ウィーン3会議に先立つ準備会合をロシアが欠席、イランが途中退席:反体制派の統一代表の人選、合法的反体制派とテロ組織の峻別をめぐって各国が対立(2015年11月12日)

『ハヤート』(11月14日付)は、14日に再開予定のウィーン3会議に先立って12日に開催された作業部会をロシアが欠席、またイランが途中退席し、参加各国の意見の相違が改めて浮き彫りになったと伝えた。

イブラーヒーム・ハミーディー記者によると、ウィーンでは12日に、シリア政府との交渉にあたる反体制派の統一代表の人選、テロ組織と合法的は反体制派の峻別、そしてシリア国内での人道支援を目的とした人道回廊の設置について協議するための三つの作業部会が開催された。

この部会に出席するため、ロシアの代表団が12日早朝にウィーンに到着する予定だったが、ロシア政府は直前になって代表団の派遣を中止した。

また三つの部会に参加していたイランは、一部の参加国が、「イラン寄りのシーア派武装組織を含むすべての外国人武装集団のシリアからの退去」を求めたことに抗議し、途中退席した。

このほか、米国の代表団が、自らの姿勢に近い複数の国を晩餐に招待し、ロシア代表団など多くの国を排除しようとしたことで、対立はさらに深まったという。

シリア政府との交渉にあたる反体制派の統一代表の人選にかかる作業部会では、フランスとトルコの代表が、シリア革命反体制勢力国民連立に「指導的・中軸的役割」を与えるよう主張したが、エジプトとはじめとするそれ以外の国は、「カイロ大会」(2015年6月、http://syriaarabspring.info/?p=20120)に参加した諸組織(民主的変革諸勢力国民調整委員会、カムフなど)により大きな役割を与えるよう主張したという。

テロ組織と合法的は反体制派の峻別にかかる作業部会では、国連安保理において国際テロ組織に認定されているアル=カーイダ系組織のシャームの民のヌスラ戦線や、アル=カーイダのメンバーなどによって結成されたシャーム自由人イスラーム運動を「テロ組織のリスト」に加えるかどうかで意見が割れた。

複数の参加国は、国連安保理の決定に従い、ヌスラ戦線を「テロ組織のリスト」に加えるべきだと主張したのに対して、「一部の中東諸国」が「組織と個人を区別すべき」と反論し、これに難色を示したという。

またシャーム自由人イスラーム運動については、同じく「一部の中東諸国」が「シャーム自由人はその方法、政治的言説を変化させた…。政治的解決に正当性を与えるためにイスラーム主義諸派に対処すべき」と主張し、「テロ組織」とみなすことに反対した。

しかし、それ以外の国々は「シャーム自由人は過激派のるつぼ」だと断じ、すべてのイスラーム主義組織をテロ組織とみなすべきだと主張したという。

これに対して、欧米諸国は、テロ組織にかかる各国の法律と整合するかたちでの「テロ組織のリスト」作りをめざそうとしつつも、「穏健な反体制派」を含むすべての武装組織を「テロ組織」に認定しようとするロシアの動きを非難したという。

一方、作業部会参加者によると、ロシアは、ヨルダンの仲介のもと、ダルアー県で活動しているイスラーム過激派と「穏健な反体制派」の連合組織「南部戦線」(自由シリア軍)の戦闘停止で「相互理解」を交わし、これを受け、「死の三角地帯」と称されるダマスカス郊外県・ダルアー県・クナイトラ県境の地域にシリア軍が増強されたという。

シリア国内での人道支援を目的とした人道回廊の設置にかかる作業部会では、ダマスカス号外県東グータ地方、アレッポ市郊外一帯、イドリブ市郊外一帯などへの国連による人道支援について協議したという。

AFP, November 13, 2015、AP, November 13, 2015、ARA News, November 13, 2015、Champress, November 13, 2015、al-Hayat, November 14, 2015、Iraqi News, November 13, 2015、Kull-na Shuraka’, November 13, 2015、al-Mada Press, November 13, 2015、Naharnet, November 13, 2015、NNA, November 13, 2015、Reuters, November 13, 2015、SANA, November 13, 2015、UPI, November 13, 2015などをもとに作成。

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