民主統一党とシリア・クルド国民評議会は共同声明のなかで自由シリア軍のアイン・アラブ市進入を厳しく非難、フランスがシリア革命反体制勢力国民連立を「シリア国民の唯一の正統な代表」として承認(2012年11月13日)

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クルド民族主義勢力の動き

西クルディスタン人民議会(民主統一党)とシリア・クルド国民評議会は共同声明を出し、自由シリア軍のアイン・アラブ市進入を「政治的、軍事的に正当性がない」と厳しく非難し、撤退を要求した。

共同声明では、「シリアと世界の世論に対して、体制打倒のための革命が平和的であるべきだと強調する」と主張、自由シリア軍の進入により、「無実の市民の血が流されている」との惨状を訴えた。

そのうえで「すべての武装大隊の撤退の必要」を強調、また自由シリア軍掃討のために展開した「政府軍の即時撤退」を求めた。

国内の暴力

ラッカ県では、シリア人権監視団によると、ラッカ市で県知事の車を狙った爆弾テロが発生し、ハサン・サーリフ・ジャラーリー県知事が負傷、また女性1人と士官1人が死亡した。

このテロに関して、SANA(11月13日付)は、武装テロ集団が仕掛けた爆弾がサイイダ・ビシャーラ教会近くで爆発し、女性1人が死亡した、と報じた。県知事の負傷については報じなかった。

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アレッポ県では、SANA(11月13日付)によると、タッル・ラッハール村、ダイル・ハーフィル市、アレッポ市旧市街、ライラムーン地区などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力の拠点を攻撃し、多数の戦闘員を殺傷、装備を破壊した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ヌウマーン市が軍・治安部隊の砲撃を受けた。

一方、SANA(11月13日付)によると、ジスル・シュグール市郊外のタッル・シュグール地点の検問所で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

またマアッラト・ヌウマーン市南部および南東部の入り口で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷したほか、ムハムバル村などで反体制武装勢力の追撃が行われた。

このほかイドリブ市では、反体制武装勢力が道路公社イドリブ支部のアブドゥッラッザーク・ユースフ技師を暗殺した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハーリブー村で、軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、軍兵士7人と反体制勢力の戦闘員2人が死亡した。

一方、SANA(11月13日付)によると、ザマルカー町、スバイナ町、サイイダ・ザイナブ町、アルバイン市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、「ダマスカス解放旅団」のムハンマド・アブドゥッサラーム・イドリースを含む多数の戦闘員を殺傷した。

またアイン・フィージャ町では、反体制武装勢力が仕掛けた爆弾が爆発し、女性、子供を含む多数の市民が負傷した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、タダームン区に対して、軍・治安部隊が砲撃を加え、「同地区の制圧を試み」、戦闘員4人が死亡した。

またヤルムーク区にも迫撃砲が着弾し、アサーリー地区などに対しても砲撃が行われたという。

『ワタン』(11月14日付)によると、「早朝に重火器によって支援された軍部隊が二方向からタダームン区に突入し…、戦闘は晩まで続き、武装集団は甚大な被害を受け、撤退を余儀なくされた」という。

一方、SANA(11月13日付)によると、タダームン区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷した。

またヤルムーク区では、パレスチナ人難民からなる人民諸組織が反体制武装勢力と対峙した。

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ヒムス県では、SANA(11月13日付)によると、ヒムス市バーブ・フード地区、ラスタン市などで、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員を殲滅した。

一方、ヒムス市ワアル地区では、反体制武装勢力が仕掛けた爆弾が爆発し、子供2人が死亡、女性を含む6人が負傷した。

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ハサカ県では、シリア人権監視団によると、軍がラアス・アイン市周辺における軍備増強を開始した。

また軍がラアス・アイン市の総合情報部(反体制武装勢力が占拠)や反体制武装勢力の拠点を空爆した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、反体制武装勢力がブーカマール市の軍の拠点複数カ所を襲撃した。

反体制勢力の動き

シリア革命反体制勢力国民連立のアフマド・ムアーッズ・ハティーブ議長は、AFP(11月13日付)の電話取材に対して、「シリア人はバッシャールの戦闘機の空爆に直面している。彼らは高度な兵器が必要だ」と述べ、反体制武装勢力への武器供与の必要を強調した。

「高度な兵器」が何を意味するかは詳述しなかった。

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シリア国民評議会執行部メンバー兼シリア革命反体制勢力国民連立メンバーのアフマド・ラマダーンは『ハヤート』(11月14日付)に対して、「フォード(米大使)は、「我々は(シリア革命反体制勢力国民連立の)行動に期待する。我々は何が起きるかを見極めて、米国政府に報告し、措置を講じる」と述べた…。(シリア革命反体制勢力国民連立発足に対する米国の)歓迎は不充分だ」と述べた。

また「シリア革命反体制勢力国民連立に関するアラブ連盟の決定も不充分だ。声明は連立がシリア国民の「意思」を表現しているとしているが、シリア国民そのもの代表として承認していない点で十分でない」と批判した。

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シリア・ムスリム同胞団のアリー・サドルッディーン・バヤーヌーニー前最高監督者は『ハヤート』(11月14日付)に対して、反体制勢力のなかで影響力を強めようとしているとの一部の疑念に対して、「ヘゲモニーに関する問題は、根拠のない言いがかりだ。我々はすべての組織の一部をなし、シリア国民評議会、そしてすべての大会に貢献してきた」と否定した。

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国内で反体制活動を行う民主的諸勢力国民調整委員会は声明を出し、イランで18日に開催予定のシリア国民対話会合への招待状を受け取ったが、「ドーハ、テヘラン、イスタンブール、パリといった紛争当事国の首都で行われる調整のための…会合には参加しない」と述べ、不参加を表明した。

レバノンの動き

サウジアラビアで事実上の亡命生活を送るムスタクバル潮流のサアド・ハリーリー前首相は、声明を出し、シリア革命反体制勢力国民連立の発足を「シリア大衆の革命を続け、バッシャール・アサド大統領の体制を転覆するための正しい方向に向けたステップ」と支持を表明した。

諸外国の動き

カイロでアラブEU外相会議が開かれた。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、アラブEU外相会議出席のためにカイロを訪問し、同地で記者会見を開いた。

記者会見でファビウス外務大臣は、「我々は様々な国がシリア革命反体制勢力国民連立をシリア国民の正統な代表として承認することを希望する…。フランスの役割はこの希望を可能なものにすることだ」と述べた。

またフランス自身による承認に関しては、「幾つかの段階がある。まずシリア国民評議会の幹部、とりわけジョルジュ・サブラー事務局長がいて、次にカイロで明日のともに朝食をとる予定の新たな幹部からなるより広範な委員会(シリア革命反体制勢力国民連立)がある」と述べた。

さらに反体制勢力への武器供与に関しては、「これまでは欧州諸国の側に武器問題に関する禁止事項が合った…。(反体制勢力が)講じる措置を見て、この決定は修正されるだろう。我々はこの問題を検討するだろう」と述べた。

しかし、シリアへの軍事介入に関しては、「重要な国々」がアサド政権を支援していると述べ、リビアのケースとは「同じでない」と否定、また「こうした状況はおそらく変わるだろう。今後解決に向けて行動する」と付言した。

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英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣は、アラブEU外相会議で、シリア革命反体制勢力国民連立の結成を「きわめて重要な礎石」と歓迎しつつ、「すべての反体制勢力が参加し、シリア国内の支援を得ることを望む。そうなれば我々は、彼らをシリア国民の正統な代表として承認するだろう」と述べ、慎重な姿勢を示した。

また反体制勢力への武器供与については、EUがシリアへの武器供与を禁止しているため、武器を送る用意はない、と否定した。

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サウジアラビアのサウード・ファイサル外務大臣は、アラブEU外相会議で、シリア革命反体制勢力国民連立の結成を歓迎するとともに、「政治、安全保障、人道面でシリア国民を支えるため必要な支援を拡充すべき」と述べるとともに、シリア国民の正統な代表として承認を得るべく、国内外のすべての反体制勢力が連立のもとに結集するよう希望する、と述べた。

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『ハヤート』(11月14日付)によると、アフダル・ブラーヒーミー共同特別代表はアラブEU外相会議に「シリアにおける人道的ニーズに関する覚書」を提出した。

同覚書では、少なくとも250万人がシリア危機の被害を受け、その数は2012年末には400万人にのぼり、うち150万人が国内での避難生活を余儀なくされ、食糧・医療などの支援が火急に必要となるだろうとの試算されている。

また同覚書では、イラク、レバノン、ヨルダン、トルコ、北アフリカに避難したシリア人の数が39万5000人に達しており、2012年末までにその数は71万人に達すると試算されている。

さらにシリア国内の病院の67%が戦闘の被害を受け、29%が医療活動を行えない状態にある、と指摘、約2000の学校で避難民が避難生活を送り、2000の学校が破壊されたとの実態も明らかにしている。

また、パレスチナ難民についても、約50%が被害を受けたと指摘している。

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フランスのフランソワ・オランド大統領は、記者会見で、「私はフランスがシリア革命反体制勢力国民連立をシリア国民の唯一の正統な代表として承認すると宣言する」と述べた。

またシリアへの軍事介入の可能性に関して「安保理の決議がなされないかたちでの軍事介入はあり得ない…。ロシアの立場を踏まえると、それが提起されることはない。しかし、シリア革命反体制勢力国民連立の権威のもとに開放地区を保護するというかたちでそれに訴え得るという別の方法もある」と述べた。

さらにオランド大統領は反体制勢力への武器供与に関しては「シリアに正統な政府が成立すれば、フランスだけでなくシリア革命反体制勢力国民連立を承認するすべての国にとって再検討は不可欠になる」と述べた。

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フランスのジャン・イブ・ルドリアン国防大臣は、シリア革命反体制勢力国民連立の結成に関して「ドーハでの出来事は大きな前進だ。国際的に承認され得る暫定政府のような存在となるには未だ不十分だとしても、我々はそれが重要だと考える。しかしすべての武装集団もこれとともに統合されるべきだ」と述べた。

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米国のマーク・トナー国務省副報道官は、「我々はシリア革命反体制勢力国民連立をシリア国民の正統な代表(の一つ)で、シリア国民を反映していると考える…。我々はまた同組織がシリア国内のシリア人を代表する能力を示すことを望んでいる」と述べた。

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AFP(11月13日付)は、アムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチが、シリア革命反体制勢力国民連立の発足を受け、同組織に対して、反体制武装勢力に対して戦時国際法を遵守するよう明確なメッセージを発すとともに、違反者を処罰するよう要求した、と報じた。

AFP, November 13, 2012、Akhbar al-Sharq, November 13, 2012, November 14, 2012、al-Hayat, November 14, 2012、Kull-na Shuraka’, November 13, 2012, November 15, 2012、al-Kurdiya
News, November 13, 2012、Naharnet, November 13, 2012、Reuters, November 13,
2012、SANA, November 13, 2012、al-Watan, November 14, 2012などをもとに作成。

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