1人が死亡した。

一方、SANA(11月6日付)によると、ハウラ地方、ヒムス市バーブ・フード地区、東ブワイダ村などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトを襲撃、多数の戦闘員を殺傷した。

クサイル市郊外のムバーラキーヤ地方では、反体制武装勢力どうしが盗品の分配をめぐって衝突、複数の戦闘員が負傷した。

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ダイル・ザウル県では、SANA(11月6日付)によると、ダイル・ザウル市内で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ラタキア県では、SANA(11月6日付)によると、カナスバー地方で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を殲滅した。

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ハサカ県では、SANA(11月6日付)によると、ラアス・アイン市近くで反体制武装勢力が旅客バスを襲撃し、乗客1人を殺害、多数を負傷させた。

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ラッカ県では、SANA(11月6日付)によると、反体制武装勢力がサバーフ・ハイル燃料配給所近くの石油パイプラインを爆破した。

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クッルナー・シュラカー(11月6日付)は、ジハード・ラッハーム人民議会議長の兄弟のムハンマド・ウサーマ・ラッハームが暗殺されたと報じた。

ムハンマド・ウサーマ・ラッハームはバアス党ダマスカス支部指導部メンバーを経て、総合情報部の研究局次長を務めていた。

反体制勢力の動き

シリア国民評議会のウンス・アブド事務局書記(ダマスカス宣言在外事務局長)は『ハヤート』(11月7日付)に対して、8日のドーハで予定されている反体制武装勢力の大会で、評議会が「プログラム」を提出すると述べた。

アブド書記によると、このプログラムは三つの条件を満たすものになるという。

この条件とは、①暫定政府への国際社会の承認を通じた政治的支援、②暫定政府の予算を成立させるための最低5億ドルの(国際社会からの)供与、③暫定政府の活動の場としてのシリア国内での安全地帯の設置。

そのうえで、アブド書記は、「亡命」政権を発足しても、一政治勢力に成り下がることが懸念されると述べた。

諸外国の動き

ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外務大臣は訪問先のヨルダンの首都アンマンのリヤード・ファリード・ヒジャーブ前首相と会談した。

前首相の報道官によると、会談において、ラヴロフ外務大臣は、アサド大統領の退陣を政治的プロセス開始の条件とする反体制勢力の姿勢を非難し、アサド政権との対話のテーブルに着くよう求めるとともに、前首相をモスクワに招待した。

これに対して、ヒジャーブ前首相はロシアの対シリア政策を「非道徳的」と非難し、「現体制が存続する限り解決策はない」との立場を伝え、招待を拒否した。

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ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外務大臣は、ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣と会談した。

会談後の記者会見で、ラヴロフ外務大臣は、ヒジャーブ前首相との会談に関して、停戦のための仕組みを構築することで合意したことを明らかにするとともに、これが一部の当事者の軍事力増強につながるかたちでなされてはならないと警鐘を鳴らした。

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イスラエル国防軍報道官は、ゴラン高原の占領地へのシリア領からの発砲で軍の車両が被害を受けた、と発表した。

同報道官によると、銃撃は流れ弾と見られ、イスラエル側はこの銃撃に対して、反撃しなかった、という。

地元メディアは、軍筋の話として「シリアの反体制派の誤射」としている。

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アナトリア通信(11月6日付)は、少将を含む軍の士官7人が離反し、トルコに避難した、と報じた。

AFP, November 6, 2012、Akhbār al-Sharq, November 6, 2012、al-Ḥayāt, November 7, 2012、Kull-nā Shurakā’, November 6, 2012、al-Kurdīya News, November 6, 2012、Naharnet, November 6, 2012、Reuters, November 6, 2012、SANA, November 6, 2012、al-Waṭan, November 6, 2012などをもとに作成。

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