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国内の暴力
ダマスカス郊外県では、SANA(11月21日付)などによると、ダーライヤー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力の大規模な掃討作戦を行い、数十人の「テロリスト」を殲滅した。
また反体制武装勢力が拉致していた数十家族を解放した。
『ハヤート』(11月22日付)によると、軍は戦闘機によってダーライヤー市近くの農地を爆撃、また共和国護衛隊の部隊が同市郊外を総攻撃した、という。
複数の活動家によると、この戦闘で戦闘員23人が死亡した。また別の反体制筋によると民間人7人も死亡した、という。
シリア人権監視団によると、ダーライヤー市以外でも、ハラスター市、ジスリーン町、ザバダーニー市、サイイダ・ザイナブ町が砲撃を受けた。
一方、SANA(11月21日付)によると、サイイダ・ザイナブ町近郊のフサイニーヤ町で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殲滅、装備を破壊した。
また、フジャイラ村、ズィヤービーヤ町でも交戦し、戦闘員を殺傷、アルバイン市で反体制武装勢力の「残党」の追撃を継続した。
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ダマスカス県では、各紙によると、日本大使館などが建ち並ぶ中心地アブー・ルンマーナ地区に迫撃砲が着弾し、市民1人が死亡、複数が負傷した。
シリアの治安筋によると、反体制武装勢力が迫撃砲を発射した。シリア人権監視団は実行犯が誰かには言及しなかった。
またシリア人権監視団によると、ジャウバル区で砲撃があり、ヤルムーク区では爆弾が仕掛けられた車が爆発した。
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アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市西部郊外のシャイフ・スライマーン地区の防空大隊の制圧を試みる反体制武装勢力を軍・治安部隊が撃退、制圧した。
同大隊をめぐる攻防で、反体制武装勢力の戦闘員25人が死亡した。
一方、マンビジュ市周辺を軍が空爆し、反体制武装勢力5人が死亡した。
SANA(11月21日付)によると、マンビジュ市南東のティシュリーン・ダム周辺、アブティーン村、アナダーン市、ダーラ・イッザ市、アターリブ市、バクシャーティーン市、アレッポ市シャッアール地区、ブスターン・カスル地区、アンサーリー地区、バーブ・ナイラブ地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市南部の検問所周辺で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。
またイドリブ市・マストゥーマ村を結ぶ街道で、即席爆弾が爆発し、3人が死亡した。
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ダイル・ザウル県では、SANA(11月21日付)によると、ダイル・ザウル市で、軍・治安部隊が「ジュンドゥルアズィーズ大隊」を名のる反体制武装勢力の戦闘員多数を殲滅した。
またマヤーディーン市での戦闘で、シャームの民のヌスラ戦線の戦闘員複数を殺害、装備を破壊した。
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ヒムス県では、SANA(11月21日付)によると、ハウラ地方、クサイル市郊外、ヒムス市内などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。
(在外)反体制勢力の動き
シリア国民評議会のメンバーでクルド人活動家のラディーフ・ムスタファーがパリで声明を出し、評議会の脱会を発表した。
評議会が国際社会の支援を得ることに失敗したことが脱会の理由。
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『ハヤート』(11月22日付)は、ヨルダンで逃亡生活を送る離反士官のアスアド・アワド・ズウビー准将(前シリア軍事高等アカデミー空軍学科長)が、シリア革命反体制勢力国民連立と協力を行う準備があると述べたと報じた。
ズウビー准将は「我々は、リヤード・ファリード・ヒジャーブ(前)首相…などを通じて、連立と調整を行っている」と述べた。
ズウビー准将は、2012年8月にアサド政権を離反し、ヨルダンを拠点とする離反士官および避難民の責任者を務めている、という。
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シリア国民評議会のジョルジュ・サブラー事務局長はUAEのドバイで開催されたシリアへの将来の投資・復興に関する会議に出席し、そのなかで、アサド政権打倒後のシリア経済の崩壊を回避するため、最初の6ヶ月に600億ドルの復興支援が必要だ、と述べた。
クルド民族主義勢力の動き
シリア北東部の自治を主導するクルド民族主義政党の民主統一党のサーリフ・ムスリム共同党首はロイター通信(11月21日付)に対して、シリア革命反体制勢力国民連立を拒否すると述べた。
ムスリム共同党首は、連立が結成された11月前半のドーハでの会議に招待されなかったことを明かす一方、連立が「トルコとカタールの代理…。トルコとカタールへの忠誠から反れることはない」と批判した。
また「連立は役に立たない。現在、アレッポには連立を承認しないと言っている武装集団がいる。なぜならシリア国民を代表していないからだ」と付言した。
そのうえで「問題解決は…シリアの反体制勢力が互いに座って話し合い、皆が合意するような提案に至るために事態を検討することにある。ドーハでの対話ではない。あらかじめ用意されたシナリオに沿って、彼らは合意したに過ぎない」と述べた。
一方、連立を主導するシリア・ムスリム同胞団に関して「シリア国民評議会のときと同じ過ちを犯している…。宗教関係者が(連立を)支配している」と批判した。
さらに「我々は分離主義を望まない。新たな国境を画定しようとは思わない。我々が望んでいるのは、憲法でクルド人の存在を承認し、クルド人民の民主的権利を憲法で保障することだ」と述べた。
諸外国の動き
クッルナー・シュラカー(11月21日付)は、ハサカ県ラアス・アイン市での戦闘を逃れてトルコ領内に入国した女性2人を含む3人を民主統一党のメンバーだとしてトルコ当局が拘束したと報じた。
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アナス・フォー・ラスムセンNATO事務局長は、パトリオット・ミサイル配備を要請するトルコ政府からの正式な書簡を受け取ったことを明らかにした。
事務局長の声明によると、トルコは要請において、パトリオット・ミサイル配備が「防衛目的のみ」に限られる点を強調し、同ミサイルを保有するドイツ、オランダ、米国が配備の是非を決定する、という。
AFP, November 21, 2012、Akhbar al-Sharq, November 21, 2012、al-Hayat, November 22, 2012、Kull-na Shuraka’, November 21, 2012、al-Kurdiya News,
November 21, 2012、Naharnet, November 21, 2012、Reuters, November 21, 2012、SANA,
November 21, 2012などをもとに作成。
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