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ヒジャーブ首相離反、逃走
ムハンマド・アトリー首相付報道官はジャズィーラ(8月6日付)に対して、リヤード・ファリード・ヒジャーブ首相が首相職を辞して離反し、親戚・家族ととも逃走したと発表した。
同報道官によると、ヒジャーブ前首相とその親戚・家族10世帯は「安全な場所」にかくまわれており、各紙によるとヨルダンに避難した、という。
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同報道官が読み上げた声明によると、ヒジャーブ前首相は「今日、殺人テロ体制と革命への参加を宣言する…。この祝福された革命の一兵卒となる」ことを表明した。
また「多くの高官が体制から離反したいと考えている」と言う。
アトリー報道官によると、ヒジャーブ前首相の離反は、自由シリア軍と「数ヶ月」にわたって調整のうえ行われ、「国内の革命家たちが彼にこの脱出を保証した」という。
またヒジャーブ前首相とともに脱出した親戚・家族世帯のうち、8世帯が前首相の兄弟の家族でいずれも国家の要職についていた、という。
さらにアトリー報道官は、ヒジャーブ前首相が(シリア政府が主張するように)解任されたのではなく、「彼の解任は、彼が姿を消してから1日半後、政府が彼を逮捕・殺害の希望を失った後に発表された」と強調した。
そのうえで「ヒジャーブ氏から得た情報として確かなのは、シリアの体制が腐敗し、崩壊しつつあるにも関わらず、殺戮を続けていることだ…。ヒジャーブ氏は近く貴方たちの前に姿を現し、国民への想いを述べるだろう」と付言した。
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アトリー報道官は『ハヤート』(8月7日付)に対して、「ヨルダン・トルコ国境を越えて6日早朝にヨルダンに入った」と述べた。
また「数日中、数時間中にカタールの首都ドーハに向かうだろう」と述べた。
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ダルアー市の自由シリア軍メンバーのアリー・リファーイーなる活動家は『ハヤート』(8月7日付)に対して、「アサド政権の軍は昨日(5日夜)、ヒジャーブ首相がヨルダンに入るためにダルアーに入ったことを知り、ダルアーの村々の捜索を行った…。第7師団と第8師団がヒジャーブ首相が潜伏していたダルアー県西部を包囲し、迫撃砲や重火器で攻撃した。しかし自由シリア軍の部隊は攻撃に抵抗し、ヒジャーブ首相らの脱出を成功させた」と述べた。
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シリア国民評議会のハーリド・ザインアービディーンは、AFP(8月6日付)に「ヒジャーブ首相と家族のほかに、閣僚2人、軍の士官3人が、自由シリア軍の調整のもと、国境を越えて日曜日(5日)に入った」と嘘の情報を流した。
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シリアの匿名反体制活動家はAFP(8月6日付)に対して、ヒジャーブ前首相とその家族がヨルダンに脱走したことを認めた。
この活動家によると、自由シリア軍と反体制勢力の調整のもと、近く軍士官や高官が大量に離反し、ヨルダンに脱出する、という。
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ヨルダン国内でシリア人の避難民支援活動を行う聖典スンナ協会のザーイド・ハマード代表は、「ヒジャーブ前首相が目撃され、彼の家族らが昨晩国境を越えたことを確認した」と述べた。
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『ハヤート』(8月7日付)は、複数の活動家の話として、ダイル・ザウル市に対する軍・治安部隊の反体制武装勢力掃討作戦がヒジャーブ首相(ダイル・ザウル県出身)に離反を促した、と報じた。
また6月23日に離反したナウワーフ・ファーリス駐イラク・シリア大使とも関係が強いという。
シリア政府の動き
アサド大統領は政令第294号を発し、リヤード・ファリード・ヒジャーブ首相を解任した。
また政令第295号を発し、ウマル・イブラーヒーム・ガラーワンジー福祉問題担当副首相兼地方自治大臣を暫定首相兼務とした。
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SANA(8月6日付)は、ウマル・イブラーヒーム・ガラーワンジー新暫定首相のもと、「全員出席のもと」特別閣議が開催された、と報じた。
同通信社によると、ガラーワンジー暫定首相は閣議で「祖国の指導者」アサド大統領に対して、国民の福祉向上や現下の危機克服のためあらゆる努力を行うと宣誓した、という。
なおSANAが配信した閣議の写真は、議長席に誰が座っているのか判然としない。
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ヒジャーブ首相とともに離反、脱走したとジャズィーラなどが伝えた2人の閣僚、ムハンマド・ジュライラーティー財務大臣とムハンマド・ムハンマド・アブドゥッサッタール・サイイド宗教関係大臣は報道内容を否定した、とSANA(8月6日付)が伝えた。
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ウムラーン・ズウビー情報大臣は、ダマスカスのラジオ・テレビ機構に対する爆弾テロに関して、シリア・アラブ・テレビ(8月6日付)に、「同公社の信憑性と透明性」が標的となった理由だと指摘したうえで、「我々はこのようなテロ犯罪の背後に誰がいるか、誰が資金援助をしているのか…、誰が真実が明らかになることを妨害しているのか…を知っている」と述べた。
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『クッルナー・シュラカー』(8月6日付)は7月18日に暗殺されたダーウド・ラージハ国防大臣の妻サミーラ・バルキール氏がヒジャーブ首相の離反に関して「(離反声明を読み上げた)アトリー氏は埋葬された(ラージハ)一等中将を体制に従属している犯罪者の一人のように描いているが、それは誤りです。一方で、アトリー氏はほとんどの閣僚が離反を望んでいるが、殺されると脅迫され、監視されていると言っています…。これこそが暗殺されるまでの約1年間、家にもほとんど帰らず姿を消し、家族にもほとんど連絡をとらなかった夫であるラージハ大臣の実態です。あたかも行動を制限され、拉致されているようでした」と述べた。
国内の暴力
ダマスカス県では、市内中心に位置するラジオ・テレビ機構ビルに仕掛けられた爆弾が爆発し、若干名が軽傷を負い、施設が破損した。
SANA(8月6日付)によると、爆弾は4階(アラビア語では3階)のコントロール室脇の廊下に仕掛けられ、各部屋には、イフバーリーヤやヌール・シャームといったテレビ局の設備が置かれていた、という。
またマッザ区旧市街で治安部隊が大規模な逮捕・摘発を行った、と報じた。
一方、SANA(8月6日付)によると、ルクンッディーン区で軍・治安部隊が反体制武装勢力のアジトに踏み込み、多数の戦闘員を殺害、逮捕した。
これに対して、『クッルナー・シュラカー』(8月6日付)は、ルクンッディーン区で激しい銃撃戦が発生し、少なくとも9人が死亡した、と報じた。
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アレッポ県では、SANA(8月6日付)によると、アレッポ市のマールティーニー地区、理学部地区近郊、バーブ・ハディード地区、マサーキン・ハナーヌー地区、ダウワール・アグユール地区で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷した。
またアレッポ市郊外のカブターン・ジャバル地方でも、軍・治安部隊は反体制武装勢力と交戦した。
『ハヤート』(8月7日付)によると、アレッポ市は、反体制武装勢力が占拠する地域への軍・治安部隊の砲撃継続により、反体制勢力の装備などの備蓄状況が悪化している、と報じた。
ロイター通信(8月6日付)によると、アレッポ市サラーフッディーン地区で軍・治安部隊による激しい砲撃が続いた。
また、ある戦闘員によると、軍・治安部隊の狙撃兵の進入により、一部の街区などからの撤退を余儀なくされている、という。
ムハンマド・サーリフィーを名のる元公務員によると、「軍は我々の前線を突破した…。それゆえ我々は(アレッポ市内の一部の街区からの)戦略的撤退を余儀なくされた」。
シリア人権監視団によると、アレッポ市サラーフッディーン地区への軍・治安部隊の砲撃で、反体制武装勢力の司令官を含む9人が死亡した。
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ダマスカス郊外県では、『クッルナー・シュラカー』(8月6日付)によると、ジュダイダト・アルトゥーズ町で70回以上も爆発音が聞こえた。
同報道によると、爆発音が聞こえた一体には武器庫が多くある、という。
一方、シリア人権監視団によると、ヒッラーン・アワーミード村での軍・治安部隊の砲撃で反体制活動家3人が死亡した。
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ダルアー県では、SANA(8月6日付)によると、ブスラー・シャーム市、ブスル・ハリール市、スマード村で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。
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ヒムス市では、SANA(8月6日付)によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区から逃走を試みた反体制武装勢力と軍・治安部隊が交戦し、戦闘員7人が死亡した。
またタッルカラフ市、クサイル市でも軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦した。
一方、シリア人権監視団によると、ヒルブナフサ村で11人が殺害された。
またハマー市のサーブ-ニーヤ地区で1人が射殺された、という。
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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、ダイル・ザウル市での砲撃で3人が、また軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘で離反した大尉が死亡した。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、マアッラト・ニウマーン市での砲撃で1人が死亡した。
反体制勢力の動き
シリア国民評議会のアブドゥルバースィト・スィーダー事務局長はAFP(8月6日付)に対して、「我々は(ヒジャーブ)首相の離反を歓迎する。また軍人であれ民間人であれすべての離反を歓迎する…。離反は体制が内部から浸食されていることを示すものだ」と述べた。
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シリア国民評議会の執行委員会は声明を出し、ヒジャーブ首相の離反を「犯罪者体制があらゆる限度を越えて行ったことに…いかなるシリア人も沈黙できないことを示している」と評した。
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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、ヒジャーブ首相の離反を歓迎し、「崇高な愛国心を表明した勇敢な姿勢」と称賛した。
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シリア・ムスリム同胞団は声明を出し、同胞団が武装部隊を結成したとの『テレグラフ』(8月4日付)の報道を事実無根だと否定した。
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シリア国民評議会は声明を出し、ハマー県ヒルブナフサ村で「宗派主義的(強制)移住政策」の一環として「虐殺」が行われ、約40人が殺害されたと発表した。
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シリア国民評議会のバスマ・カドマーニー報道官はEuro 1(8月6日付)に対して、反体制武装勢力がカタール、サウジ、リビアから「伝統的軽火器」を入手していることを認めた。
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自由シリア軍のタウヒード旅団アムル・ブン・アース大隊は、アレッポ市ザバディーヤ地区にある「ファウワーズ・ダッフー人民議会議員」の自宅で大量の麻薬を発見したとする映像をフェイスブック(8月6日付)を通じて配信した。
ダッフー氏は「シャッビーハのボスの一人」だというが、現人民議会にはファウワーズ・ダッフーなる議員はいない。
https://www.youtube.com/watch?v=i3NpjJqPz9U
イラン人巡礼者拉致事件をめぐる動き
バッラー大隊は、フェイスブックでイラン人巡礼者48人を拉致したと発表、またこのうち3人が軍・治安部隊の砲撃で死亡したことを明らかにした。
また同大隊は、拉致したイラン人が巡礼者ではなく、イラン・イスラーム革命防衛隊のメンバーだと主張した。
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イランのホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣は、アーラム・チャンネル(8月6日付)に対して、ダマスカス郊外県で誘拐されたイラン人48人が軍人ではなく一般の巡礼者だと述べた。
レバノンの動き
アレッポ県で拉致されたレバノン人巡礼者(シーア派)11人の家族が、ベイルート国際空港への街道を封鎖し、当局による人質解放への対応に抗議した。
NNA(8月6日付)のよると、抗議の座り込みは当局高官が何らかの対応をするまで続けられる、という。
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ヒズブッラーのハサン・ナスルッラー書記長はテレビ演説を行い、シリア情勢に関して、「米国、西欧、イスラエルがシリアの反体制勢力が(アサド政権との)対話を許さない」と非難したうえで、「シリアにおける問題解決は戦闘を終わらせ、前提条件なしの対話に訴えることだ」と述べた。
諸外国の動き
ヒジャーブ首相の離反に関して、ジェイ・カーニー米ホワイト・ハウス報道官は「アサドの権力掌握が緩んでいることを示している」と述べた。
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ヒジャーブ首相の離反に関して、フランスのローラン・ファビウス外務大臣は、「ほとんどの支持者を失うほどまでに、武力弾圧を選択した体制が弱体化している」と評価した。
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ヨルダンのナースィル・ジャウダ外務大臣は、対シリア国境に位置する国営のザアタリー・シリア避難民キャンプを視察した。
視察には、米国、英国、フランスなど10カ国の大使が同行した。
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イランのホセイン・エミール・アブドゥッラフヤーン外務副大臣は、イラン国営通信(8月7日付に対して、シリアでの紛争に対して「現実的な姿勢」をとる国々のみを一同に介した国際会議を開き、「現下の危機を脱却し、安定を回復する方法」を案出すると述べた。
AFP, August 6, 2012、Akhbar al-Sharq, August 6, 2012、Facebook, August 6, 2012、al-Hayat, August 7, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 6, 2012、Naharnet.com, August 6, 2012、NNA, August 6, 2012、Reuters, August 6, 2012、SANA, August 6, 2012、Youtube, August 6, 2012などをもとに作成。
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