「非同盟諸国首脳会議」でエジプト大統領が「愛すべきシリア国民の闘争との連帯は道徳的義務」と発言、英外相と仏外相が国連安保理閣僚級会合に先立つ記者会見で反体制勢力の支配地域への支援強化の必要性を強調(2012年8月30日)

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非同盟諸国首脳会議(テヘラン)

テヘランで始まった非同盟諸国首脳会議で、エジプトのムハンマド・ムルスィー大統領が演説し、「抑圧的体制に対する愛すべきシリア国民の闘争との連帯は道徳的義務であり、政治的、戦略的に不可欠だ」と述べた。

Youtube, August 30, 2012

Youtube, August 30, 2012

「シリアでの反体制革命」をエジプト、チュニジア、リビア、イエメンでの「アラブの春」の一貫だと位置づけたムルスィー大統領はしかし「シリアの自由と公正を求める闘争への全面支援を宣言するよう呼びかけねばならない。また我々はこの信条を民主的政体への平和的移行を支持するための明確な政治的ビジョンとして示さねばらない」と付言し、軍事介入や武装闘争を支持していないことを暗示した。

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ムルスィー大統領が演説でシリアの問題について言及を始めると、ワーイル・ナーディル・ハルキー首相、ワリード・ムアッリム外務在外居住者大臣らシリアの使節団が抗議の意を示すため、退席した。

ムルスィー大統領の演説終了後、シリアの代表団は会場に戻った。

『ハヤート』(8月31日付)によると、ハルキー首相は、ムルスィー大統領の演説に関して、「シリアの実態に触れていない。事実に反しており、事態にマイナスに作用するだろう」と非難したうえで、「(シリア危機正常化のための大統領自身の)イニシアチブを自ら生き埋めにした」と語った。

SANA, August 30, 2012

SANA, August 30, 2012

SANA, August 30, 2012Z

SANA, August 30, 2012Z

SANA, August 30, 2012

SANA, August 30, 2012

またムアッリム外務在外居住者大臣はDamas Post(8月30日付)に対して、「ムルスィー氏は加盟国であるシリアへの内政干渉をもって非同盟諸国会議の伝統から逸脱した…。彼の発言は会議の議長ではなく、一党派代表を表現しているに過ぎない」と述べた。

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イランの最高指導者アリー・ハーメネイー師とマフムード・アフマディーネジャード大統領はともにシリア問題への直接言及を避けた。

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イラクのヌーリー・マーリキー首相報道官は、イランがシリア危機を正常化するためのイニシアチブを近く発表すると述べた。

このイニシアチブには、アラブ連盟が主催する対話を通じた暫定政府発足や同政府首班の人選、国際社会およびアラブ連盟の監視のもとでの選挙管理のための高等弁務官事務所の設置などを骨子とする、という。

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カタールのハマド・ブン・ハリーファ首長は、政治的合意を通じてシリアの体制転換を行うべきだと述べた。

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シリアのワーイル・ナーディル・ハルキー首相は非同盟諸国首脳会議で演説し、シリアが外国に支援されたテロリストと対峙しているとしたうえで、危機の平和的解決に努力することがシリア人の間で合意されており、そうしたシリア人による国民対話が近く実施されるだろうと述べた。

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ワーイル・ナーディル・ハルキー首相は訪問中のテヘランでインドのマンモハン・シン首相と会談した。

会談で、シン首相は、シリア情勢への外国の介入を拒否する一方、包括的な政治プロセスでシリア国民の要求を実現することで危機を解決べきだとの所見を示した。

SANA(8月30日付)が報じた。

シリア政府の動き

ファイサル・ミクダード外務在外居住者副大臣は、RT(8月30日付)に対して、シリア大統領の退任を求める者たちは「自ら辞表を提出せねばらない。なぜならテロを支援しているからだ」と述べた。

また「我々シリア人が自分たちの未来を決める」としたうえで、「西欧と米国はイスラエルのために我々に戦いを仕掛けてきている。シリアが屈服しないことが現在起きていることの主因だ」と述べた。

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ナハールネット(8月30日付)は、アリー・アブドゥルカリーム・アリー駐レバノン・シリア大使が自身の追放を求める3月14日勢力支持者のデモに関して、「無意味な要求だ」と一蹴したと報じた。

国内の暴力

イドリブ県では、自由シリア軍の殉教者大隊を名のる武装集団が、アブー・ズフール町(ザハビーヤ村東部)で軍のMiG23戦闘機を撃墜したと発表し、パラシュートで降下するパイロットの映像をユーチューブ(8月30日付)に投稿した。

http://www.youtube.com/watch?v=_7yktr9q7Zo

http://www.youtube.com/watch?v=_7yktr9q7Zo

自由シリア軍アレッポ県軍事革命評議会のアニーフ・マフムード・スライマーン大佐はまた、作戦が午前9時から10時の間に行われ、墜落した戦闘機のパイロット2人を補足した、と発表した。

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同じくイドリブ県では、シリア人権監視団によると、アブー・ズフール町に対する軍・治安部隊の砲撃により20人の市民が死亡した。

同監視団は、「アブー・ズフール航空基地の複数カ所を制圧した」反体制勢力と軍・治安部隊との間で砲撃に先だって交戦があった、という。

一方、SANA(8月30日付)によると、アリーハー市で軍・治安部隊が反体制武装勢力への掃討作戦を継続、多数の戦闘員を殺害した。

Youtube, August 30, 2012

Youtube, August 30, 2012

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ダマスカス郊外県では、シリア人権監視団によると、ハラスター市の空軍情報部施設周辺で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦した。

またザマルカー町、ハッザ町、カフルバトナー町、アルバイン市、ヤブルード市、ブワイダ村、東グータ地方、フジャイラ村、アクラバー町などに対する軍の砲撃で少なくとも12人が死亡した、という。

一方、SANA(8月30日付)によると、ザマルカー町で軍・治安部隊が反体制武装勢力の「残党」の追跡を継続し、多数の戦闘員を殺傷、武器弾薬を押収した。

またジャルマーナー市では爆弾が仕掛けられた車が爆発し、複数の市民が負傷した。

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ダマスカス県では、地元調整諸委員会によると、タダームン区で軍・治安部隊と反体制武装勢力が交戦したという。

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ダルアー県では、シリア人権監視団によると、4人が砲撃や爆発で死亡した。

一方、SANA(8月30日付)によると、ダルアー市内で軍・治安部隊が反体制武装勢力の残党の追跡を継続、多数の戦闘員を殺害した。

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ダイル・ザウル県では、シリア人権監視団によると、軍・治安部隊と反体制武装勢力がダイル・ザウル市ジュバイラ地区、バアージーン地区、そして軍事情報局近くのジスル・ジャウラ地区などで交戦した。

一方、SANA(8月30日付)によるとダイル・ザウル市内で車に爆弾を仕掛けようとしていた反体制武装勢力が誤爆し、多数の戦闘員が死亡した。

また同市内のヒシャーブ地区、ジュバイリー地区など複数カ所で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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アレッポ県では、SANA(8月30日付)によると、アレッポ市のアアザミーヤ地区で反体制武装勢力の戦闘員が治安当局によって殺害、逮捕された。

また同市ライラムーン地区、ダイル・ハーフィル市などで軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺傷した。

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ハマー県では、SANA(8月30日付)によると、郊外で反体制武装勢力がアファーミヤー博物館から盗んだ出土品などの一部が発見された。

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ヒムス県では、SANA(8月30日付)によると、クサイル地方で、軍・治安部隊が反体制武装勢力と交戦し、多数の戦闘員を殺害した。

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『クッルナー・シュラカー』(8月29日付)は、「信頼できる」消息筋の話として、ダマスカス県での反体制武装勢力掃討にイランの革命防衛隊やロシア軍士官が参加している、と報じた。真偽は不明。

クルド民族主義勢力の動き

クルディーヤ・ニュース(8月30日付)は、ハサカ県ダルバースィーヤ市で軍事治安局が兵役を終えた複数の若者を「予備役」であるとの理由で逮捕したと報じた。

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クルディーヤ・ニュース(8月30日付)は、48.2%のクルド人が住民を保護するためクルド人居住地域の武装が必要だと考える一方、44.3%が武装によってクルド人どうしの分断が増すことを懸念しているとの世論調査結果を明らかにした。

この世論調査は203人を対象に、7日にわたって行われたとされているが、実施場所、サンプル抽出法などは明示されていない。

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ハサカ県では、クルディーヤ・ニュース(8月31日付)によると、ダルバースィーヤ市近くの対トルコ国境地帯でトルコに避難しようとしたクルド人家族が地雷に触れ、1人が死亡、3人が負傷した。

レバノンの動き

進歩社会主義党はシリア国民との連帯とアリー・アブドゥルカリーム・アリー駐レバノン・シリア大使の追放を求めるデモを31日にベイルートで実施すると発表した。

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NNA(8月31日付)は、ベカーア県およびベイルート県で、シリアに武器を密輸しようとした軍の士官(中佐)1人と民間人2人を当局が逮捕したと報じた。

諸外国の動き

英国のウィリアム・ヘイグ外務大臣とフランスのローラン・ファビウス外務大臣は、国連安保理でのシリア問題に関する閣僚級会合に先立って共同記者会見を開いた。

記者会見でファビウス外務大臣は、「シリアの解放された地域がきわめて重要」と強調し、反体制勢力が占拠する地域への支援の強化が必要だとの立場を示した。

また「アサドは犯罪を犯した罪人で、裁かれねばならない…。アサドとその一味は国際刑事裁判所に向かうだろう」と述べた。

一方、国連安保理決議採択を経ないコソボ・モデルでの軍事介入の可能性に関して、「我々は国際法のもとで行動したいが、いかなる解決策も排除しない…。アサドがすぐ倒れれば…、その次の日のプロセスが始まる。紛争が続けば、別の解決策を検討するだろう」と述べた。

緩衝地帯に関しては、「トルコの外務大臣など安保理の審議に参加する閣僚との会合で議論する予定」と述べた。

このほか、シリア国民に対して「アサドはいずれ倒れるが、我々は貴方たちを放置しない」と述べる一方、「キリスト教徒、アラウィー派、シーア派などは、アサド政権崩壊後は保護されねばならない」と述べ、あたかも体制転換後は政治がスンナ派によって主導されるような発言を行った。

これに対して、ヘイグ外務大臣は、国連安保理決議採択を経ないコソボ・モデルでの軍事介入の可能性に関して、「事態がどのように推移するか分からないので、すべての選択肢を遠ざけない」と応えた。

また「アサドを支持し続けている者が体制を離れる時が来た」と述べるとともに、国際社会のレベルでアサド後のプロセスを支援する仕組みを構築する必要があると強調した。

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フランス(安保理議長国)の呼びかけのもと国連安保理でシリア問題に関する閣僚級会合が開催された。

しかし、米国、ロシア、中国の外相は欠席した。

『ハヤート』(9月1日付)によると、トルコのアフメト・ダウトオール外務大臣は国連安保理閣僚級会合で「シリア領内に避難民キャンプを延滞なく設置」することを求めるとともに、「これらのキャンプが完全に保護されて当然」と述べ、緩衝地帯の設置を求めた。

しかし、ヤン・エリアソン国連副事務総長は国連安保理閣僚級会合で、「緩衝地帯」「人道回廊」に関する提案を「こうした提案は重要な問題を提起することになる。正確で確固たる調査が必要」と述べ、慎重な姿勢を示した。

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ヴィクトリア・ヌーランド米国務省報道官は、記者会見で、国務省が反体制勢力が「解放」した地域の自治評議会メンバーを対象とした「教練プログラム」を実施すると述べた。

このプログラムは地方自治や人権分野での教練が目的だという。

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エミレーツ航空がダマスカス・ドバイ便の就航を「シリアの治安情勢の混乱」を受けて中止すると発表した。

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ヒューマン・ライツ・ウォッチは声明を出し、周辺諸国に対してシリア人非難民の入国を認めるよう求めた。

AFP, August 30, 2012、Akhbar al-Sharq, August 30, 2012、Alarabia.net, August 30, 2012、Damas Post, August 30, 2012、al-Hayat, August 31, 2012, September 1, 2012、Kull-na Shurakaʼ, August 30, 2012、al-Kurdiya
News, August 30, 2012, August 31, 2012、Naharnet.com, August 30, 2012, August
31, 2012、NNA, August 31, 2012、Reuters, August 30, 2012、SANA, August 30,
2012などをもとに作成。

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