2012年9月11日のシリア情勢

国内の暴力

アレッポ県では、シリア人権監視団によると、アレッポ市のシャッアール地区、ハナーヌー地区、マイサル地区、サーフール地区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

またバーブ市、ダーラ・イッザ市、カフルハムラ村、ハフサ町、カフル・ハラブ村が砲撃に曝された。

一方、SANA(9月11日付)によると、アレッポ市のブスターン・バーシャー地区、ブスターン・カスル地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力掃討のための特殊作戦を行い、多数の戦闘員を殺傷した。

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、アルトゥーズ市で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

またヒジャーリーヤ市とドゥーマー市での砲撃により2人が死亡した。

一方、SANA(9月11日付)によると、ヤルダー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力を追撃し、多数の戦闘員を殺傷し、甚大な損害を与えた。

またジャルマーナー市では、反体制武装勢力のアジトに突入し、複数の戦闘員を逮捕した。

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ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、バルザ区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

また『クッルナー・シュラカー』(9月11日付)によると、アリー・ムハンマド・アッブード医療センター所長がバルザ区で武装した2人組に撃たれ、死亡した。

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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、スィンジャール町に対する軍の空爆で1人が死亡した。

またザーウィヤ山、サルジャ市などが砲撃に曝された。

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ヒムス県では、SANA(9月11日付)によると、軍・治安部隊がカルアト・ヒスン市で反体制武装勢力を攻撃し、外国人戦闘員を含む多数の戦闘員を殺傷した。

またダール・カビーラ村、ヒムス市バーブ・フード地区、トゥルクマーン地区などで反体制武装勢力の武器弾薬が押収された。

さらにタッルカラフ地方では、レバノン領からの潜入を試みた戦闘員を国境警備隊が撃退した。

一方、DamasPost(9月11日付)によると、ヒムス市でアサド政権が主導する国民和解委員会のサーリフ・ヌアイミー委員長が、ズー・ヌーライン大隊を名のる反体制武装集団に拉致された。

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ラッカ県では、SANA(9月11日付)によると、対トルコ国境のタッル・アブヤドで反体制武装勢力戦闘員2人が逮捕された。

シリア政府の動き

ワーイル・ナーディル・ハルキー内閣が閣議を開き、10日のアレッポ市マルアブ・バラディー地区での爆破テロを強く非難した。

SANA(9月11日付)が報じた。

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SANA(9月11日付)は、イドリブ県とヒムス県での「最近の事件」に関連して逮捕された逮捕者のうち、殺人を犯していない44人を釈放したと報じた。

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アサド大統領が47歳の誕生日(1965年9月11日生まれ)を迎えた。

反体制勢力の動き

アレッポ県で反体制武装闘争を行っている戦闘員がユーチューブ(9月11日付)で声明を出し、「アレッポ県革命軍事評議会」を結成し、同県の反体制武装組織を統合したと宣言した。

Youtube, September 11, 2012

Youtube, September 11, 2012

声明はアブドゥルジャッバール・アカイディー大佐(自由シリア軍アレッポ軍事評議会)が読み上げた。

参加組織は、タウヒード、ファトフ、シャフバーの鷹、ムウタスィム・ビッラー、シリア自由人、征服者ムハンマド、シャームの鷹、アレッポ・シャフバー、アレッポ革命、使徒末裔諸大隊連合、ウンマの甲冑、ハックを名のる武装集団(のみ)。

声明によると、評議会はアカイディー大佐と、2人の民間人出身の戦闘員アブドゥルカーディル・サーリフ、ラドワーン・カルナディルが議長を務める。

https://www.youtube.com/watch?v=Czf08R12Ye0&feature=player_embedded

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反体制勢力の糾合に事実上失敗したシリア国民評議会は、アレッポ県革命軍事評議会の発足に関して「大いなる安堵」の意を表明した。

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シリア社会主義者運動アブドゥルガニー・アイヤーシュ派は、民主的変革諸勢力国民調整委員会からの脱会を発表し、反体制組織・活動家に対して統一的・国民的な評議会への参加を呼びかけた。

声明の日付は2012年8月1日となっている。

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シリア民間行政諸委員会は、反体制武装勢力が解放した都市・農村において自治を進めると発表した。

http://www.cac-sy.com/

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シリア国民評議会は声明を出し、アレッポ市での「革命勢力」による軍兵士の処刑を「正当化できない犯罪」と非難した。

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『クッルナー・シュラカー』(9月11日付)はピエール・ムルジャーナ人民議会議員夫妻がフランスに逃亡した、と報じた。

しかしピエール・ムルジャーナという人民議会議員はいない(ブトルス・ユースフ・ムルジャーナという名の議員はいる)。

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『ハヤート』(9月15日付)はシリア国民評議会のジョルジュ・サブラー報道官が、フェイスブックでキリスト教徒に離反を呼びかけたと報じた。

シリア民主人民党の重鎮でマルクス主義者のサブラー報道官がキリスト教徒だけに対して政治的なメッセージを発信するのは異例。

レバノンの動き

LBCI(9月11日付)は、ベイルート南部郊外サッルーム地区でミクダード家連盟が拉致していたシリア人4人とトルコ人1人をレバノン国軍が解放した、と報じた。

また解放作成の際、トルコ人が負傷したと報じたが、トルコ大使館はこれを否定した。

同報道によると、解放作戦はハーラト・フライク地区でも行われ、またマーヒル・ミクダード代表によると、グバイリー地区、ルワイス地区でも軍による突入があった、という。

諸外国の動き

ロイター(9月11日付)は、ロシアのミハエル・ボグダノフ外務副大臣が声明で、「アサド大統領はシリア国民が選挙で他の指導者を選べば退任する用意があると約束した」と述べたと報じた。

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ロシアのミハエル・ボグダノフ外務副大臣は『ル・フィガロ』(9月11日付)に対して、ロシアが西側諸国に対して、シリアの「ソマリア化」を回避するため、レバノン内戦終結をもたらしたサウジアラビアのターイフでの会議のように、すべての紛争当事者を一堂に会した国民和解会議を開催することを提案したことを明らかにした。

またボグダノフ外務副大臣は、シリア政府が依然として強固で多数の国民の支持を得ているとの見方を示した。

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ヨルダンのアブドゥッラー国王はウィリアム・バーンズ米国務副長官と会談し、シリア情勢について協議した。

アブドゥッラー国王は会談で、「平和的解決策案出への支持」を改めて表明した。

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トルコの首相顧問イブラヒム・カリン氏は、ロイター(9月11日付)に対して、アサド大統領が支配を失いつつあるなかで、国内の紛争をスンナ派とシーア派の闘争だと考えるようになっているとの暴論を展開、宗派主義的感情を煽った。

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エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領、ムハンマド・アムル外務大臣は英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣とカイロで会談した。

会談後の記者会見で、エジプト・英国がシリアの反体制勢力を支援することで合意したと発表した。

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カタールにあるアラブ政治研究調査センターはパレスチナとレバノンでシリア情勢などに関する世論調査を実施し、その結果を発表した。

それによると、パレスチナ人のうちアサド大統領の退任を支持するのは81%、体制転換による問題解決を理想的とするのが75%に及んだ。「革命」に反対したのは1.1%だけだった。

一方、レバノンでは、キリスト教徒の44%がアサド大統領の退任を支持、46%が反対した。またレバノン人全体の40%しかシリアの体制転換を支持しない一方、「革命」の根絶を望むのも24%しかいなかった。

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UNHCRは周辺諸国に避難したシリア人避難民の数が25万人以上に達していると発表した。

UNHCR報道官によると避難民の数は25万3106人で、うち8万5197人がヨルダンに避難している、という。

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WHO使節団がヒムス市を訪問、視察した。

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ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーUNICEF親善大使がヨルダンにあるシリア人避難民キャンプを慰問した。

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フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、シリアの反体制勢力への支援に関して、「武器供与に関して、我々は明確にこう述べねばならない。(反体制勢力は)対空兵器の供与を求めたが、我々は、武器に関する(欧州)禁輸策を尊重すると言った、と」と述べた。

また離反兵脱出の支援に関しては、「詳細については言えないが…多くの離反兵を…支援した」と答えた。

AFP, September 11, 2012、Akhbār al-Sharq, September 11, 2012, September 12, 2012、DamasPost, September 11, 2012、al-Ḥayāt, September 12, 2012, September 15, 2012、Kull-nā Shurakāʼ, September 11,
2012、al-Kurdīya News, September 11, 2012、LBCI, September 11, 2012、Naharnet.com,
September 11, 2012、Reuters, September 11, 2012、SANA, September 11, 2012、Youtube,
September 11, 2012などをもとに作成。

写真はYoutube, September 11, 2012。

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