シリア駐留ロシア空軍の第一陣がロシアに向けて出発、クレムリンは撤退がアサド政権への圧力を意図したものでないと強調(2016年3月15日)

ロシア国防省は、ヴラジミール・プーチン大統領に命令を受け、セルゲイ・ショイグ国防大臣はシリア駐留ロシア空軍の主要部隊の撤退を命令したと発表した。

これを受け、フマイミーム航空基地の技術要員が同地に配備されている航空機のロシア領内への帰還に向けた準備を開始し、Tu-154とSu-34複数機からなる第一陣が同飛行場を離陸した。

mil.ru, March 15, 2016

mil.ru, March 15, 2016

mil.ru, March 15, 2016

mil.ru, March 15, 2016

 

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ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官は、シリア駐留ロシア空軍の主要部隊の撤退宣言が、ジュネーブ3会議への対応をめぐるシリア政府とロシア政府の対立を反映したものだとの一部の見方に反論し、撤退がアサド政権に圧力をかけることを狙ったものでは決してなく、また撤退に先立って関係当事国との協議は一切行わなかったと述べた。

ペスコフ報道官は、国連安保理決議第2254号で定められた移行プロセスに対するアサド大統領の消極的な姿勢へのヴラジミール・プーチン大統領の不快感が撤退の背景にあるのではとの問いに対して「そんなことはない」と否定、「大統領は、ロシア連邦武装部隊最高司令官として、シリアでのロシア軍の成果を踏まえて決定を下した。基本的な任務が遂行されたとの結論に達したうえでの決定だ」と述べた。

また「外国首脳との会談では議論されず、大統領自身が決定した」と強調した。

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アレクサンドル・ボルトニコフ連邦保安庁長官は、シリア駐留ロシア空軍の主要部隊撤退に関して「テロとの戦いを弱めることを意味せず…テロとの戦いそのものは継続し、同時に友好国との協力のもとこの戦いを強めていく」と述べた。

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一方、セルゲイ・イワノフ大統領府長官はシリア駐留ロシア空軍の主要部隊撤退に合わせて、S-400システムも撤収するかとの質問に対して、残留するロシア軍の「安全を保障するため、我々には最新鋭の防空手段が必要だ」と述べた。

AFP, March 15, 2016、AP, March 15, 2016、ARA News, March 15, 2016、Champress, March 15, 2016、al-Hayat, March 16, 2016、Iraqi News, March 15, 2016、Kull-na Shuraka’, March 15, 2016、al-Mada Press, March 15, 2016、Naharnet, March 15, 2016、NNA, March 15, 2016、Reuters, March 15, 2016、SANA, March 15, 2016、UPI, March 15, 2016などをもとに作成。

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