米国防総省のジェフ・デイヴィス報道官は、米主導の有志連合が、西クルディスタン移行期民政局の支配地域であるシリア北東部に対してF22戦闘機2機を緊急出動(スクランブル)させたと発表した。
緊急出動は、ハサカ市内の西クルディスタン移行期民政局支配地域に対するシリア空軍の空爆を阻止することが目的で、ダーイシュ(イスラーム国)掃討を任務としている有志連合がシリア軍に対してこうした行動をとるのはこれが初めて。
シリア空軍によるこの空爆で、シリア民主軍を支援する米軍特殊部隊の活動地域近くに及び、同部隊は同地からの撤退を余儀なくされたという。
シリア人権監視団によると、米軍特殊部隊の拠点はハサカ市から約6キロ北の地点に設置されていたという。
デイヴィス報道官は「我々はこれまでにも、シリアの政権が有志連合や我々のパートナーに干渉しないようにという忠告を守るよう述べてきた」と述べ、緊急出動がシリア民主軍を教練するためにシリア領内に駐留する米軍顧問と、シリア民主軍を主導する西クルディスタン移行期民政局人民防衛隊を保護することを目的としていることを明らかにした。
なお、緊急出動により、米軍機がハサカ市上空に到達した時には、シリア軍戦闘機(Su22戦闘機2機)は同地を去っていたという。
AFP, August 19, 2016、AP, August 19, 2016、ARA News, August 19, 2016、Champress, August 19, 2016、al-Hayat, August 20, 2016、Iraqi News, August 19, 2016、Kull-na Shuraka’, August 19, 2016、al-Mada Press, August 19, 2016、Naharnet, August 19, 2016、NNA, August 19, 2016、Reuters, August 19, 2016、SANA, August 19, 2016、UPI, August 19, 2016などをもとに作成。
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