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国内の暴力(アレッポ県)
AFP(8月5日付)は、ムハンマド・ハサンなる活動家の話として、アレッポ市サラーフッディーン地区が早朝、戦闘機やヘリコプターの砲撃を受けた、と報じた。
同活動家によると、「同地区には住民はほとんどいない」が、建物が破壊され「アレッポ版バーバー・アムルー」にといった様相だという。
またこのほか、裁判所地区も軍・治安部隊の激しい砲撃を受けたという。
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シリア人権監視団によると、アレッポ市サイイド・アリー地区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦した。
また空軍情報部の施設があるジャムイーヤ・ザフラー地区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が激しく交戦し、戦闘員2人が死亡したという。
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一方、SANA(8月5日付)によると、アレッポ市のバーブ・ハディード地区、サイフ・ダウラ地区、サラーフッディーン地区、ハミーディーヤ地区などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺害した。
また軍・治安部隊はアレッポ大学理学部地区に集結していた反体制武装勢力と交戦し、アフガニスタン人を含む戦闘員複数を殺害した。
またカワーキビー公園地区、マサーキン・ハナーヌー地区では、軍・治安部隊は湾岸アラブ諸国出身者やトルコ人からなる民兵と交戦し、彼らを殺害、逮捕した。
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『ワタン』(8月5日付)は、アレッポ市「東部の一部の大衆地区の部族出身者など、多数の市民が武装勢力と対決するため人民レジスタンス運動に参加し…、軍の戦闘は好転するだろう」と報じた。
また「シリア軍は現地で戦闘の性質や戦況を精査し、武装勢力が集中する地域への包囲を強化する…にはさらなる増援部隊が必要だと判断していることは明白」と続けた。
国内の暴力(イラン人巡礼者誘拐)
ダマスカス郊外県でのイラン人巡礼者48人の誘拐(8月4日)に関して、自由シリア軍バッラー大隊の司令官だというアブドゥンナースィル・シャミール大尉は、アラビーヤ(8月5日付)にイラン人巡礼者を誘拐したことを認めた。
また「自由シリア軍は、イラン人に関する情報を得た。そして約2ヶ月にわたって、彼らを追跡した…。彼ら(人質)への聴取により、イラン・イスラーム革命防衛隊の現役の士官複数がいることが分かった」と付言した。
イラン人巡礼者を乗せたバスは、巡礼地近くではなく、軍・治安部隊と反体制武装勢力の戦闘が行われている地域の途上にいた、と述べた。
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一方、シリアの反体制勢力のある幹部はAFP(8月5日付)に対して、イラン人巡礼者を誘拐したのが「ジュンドッラー」だとしたうえで、人質がイラン・イスラーム革命防衛隊のメンバーではない、と述べた。
同幹部によると、バラー大隊は実行犯ではなく、イラン人シーア派に対するスンナ派過激派の行為を隠するために行動しているに過ぎない、と語った。
また「人質が革命防衛隊であったら、護衛なしに反体制武装勢力が制圧している地域を移動するはずない」と付言した。
「ジュンドッラー」なる組織は、クナイトラ県出身者などシリア人からなる過激派だという。
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「アフバール・シャルク」(8月5日付)は、イラン国営放送の報道として、アリー・アクバル・サーレヒー外務大臣がシリアで誘拐されたイラン人巡礼者48人の釈放のための仲介を行うようトルコとカタールの外務大臣に要請したと報じた。
国内の暴力(その他)
ダマスカス県では、シリア人権監視団によると、カーブーン区で大規模な治安部隊による逮捕・摘発活動が行われたほか、ルクンッディーン区などで厳戒態勢が強化された。
またタダームン区で遺体3体が発見された。
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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ザマルカー町への砲撃により1人が死亡した。
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ヒムス県では、シリア人権監視団によると、ヒムス市ハーリディーヤ地区での砲撃により1人が死亡した。
またアービル村の軍検問所で1人が射殺された。
一方、SANA(8月5日付)によると、ヒムス市のジャウラト・シヤーフ地区で反体制武装勢力の武器庫が爆発した。
またクサイル市および郊外、ハウラ地方では軍・治安部隊が反体制武装勢力が交戦し、戦闘員多数を殺傷した。
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イドリブ県では、シリア人権監視団によると、ハントゥートィーン村、カフルサジュナ村、ラカーヤー村、マダーヤー町、マアッルディブサ村が砲撃を受け、カフルサジュナ村で1人が死亡した。
またアリーハー市も砲撃を受け、2人が死亡した。
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ハマー県では、SANA(8月5日付)によると、ハマー市のサワーイク地区で反体制武装勢力の戦闘員多数を軍・治安部隊が逮捕した。
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ダルアー県では、SANA(8月5日付)によると、ダルアー市郊外のヤードゥーダ地方で軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、戦闘員多数を殺傷、逮捕した。
シリア政府の動き
アラビーヤ(8月5日付)は、7月18日に暗殺されたアースィフ・シャウカト副参謀長の写真(独占入手)を公開した。
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『クッルナー・シュラカー』(8月5日付)は、政治治安部ダマスカス支部情報課のヤアラブ・シャルア課長(大佐)が離反し、身内の士官複数とともにヨルダンに逃走した、と報じた。
同行した士官は、ヤースィル・ハーッジ・アリー大佐、タウフィーク・ハーッジ・アリー中佐、キナーン・シャルア中尉。
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『クッルナー・シュラカー』(8月5日付)は、アレッポ警察の警備課のイブラーヒーム・ハリーリー大佐と、工業地区課のヤザン・ハリーリー課長がそろって離反し、トルコ領内に逃走した、と報じた。
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シリア初の宇宙飛行士のムハンマド・ファーリス少将が離反を宣言した。
ザマーン・ワスル(8月5日付)が報じた。
反体制勢力の動き
シリア国民評議会は、シリア軍・治安部隊がアレッポ市内の歴史的建造物などに砲撃を加えていると非難した。
しかしSANA(8月5日付)は、歴史的建造物や遺跡への砲撃に関する情報が「根拠がない」とただちに否定した。
レバノンの動き
『クッルナー・シュラカー』(8月5日付)は、シリア国内の反体制武装勢力掃討に動員されていたヒズブッラーの戦闘員56人が過去3日間で殺害され、密かにレバノン本国に搬送された、と報じた。真偽は定かでない。
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ナハールネット(8月5日付)は、PFLP在レバノン支部のマルワーン・アブドゥルアール氏の話として、ダマスカス県ヤルムーク区での戦闘激化に伴い、過去3日間でパレスチナ人約600世帯がシリアからレバノンに避難した、と報じた。
イスラエルの動き
『ハヤート』(8月5日付、インターネット版)は、ゴラン高原の停戦ラインにシリア人1人が近づき、イスラエル軍が発砲し、負傷を追わせたと報じた。
イスラエル側の証言によると、このシリア人はシリア国内の戦闘を逃れて停戦ラインに近づき、イスラエル軍の発砲を受けた、という。
諸外国の動き
オーストラリアのシドニーでアサド政権を支持するデモが行われ、数百人が参加した。
AFP, August 5 2012、Akhbar al-Sharq, August 5 2012、Alarabia.net, August 5, 2012、al-Hayat, August 5, 2012、August 6, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 5, 2012、Naharnet.com, August 5, 2012、Reuters, August 5, 2012、SANA, August 5, 2012、al-Watan, August 5, 2012、Zaman al-Wasl, August 5, 2012などをもとに作成。
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