アル=カーイダ系組織シャームの民のヌスラ戦線の最高指導者アブー・ムハンマド・ジャウラーニー氏は、反体制メディアのオリエント・ニュース(2月26日付)に音声声明(https://youtu.be/4VVvXsiPeDM)を送り、そのなかで米・ロシアによる敵対行為停止合意に応じることが「革命を終わらせ、アサドの軍事治安組織を維持」につながると非難、シリア国民に対して「政権の腕のなか」に戻らせようとする欧米諸国の「策略」に騙されないよう警鐘を鳴らした。
ジャウラーニー氏は声明のなかで、敵対行為停止合意を「策略」「いかさま」と評し、以下のように警鐘を鳴らした。
「シャームの民よ、西欧と米国の策略に警戒せよ。ラーフィド派(シーア派)とヌサイリー派(アラウィー派)のいかさまに警戒せよ。みながあなたたちを不正なる背教者アサド政権の専制の時代に戻そうとしている。あなたたちがその支配から解放されることを彼らは喜ばない。東側陣営も西側陣営もあなたたちの運動がほかの国に波及することを恐れている。専制からの脱却を結審した最初の日に、あなたたちは「屈辱ではなく死を」と宣言した。あなたたちはこの言葉に誠実な者たちだ」。
またロシア軍の空爆実施以降の情勢については、「ファトフ軍は彼ら(国際社会)に猶予を与えることなく、猛進を始め、イドリブからガーブ平原にいたる地域から…ヌサイリー派体制根絶した。体制側は、ラーフィド派のイランからあらゆる支援を受けていたがほどなく衰退し、その後ロシアが彼らの失敗を宣言するかのように介入し、(スタファン・)デミストゥラ(シリア問題担当国連特別代表)の計画へといたる部分的な進展をもたらした…。デミストゥラの計画は、シリア国内で絶たれた数千人の命を無に帰すことになる」と主張した。
「(2015年12月の)リヤードでの(主要な反体制派による)会合、そしてそれに続くジュネーブ3会議は、事態をアサド退陣から屈辱的な停戦へと導くものだった。国境線を再び引き直すこの停戦により、シャームにおけるスンナの民は、数百万人が難民として逃れ、数十万人が死亡し、同地における少数派になってしまった。革命を生き埋めにする停戦…。犯罪と殺戮を行う軍および治安体制を維持させるような政治的解決をもたらす停戦…」と述べ、「革命は、体制、その制度を根こそぎ破壊することで成功する…。尊厳のための革命は続いている…真の交渉とは戦場においてなされるものだ」と主張し、戦闘を継続するよう呼びかけた。
AFP, February 26, 2016、AP, February 26, 2016、ARA News, February 26, 2016、Champress, February 26, 2016、al-Hayat, February 27, 2016、Iraqi News, February 26, 2016、Kull-na Shuraka’, February 26, 2016、al-Mada Press, February 26, 2016、Naharnet, February 26, 2016、NNA, February 26, 2016、Orient News, February 26, 2016、Reuters, February 26, 2016、SANA, February 26, 2016、UPI, February 26, 2016などをもとに作成。
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