2014年2月17日のシリア情勢:諸外国の動き

ジョン・ケリー米国務長官は訪問先のインドネシアの首都ジャカルタでシリア情勢に関して「ロシアの武器援助、資金援助がアサドを強気にさせているのだ」とロシアを名指しで批判した。

またジュネーブ2会議の事実上の決裂について、ケリー長官は「アサド政権が協力を拒み続けた。彼らは自国民に爆弾を落とし続け、自国を破壊し続けるばかりだった」と述べた。

ケリー米国務長官はその後、UAE首脳らとシリア情勢、イラン情勢などについて協議するため、インドネシアからアブダビへと移動した。

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サウジアラビア政府は閣議を開き、ジュネーブ2会議の事実上の決裂に関して「失敗の責任はシリア政府にある」と非難した。

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ロシアのセルゲイ・ラブロフ外務大臣はエルトリアのウスマーン・サーリフ外務大臣とのモスクワでの会談後、記者団に対し、シリアでの紛争を「利用し、地政学的な利益を実現」しようとしていると述べ、欧米諸国の対シリア政策を暗に批判した。

ラブロフ外務大臣はまた「彼ら(欧米諸国)は、我々がアサド大統領に圧力をかけ、ジュネーブ合意を実施させねばならないと言うが…、ロシアはジュネーブ2会議を成功させるためにすべてのことをしてきた」と強調した。

さらにラブロフ外務大臣は「モスクワが現在検討中のデータによると、反体制勢力に資金援助を行っている勢力の一部が、交渉プロセスに異議を唱えたシリア革命反体制勢力国民連立を脱会した集団からなる新たな組織を結成しようとしている」と指摘、「こうした兆候は交渉路線を逸脱させ、軍事的なシナリオに再び向かうものだ…。つまり彼らは和平交渉路線を残しつつ、軍事的選択肢を優先させ、リビアのときと同じように外国からの強力な支援を得ようとしている」と批判した。

そのうえでラブロフ外務大臣は、国連安保理でシリアでの「テロとの戦い」を推し進めるための決議案の採択をめざすと主張、「さまざまなデータは、シリアで過激派が数を増し、現在起きている問題のほとんどは彼らにその責任があることを示している」と述べる一方、「安保理はシリアへの人道的介入の口実として利用されてはならない…。一部の国は、中央政府の許可なく国境経由で人道支援物資を搬入するための項目を(決議に)含めようとしている。これは国際人道法に抵触する」と欧米諸国を牽制した。

ラブロフ外務大臣はまた「より過激な集団などを含む武装集団への外国からの武器装備供与が増加しているとの情報がある…。彼らは…国連加盟国の主権を侵害するかたちで違法な行為をしている」と警鐘を鳴らした。

ラブロフ外務大臣はさらに「世界は、ねつ造されたデータや映像によって残忍な犯罪の責任をシリア政府に押しつけようとする強大なメディア・キャンペーンを目の当たりにしている」と述べ、シリアの反体制活動家がネットなどで公開している映像に「イラク戦争期」のものが含まれていることを暴露した。

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EUは、対シリア制裁の一環として接収した資産1,200万ユーロの凍結を解除し、シリアの化学兵器廃棄を行う化学兵器禁止機関に供出することを取り決めた合意文書に署名した。

AFP(2月17日付)が伝えた。

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ヨルダンのジハード主義潮流の幹部の一人(匿名)はUPI(2月17日付)に、ヨルダンの治安当局が数日前に、アレッポ市からトルコ経由でアンマン国際空港に到着したムジャーヒディーン2人を逮捕したことを明らかにした。

AFP, February 17, 2014、AP, February 17, 2014、Champress, February 17, 2014、al-Hayat, February 18, 2014、Iraqinews.com, February 17, 2014、Kull-na Shuraka’, February 17, 2014、Naharnet, February 17, 2014、NNA, February 17, 2014、Reuters, February 17, 2014、Rihab News, February 17, 2014、SANA, February 17, 2014、UPI, February 17, 2014などをもとに作成。

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