ケリー米国務長官がロシアでプーチン大統領、ラヴロフ外務大臣と会談し、シリア情勢への対応について協議(2015年12月15日)

ジョン・ケリー米国務長官がロシアの首都モスクワでセルゲイ・ラブロフ外務大臣と会談し、シリア情勢、ウクライナ情勢への対応などについて協議した。

『ハヤート』(12月16日付)によると、会合では、ウィーンでの合意の具体的内容、とりわけ「テロ組織」のリスト作成、「テロ組織」と「合法的な反体制派」の峻別などについて意見が交わされたという。

会談では、ラブロフ外務大臣が冒頭、「テロとの戦いはシリア危機よりも広い任務を伴う」としたうえで、ダーイシュ(イスラーム国)がシリアだけでなく、イラク、イエメン、アフガニスタンでも活性化していることを指摘、「シリアにおける事態の正常化は地域全体の状況の再構築に向けたより広範な努力を必要とするようになっている」と述べた。

ラブロフ外務大臣はまた、国際シリア支援グループ(ISSG)によるテロとの戦いの「障害」について言及、ウィーン会議でのISSGの合意の枠組みを常に念頭を置く必要があると述べることで、ウィーン会議での合意、とりわけ反体制派の「テロ組織」と「合法的な反体制派」への峻別がなされる前に、新たな国際会議を開催する必要はないとの意思を示した。

これに対して、ケリー国務長官は、ダーイシュを世界共通の脅威とみなし、交渉の余地はないとする点でラブロフ外務大臣と合意していると述べるとともに、ラブロフ外務大臣にウィーン会議での取り組みに謝意を示し、18日にニューヨークで予定されている関係国外相級会合で、この取り組みを継続したいと述べた。

3時間におよぶ外相会談のち、ケリー国務長官はラブロフ外務大臣とともにクレムリンに移動、ヴラジミール・プーチン大統領と会談した。

『ハヤート』(12月16日付)によると、ケリー国務長官は、プーチン大統領およびラブロフ外務大臣との会談で、シリア情勢などをめぐる「新たな提案」を示したという。

この「新たな提案」の詳細は不明だが、プーチン大統領は「シリア危機など多くの問題の解決に向けたヴィジョンを米国側が用意するようになっている」と高く評価した。

これに対して、ケリー国務長官も、「ロシアと米国がシリアの問題解決に向けて共に多くのことができる」との期待を表明した。


AFP, December 15, 2015、AP, December 15, 2015、ARA News, December 15, 2015、Champress, December 15, 2015、al-Hayat, December 16, 2015、Iraqi News, December 15, 2015、Kull-na Shuraka’, December 15, 2015、al-Mada Press, December 15, 2015、Naharnet, December 15, 2015、NNA, December 15, 2015、Reuters, December 15, 2015、SANA, December 15, 2015、UPI, December 15, 2015などをもとに作成。

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